大型連休中はテントを担いで残雪の山を歩くのが楽しみだった。しかし年齢とともにその気力は衰えてしまい近隣の山を歩くことが増えてきた。それに慢性のアキレス腱炎が悪化しており、通常の歩行にも支障をきたすようになってしまっている。こうなるとあまり無理はできない。この状況にあっても未登の山に登りたいという気持ちは変わらない。そこでどこが良いか探してみると野反湖の北に三引山があるのを見つけた。これなら何とかなりそうだ。この付近は26年前に三壁山、高沢山、エビ山を歩いているから何となく土地勘はある。
4月30日(土) 朝4時に起床して野反湖に向かい、6時には野反湖の富士見峠に到着した。ところがなんと雪模様の天候で道路には積雪もみられる。さらにダムサイトに続く道は積雪が増しており、気温はマイナス3℃だ。車のタイヤは夏用なのでこれは困ったことになった。しかし引き返すのも癪なので、このまま先に進んでいくことにする。夏用タイヤなのだがそれなりにブレーキは効くので低速ギアで進んでいく。ダムサイトの駐車場は誰もいない。雪と風が強く吹き付けている。風速計を出して測定してみると10.3m/sなのでそれなりに強い。これでは出発する気力はなかなか出てこない。仕方なく車の中で待機するしかない。 8時ごろになってようやく空の一部に青空が見えるようになり風も弱まってきた。しかし、予定を大幅に過ぎてしまっている。計画は大幅に変更するしかないだろう。 支度を整えてダムサイトへの道を歩き始める。堤体の上部の天端に付けられた道は風が強く、帽子を手で押さえなければ飛ばされそうだ。天端を渡りきるとキャンプ場の入り口に到着する。道は最近除雪されたのだろう両側は雪の壁ができている。キャンプ場のバンガロー群はオープン前ということで人の気配は全くない。バンガロー群の上部で道は行き止まりとなり、ここに三壁山登山口の標柱が立っていた。 トレースは全くなく登山口からどこを歩いたらよいものかしばらく考えてしまった。こうなれば頼るところはGPSということになる。今年は雪が多いと聞いているが、まさにそれで夏道は全く見当たらない。適当に登ってもよいのだが、やはり基本は夏道であることに違いはない。高度を上げるにしたがって野反湖の形がはっきりとしてくる。朝の荒天が嘘のように晴れ渡り、遠く白い富士山が遠望できるようになった。雪原を登っていくが傾斜はかなりのものとなり、たまらず軽アイゼンを装着することにした。しかしこれならば12爪アイゼンでもよかったかなと思った。キックステップで登ることになるが、つま先で立とうとすると踵のアキレス腱の付け根に激痛が走り、踏ん張ることができない。仕方なくステップは横に切って身体を持ち上げるしかない。なんでこんな思いをしてまで登らなくてはならないのか自問自答しながら登ることになる。 標高1900m付近で振り返ると眼下に大展望が広がっており、ここで休憩することにする。去年登った八十三山と大倉山が懐かしい、白砂山は頭だけがちょこんと出ている。この時点で時刻は11時半となっている。この時点では三引山を往復して帰ることにするしかないかと思っていた。
「やってしまった」 こうなると三引山はあきらめるしかない。
動き出してみると踵の痛みは相変わらずで、雪の段差によってはものすごい痛みがでる。これならばおとなしく引き返せばよかったと何度も思った。高沢山までは微妙にアップダウンがあり、痛みに響いてくる。
それでも何とか頑張ってエビ山に到着した。ここからキャンプ場までの長い道はとても長く感じられた。
駐車場08:43--(.09)--08:52キャンプ場--(.24)--09:16登山口--(1.41)--10:57休憩11:22--(.34)--11:31分岐--(.08)--11:39引き返す--(.19)--11:58三壁山12:37--(.56)--13:23高沢山--(.52)--14:15エビ山14:22--(.46)--15:08キャンプ場15:11--(.28)--15:39駐車場 群馬山岳移動通信/2022 |
この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号) |