聖域の山を歩く「身延山」
登山日2025年12月17日


久遠寺身延山(みのぶさん)標高1153m 山梨県南巨摩郡

身延山は、日蓮宗の開祖である日蓮聖人が約9年間過ごした場所として知られ、そこにある久遠寺は日蓮宗の総本山である。七面山に登った時に見えた身延山はいつか登らなくてはならない山だと感じていた。身延山はロープウエイを使えば、片道7分間の空中散歩で山頂直下まで行くことができる。しかし往復料金は1600円と高額なので高齢貧乏人は歩いて登ることにした。

12月17日(水)
仲町の無料駐車場は一台の車もなく閑散としていた。駐車場には清潔なトイレが併設されておりじつに快適だ。天気は久しぶりの快晴で何の問題もない。門前の商店街はまだシャッターを開けていない店が多い。駐車場からわずかな時間で久遠寺の三門に到着する。立派な建物でこれだけでも圧倒される迫力がある。霜が解けて雫となって屋根から絶え間なく落ちていた。山門をくぐり進むととんでもない石段が現れる。石段のような壁といったほうがいいかもしれない。ほんとうにここを登るのかと気持ちが萎えてしまいそうだ。この石段を使いたくなければ、エスケープできる男坂と女坂といったルートもある。しかしそれでは面白くないのでこの「菩提梯」の名がついた287段の石段に挑戦することにした。この石段はその段差が30センチほどあり、足を上げるのがやっとといった状態だ。この石段は一気に登るようなものではない。そんなことをしたらこの老体はここで息絶えるに違いない。最後の段に近づくと数段登っては休むといった情けない状態だ。こんな時にストックを手から離したとたんにコロコロと10段ほど落下してしまった。なんてことだ!よたよたと下まで拾いに行くときは涙が出そうになった。何とか久遠寺大本堂のまえの広場に到着した。広場で目に付くのは朱色に塗られた五重塔で釘を一本も使わずに建てられているという。その先にある大本堂は何という大きさなのだろう。私などは無宗教に近いのだが、信仰の思いはすごい力なのだと感じる。

誰もいない久遠寺の庭を散策してから大本堂の裏手に回り身延山の山頂を目指す。ところが標識がどうもわかりにくい。まあ、高いところに進んでいく道を選択すれば間違いないだろうと判断した。登山道といっても舗装路となっており、車道といったほうがいいだろうか。周囲にはお墓が多数あり、日蓮聖人の傍に居たいと願う人の思いがあるのだろう。真新しい生花もあるが、あまり手入れをされていないお墓もあった。


仲町駐車場

門前商店街

三門(山門ではない)

菩提梯

段差30センチほどある

久遠寺の五重塔が見えた


丈六堂の手前には庫裡があり案内パンフレットが置かれている。それによれば丈六堂のいわれは、堂内にある釈迦如来像は一丈六尺(4.8m)あることが由来らしい。この釈迦如来像は徳川家康公の側室お万の方が中心となって寄進したものらしい。丈六堂に行ってみるとガラス戸が閉じられて内部を見ることができない。同じく登山者がいたが、ガラス戸越しに覗くしかなかった。その登山者はあきらめて去っていったが、何とか写真を撮影しようと苦しんでいた。そのうちに男性が現れてガラス戸のカギを開けて内部に入っていった。そこで男性の後について開けられた扉から上半身を入れて金色に輝く釈迦如来像を撮影することができた。この男性は身なりが一般人のようであったが、どうやら丈六堂の関係者であったことは疑う余地がないだろう。

丈六堂からの道も相変わらず舗装路で周囲は杉木立で埋められていた。この道を歩いていくと大光坊に到着する。建物があり一部が金色になっている釈迦如来坐像が朝日に照らされて輝いていた。それにしても静かで人の気配は感じられなかった。この付近に三角点があるはずなのだが見つけることはできなかった。


釈迦如来像は大きい

神社も多い

大光坊

釈迦如来坐像


大光坊を過ぎると道は未舗装となった。未舗装のほうが歩いていて気持ちが良い。高低差もなくどんどん距離を延ばせるのがうれしい。途中で杉林が伐採されて展望が開けるところがあり、ここからは富士山が見えている。しかし山頂部分がわずかに見えるだけであいにくと全体は雲に覆われている。富士山は気持ちよく見えないものの、ここで休憩することにする。相変わらずの白湯と菓子パンであるが、これが一番手っ取り早くて温まる。休んでいると丈六堂で出会った単独行の登山者が追い付いてきた。上田市から来たという男性と山頂までは話しながら登ることになった。

展望場所からの道はかなりの急斜面で息が上がってしまう。日当たりの良いところはミツマタのつぼみが今にも咲きそうに大きくなっている。その急傾斜の道もなだらかになり、法明坊の建物を過ぎると山頂は近いと感じる。たどり着いた山頂の一角は南側展望台となっていた。いままで山頂部分しか見えなかった富士山の全体像がここでは見えるようになっていた。さらに建物群の中を進んでいくと石段となる。ここには樹齢700年の日蓮大聖人お手植の杉がありかなり傷んでいるように感じた。仁王門をくぐると奥の院祖師堂となる、この時期の観光客は少なく閑散としていた。

ここで気になるのは最高点なので祖師堂の裏にある高みを目指して進んでいくが、最高点には三角点がないことは地形図からわかっている。それにしても何かあるかと思ったが残念なことに徒党に終わってしまった。さらに進むと北展望台があり、その中に入ると身延山の標柱があった。ここからは北方面が開けていて目立ったところでは三角形の笊ヶ岳が見えるだけで、南アルプスは雲に隠れていた。北展望台からロープウエイ駅に移動する。駅の売店で山バッジと絶品カレーパンを購入。その時に売店の人からは「熊が出るから注意してください」と忠告されてしまった。まあ、ロープウエイを使って下山すれば問題ないといいたいのかもしれない。この駅の展望広場からは富士山がくっきりと見える。こうでなくては・・・・・駿河湾に至る富士川の蛇行する姿とマッチしている。ここでカレーパンを食べて休憩する。


富士山がちょっと見えた

ミツマタ

富士川の流れ

日蓮聖人

日蓮聖人お手植えの松

北展望広場で記念撮影

奥の院


さあ、いよいよ下山だ。下山路も舗装された車道なのでスピードを上げると膝と足首に負担が来る。登山靴ではなくスニーカーのほうが良かったかなとも思った。終始林の中を歩くので展望はなく単調な道である。途中で追分感井坊があった。中では数人がくつろいでいた。すると中から頭髪を丸めた若い僧侶が出てきて「休んでいきませんか?」と声をかけられた。なにか面倒くさいので「時間が押していますから」断ってその場を離れた。すると先ほどの僧侶が追いかけてきて「供え物なんですがどうぞ」と菓子を差し出した。断るわけにもいかないので合掌してから押し頂いた。これならば休んでもよかったかなと後悔した。


絶品カレーパン

ロープウエイ

奥之院驛

駅広場の標識(こだわらなければここでもいいかな)

富士山が見えてきた

追分感井坊

菓子をいただいた


さらに下山していくときれいな杉の樹林となった。説明文があり「千本スギ」というもので山梨県の天然記念物とのことだ。樹齢250年以上のものが約260本ということで驚く。さらに進むとプレハブ小屋があり、そこからわずかに進むと水道の蛇口がある。なんとハンドルを回すと勢いよく水が出るではないか。何のためにここに設置してあるのかは不明だ。試しに飲んでみると問題ないようだ。(一週間経過しても体調に変化はない)

松樹庵への分岐でちょっと迷ってしまった。林道はまっすぐに続いており、さらに分岐した林道もそれらしく続いている。松樹庵へは細道を下るようになっている。「天空の寺 松樹庵」と書かれた看板がかけてある。ここからは久遠寺を見下ろすことができる。資料によればNHKの大晦日「ゆく年くる年」で定番の中継地点だとか。たしかにここから見る久遠寺は瓦屋根の建物と朱色の五重塔のコントラストは見栄えがする。松樹庵からそのまま細道を下ると林道に出るが、再び細い道に入り下降していく。すると目の前に動くものが・・・・熊か!!びっくりしたが、寝そべっていた4頭のニホンジカが起き上がって歩いていくところだった。単調な道ではあったがちょっとだけ目が覚めた。

妙石坊・高座石を過ぎると急に宿坊が多くなり車両の通行もそれなりに多くなる。それにしても宿坊は立派であり、それなりの方たちが宿泊することが推測される。車道を辿り門前商店街で身延まんじゅうを買ってから駐車場に戻った。


水道の水が出る

千本杉

天空の寺「松樹庵」

ニホンジカがいた

久遠寺を俯瞰する

妙石坊

山バッジとみのぶ饅頭


仲町駐車場08:00--(.06)--08:06三門--(.18)--08:24久遠寺08:30--(.24)--08:54丈六堂08:59--(.40)--09:39大光坊09:45--(.21)--10:06展望地10:27--(.39)--11:06奥の院11:35--(.03)--11:38ロープウエイ駅12:04--(.23)--12:27追分感井坊12:30--(.45)--13:15松樹庵13:22--(.18)--13:40高座石--(.17)--13:57三門--(.05)--14:02駐車場

群馬山岳移動通信/2025


この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)