一年越しで登った野反湖の「三引山」
登山日2023年4月28日


三引山と野反湖

三引山(さんびきやま)標高1938m 長野県下高井郡
昨年挑戦した三引山は思わぬアクシデントで敗退してしまった。この山は藪山で残雪の量によって難易度が変わる。今年の残雪はどの程度なのか気にかけながら野反湖に向かった。

4月28日(金)
自宅から2時間で野反湖に到着、その光景に驚いた。なにしろ残雪が少なく、駐車場は全く雪がなく周囲の山々は山頂部に見えるだけだ。これでは残雪を伝って登ることは断念しなければならないようだ。しかし、念のために12本爪アイゼンは持参することにした。
駐車場には軽トラックが一台と乗用車が一台で、乗用車の単独行者は白砂山方面に向かうところだ。
ダムの堤体上部の道を渡り対岸に渡る。道の脇にあるフキノトウはすでに花が開き、今春の異常とも暖かさを表していた。バンガローエリアの手前から右の道に入り、上部へと登っていく。このエリアの最上部で三壁山の登山口となる。


野反ダムを行く

バンガロー棟の雪がない

登山口

宮治郎清水

白砂山


去年は行きが深く雪が深くとても入ることは出来なかったが、今年は夏道がハッキリと分かり迷うこともなさそうだ。
笹薮の中につけられた道をひたすら登ると、宮治郎清水に到着する。塩ビパイプが設置してあったが、落ち葉が詰まっていた。落ち葉を取り除くと冷たい水がパイプから流れ出した。そこで、まずはいっぱいの水を頂いた。ここから急斜面の道を登ると、野反湖を俯瞰する展望の良い場所に出る。
更に進むと、樹林帯に入り残雪が現れるようになった。こうなると夏道を探すのが難しくなってくる。雪で途切れた道を探しながらどんどん進んでいく。上部に行くに従って残雪が多くなり、三壁山手前の尾根を右に折れて、いよいよ三引山に向かって尾根を下降する。

下降するとすぐそこに三引山の姿が見えてくる。やはり残雪は少なく、藪漕ぎはどうしても避けられそうにない。しかし、この地点から見ると残雪が中腹まで繋がっておりこれが利用できそうだが、現地まで行ってみないとその様子はわからない。


目指す三引山

1920mピークへの登り

1920mピークからの三引山

いよいよ三引山への登り


残雪のある斜面の下降は快適で気持ちがいい。展望も素晴らしく白砂山、八十三山、大倉山、佐武流山が連なって見えている様は、見ていて飽きない。天気も最高で、雪面の反射が眩しいのでサングラスを掛けることにした。しかし快適な下降も残雪が途切れてしまい、仕方なく樹林の中に入ることにした。樹林の中は藪があるもののなんとか歩ける範疇だ。地形図を見ながら稜線を忠実に辿っていく。地形図ではわかりにくいが、稜線を外すと両側は急斜面となっている。このへんは目視で進んでいくが、ガスに巻かれたら難易度はかなり上がるはずだ。

1920mとの鞍部に到着。ここからは少しだけ残雪が利用できる。その後は再び笹薮となる。しかし笹は膝丈ほどなのでさほど気にならない。笹藪を越えると樹林となり、その樹林を越えると残雪の1920mピークに達する。ここからの展望は秋山郷の山々が一望できる。あの笹藪で苦労した笠法師山が懐かしい。さて、三引山だが、一旦鞍部に下降してから登りあげるのだ。ルートを探すのに雪面を少し下ったところで、なんと3mほど滑落。幸い笹藪のところで停止したので良かった。これは慎重に行動しなければならない。ここまで不要と思われた12爪アイゼンを装着することにした。持ってきて良かったとつくづく思った。
ここから鞍部に向かうのだが、現在地から右に向かってから下降するのが良さそうだ。これも天気に恵まれて視界が良いことが幸いしている。地形図だけではわかりにくい部分であることは確かだ。アイゼンの効果は絶大で気持ちよく雪の斜面を下降していくことが出来た。鞍部に近づくに従って灌木の藪が深くなってきた。たまらず左の斜面に逃げた。そこにはなんと赤テープがあり、好事家がここにやってきたのは確かだ。しかし、これ以上の赤テープは確認できなかった。

この灌木の藪を抜けると、笹原の気持ちの良い場所に出た。目の前には目指す三引山があり、野反湖が今までと違った角度から見ることが出来た。振り返れば1920mピークと三壁山が大きく見えていた。笹原は膝丈程度なのでそれほどの困難はない。このまま進み右側(東)の残雪部分を登ることにする。しかし、その快適な残雪上の登りはすぐに終わり、再び笹藪の中に入る。笹は胸のあたりまであるので、こんなときは直登するに限る。次に樹林帯の中に突入すると手がかりが増えてきて登りやすくなった。笹は意外なことに積雪地域特有の逆層になっていないので、さほどの困難はない。



振り返って三壁山と1920mピーク

山頂直下の藪

笹薮地獄


山頂部の一角に登りあげると、ほぼ平坦なシラビソの林となった。更に進むと一番高いと思われる場所にたどり着いた。この部分は樹林が途切れ笹原となっていた。展望はやはり白砂山から延々と連なる上信国境の山並みが、屏風のように広がっていた。ここには三角点があるはずなのでストックで突っついて探したのだが、ついに見つからなかった。これだけで15分以上も費やしてしまった。三角点探しは諦めて、ここで昼食とする。一年前に登ることが出来ず宿題となっていた、この小さな山ではあるが十分に満足したひとときだった。


三引山山頂からの展望



駐車場07:47--(.17)--08:04登山口--(.25)--08:29宮治郎清水--(1.05)--09:34尾根--(.28)--10:02 1920mP10:18--(.17)--10:35鞍部10:44--(.24)--11:08三引山山頂11:54--(.39)--12:33 1920mP12:43--(.16)--12:59休憩13:26--(.11)--13:37三壁山12:45--(.36)--14:21宮治郎清水--(.40)--15:01駐車場


群馬山岳移動通信/2023


この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)