天上にさゆり姫咲く「粟ヶ岳」 
登山日2017年6月9日




粟ヶ岳(あわがたけ)標高1293m 新潟県加茂市/三条市市

御神楽山に登った時に粟ヶ岳の存在が気になった。その時に一気に登ってしまおうかとも考えたが、粟ヶ岳の魅力は山頂付近に咲くヒメサユリだという。そこでヒメサユリの開花に合わせて計画を立てることにした。

6月9日(金)
高速道路料金の深夜割引を適用するために、関越道栄PAで仮眠をとって粟ヶ岳の登山口に向かう。この粟ヶ岳はいくつかの登山口があるが、そこにはヤマヒルが生息しているという。ヤマヒルはかつて丹沢山でひどい目に遭ってから、もう二度と遭いたくないと思っている。そんなわけでヒルが比較的少ないと思われる中央登山道を選択することにした。

県民休養地の広い駐車場を利用するべきなのだろうが、道はさらに進めそうなので車を乗り入れる。道は荒れているが問題となるほどではない。ほどなく第二貯水池に到着する。駐車余地はそれなりにあり、平日の登山者程度なら問題ないだろう。池の周囲は最近刈払がされたらしく刈った草がまだ枯れていなかった。ヤマヒルを想定して、忌避剤の「ヒル下がりのジョニー」を足元に噴霧、着ているものにはハッカ油を噴霧しておいた。

貯水池の堰堤を渡り対岸に出ると登山口の標識があり、山頂まで3時間と表示してある。しかし、その下にどなたかが取り付けた書き込みがあり、健脚者は3時間、一般の方は3時間半〜4時間半と書いてある。ガイドブックなどは、著者の健脚ぶりを誇示するかのように時間を短くしているのもある。これもその類なのだろうが、困ったものである。しかし、一般の人は4時間半がリミットで、それ以上だったら軟弱ものという烙印を押されそうで、これまたプレッシャーがかかるというものだ。
登山口からはしばらく杉林の中を歩くが、ヤマヒルが出てきそうな雰囲気はどうもいただけない。こんなところで立ち止まるのは嫌なので、なるべく早くここを通過しなくてはならないと、気持ちだけは急いでいた。

この登山道はヤマツツジが眩しいほど咲き誇っている。鮮やかな朱色の花は周囲の葉の緑と補色の関係になりひときわ目立っている。登山道は整備されており、管理する人がいることを感じさせる。そんな中、ネマガリタケを齧って捨てたものが登山道のところどころに散在していた。何かの動物が齧ったものだろうが?
やがて3合目に到着、ここは東屋・嶽山寺から登ってきた道と合流する場所でもある。ベンチが2基あり休むのに最適な場所だ。しかし、帰路に話した人の言うには、ここでヒルに取りつかれてとのこと。私はここで座らなかったから被害は免れたようだ。

樹林帯の中を黙々と歩いていく、アルミ梯子やロープが設置されているところもあるが、積雪や凍結が無ければ必要のないものだ。展望はほとんどなく太陽が上昇するとともに暑さが増してくる。すでに上半身は汗でびっしょりとなった。ヤマツツジが少なくなり、主役はウラジロヨウラクが目立つようになってきた。この粟ヶ岳は秋になれば色づいたツツジの葉が見事な色になるのではないかと想像できた。


湖面に立ちこめた朝霧

第二貯水池

登山口(年寄りは3時間じゃ無理)

山ツツジ

山ツツジの道が続く

これは???

東屋・嶽山寺分岐(ベンチには座らないヒルに注意)


大栃平という標識がある場所は展望が開けて清々しい場所だった。はるか向こうには残雪の縞模様が美しい守門岳が見えている。ここで登山者に追い越される。この人の話によると先ほど見かけたネマガリタケは熊の食餌の痕だという事だ。思わず鈴を取り出してザックに取り付けてしまった。ここから見る山頂はまだまだ遠くにあり、3時間で山頂に到達することは難しいと感じた。

鎖場を過ぎて、傾斜が増す登山道を登り切ると、6合目の岩峰(栗庭の頭)に立つことができた。ここは大展望が広がり登山口の貯水池を見下ろすことが出来、辿ってきた登山道を見ることが出来る。その登山道の尾根の先に三角錐の秀麗な山が見えるが、これもヒメサユリで有名な袴越山らしい。振り返って登山道の先を見ると急傾斜の道がほぼ一直線に上部に伸びている・山頂はまだまだ先にありそうだ。


大栃平

ウラジロヨウラク

大栃平から山頂方向を見る

ウコンウツギ

タニウツギ

梯子があるがそれほど傾斜は強くない

ちょっとした鎖場

振り返って岩峰、その向こうに袴腰山

水場分岐

水場

イワカガミ


急登をひたすら登って行く。水場分岐の標識があり、3分と書いてある。とりあえず水はたっぷりあるのでそのまま先に進んだ。(帰路に立ち寄ったところ、本当に3分で水場に行くことが出来た)苦しいのを我慢してさらに登ると展望が開けて避難小屋に到着した。避難小屋内部を覗いてみると、綺麗に整頓されて清潔な感じを受けた。しかし、トイレが無いらしく、この周囲で休むのはちょっと危険かなと思った。外にはベンチとテーブルがあり大栃平で言葉を交わした男性が休んでいた。山頂はあのピークかと指差すと、あのピークの先だと教えてくれた。まだまだここからは距離があるらしい。しかし、山頂に続く道は気持ちの良い稜線で、残雪が太陽の光の下で輝いていた。


避難小屋

避難小屋の内部

避難小屋から見る北峰と中峰

ナナカマド

ウラジロヨウラク

カタクリ

ミヤマキスミレ

避難小屋の赤い屋根の向こうに角田山と弥彦山、そして佐渡島

守門岳の残雪


ここからはお目当てのヒメサユリを探しながらの登りとなった。まだ開花時期には早かったのだろうか、開花前のヒメサユリがほとんどで、開花しているものは僅かだった。朝露に濡れている花はいつまで眺めていても飽きない美しさがある。どうしてもこの花の名前と重なるのは吉永小百合さんだ。この人の美しさがそのまま花の姿に映しだされるような雰囲気を醸し出している。思わず「明日は咲こう花咲こう」「若い東京の屋根の下」なんて唄を口ずさんでしまうのは、この年齢では仕方ないことかもしれない。登山道の左斜面はカタクリが群落を作っている。タムシバとナナカマドの白い花は青空に流れる雲のようだ。

道はやがて権ノ神分岐コースと合流、さらに少し歩くと北峰の看板が道の脇に転がっていた。粟ヶ岳は三つのピークからなり、「北峰」「中峰」「粟ヶ岳」となっている。遠くから見ると顕著なピークに見えるが、歩いてみると、それほどのピークには感じられない。中峰付近のヒメサユリが一番見事な群落を作っていたように思われる。しかし、開花にはまだ早かったようだ。


ヒメサユリは一週間後が見頃のようだ

山頂までもう少し、右に見えるのは守門岳

飛行機雲


3時間48分かかって粟ヶ岳山頂に到着する。山頂は広く二等三角点があり、標識が設置されている。その標識には鐘が下げられていた。山頂方位盤を独占して誰もいない山頂でじっくりと展望を楽しむ。御神楽山の向こうに半月ほど前に登った磐梯山が霞んでいる。その向こうは吾妻連峰、右に目を移せば浅草岳、守門岳、さらに目を転じると弥彦山、角田山でその奥は佐渡島がぼんやりと輪郭を見せている。飯豊連峰は雪がまだ豊富で山体の半分以上は白くなっている。雲に隠れて残念な部分もあるが、この時期としては十分満足できる展望だ。

山頂をしばらく独占していたが、次々と登山者がやってきてたちまち賑やかな社交場と化した。私と同年代で単独行がほとんどだ。思い思いの場所に陣取りザックの中からいろんなものを引っ張り出して口に運んでいる。その様子からしても地元の登山者であることが解る。しかし、地元ではない人はそれなりにわかる。聞けば神戸から来ている人もいた。展望とおしゃべりを楽しんでいたために山頂に1時間以上も滞在してしまった。


あそこが山頂だ

山頂の鐘にはこんな散文が刻まれていた

方向指示盤は立体的だ

御神楽山から磐梯山方面

佐渡島方面(このときは見えていなかった)

浅草岳、守門岳方面


下山は楽勝と思ったが、それなりに疲れていたのだろうか、結果的には8人ほどに追い越されてしまった。ここでも体力低下を思い知ることになった。
帰りは「賀茂美人の湯」に立ち寄り関越道をひた走り、、塩沢町で降りて酒屋でお気に入りの「高千代酒造」の限定酒を仕入れてから帰途に就いた。


中央道登山口05:57--(.43)--06:40東屋・嶽山寺分岐--(.41)--07:21大栃平--(.43)--08:04岩峰08:12--(.11)--08:23水場分岐--(.10)--08:33避難小屋08:42--(.45)--09:27権ノ神分岐--(.18)--09:45山頂10:54--(.47)--11:41避難小屋11:48--(.05)--11:53水場分岐--(.03)--11:56水場12:00--(.09)--12:09岩峰12:21--(.44)--13:05東屋・嶽山寺分岐13:25--(.26)--13:51登山口


群馬山岳移動通信/2017





この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)