青空と大展望が待っていた「米山」
登山日2018年3月31日

山頂からの展望

米山(よねやま)標高993m 新潟県柏崎市・上越市

新潟県の米山は民謡にも唄われ有名だ。それに北陸道のSAもあることから観光の山としての印象が深い。そんな米山だから簡単に登ることが出来るだろうから、何かのついでに立ち寄ればいいと考えていた。
3月は妻が私の母親の介護疲れで倒れたため母親を介護施設に入所させる手続きに奔走。やっと落ち着いたと思ったら、今度はかねてから療養中だった妻の母親が亡くなるという不幸に見舞われた。農作業もすでに始まり、会社も年度末、そんなわけで今月の山は諦めようと思っていた。しかし最終日に時間が取れることになった。

3月31日(土)
前日、退社後に自宅を出発、上信道経由で北陸道の米山SAで車中泊とした。朝4時に起床しSAのフードコーナーで「かき揚天ぷらうどん」の朝食をとる。群馬ではサクラが満開だが、このSAのサクラはまだつぼみの状態だ。気温は5℃なので上着を着ないと肌寒い。夜明け前の日本海は霞がかかり空と海面の境がわかりにくい。海から吹く風に思わず身が縮むとようだ。

SAから出て海岸線に沿った国道8号線を西進する。ナビの案内を頼りに米山の大平登山口を目指す。国道を離れると道はだんだんと細くなるがそれほど不安は感じない。やがて登山者に解放された駐車場に到着した。駐車場は10台以上が停めることが可能だ。すでに1台の車が駐車してあったが、登山者のものなのかは不明だ。この先にも駐車余地があるようだが、ここに停めておくのが無難なようだ。現に生活道路に駐車されたために困っている旨の張り紙がある。

雪はそれほどないようだが、念のために軽アイゼンを持っていくことにする。駐車場から山に向かってコンクリート舗装の狭い道を辿って行く。途中、左の斜面に急傾斜の石段がある。どうやら神社に通じる階段のようだ。ここでコンクリと舗装は終わり、道は雪で覆われて雪山の様相を呈してきた。歩き始めて10分弱で林道を横切ることになる。この林道も雪で覆われて、車両の轍はもちろん足跡も残ってはいなかった。
林道を過ぎると、登山道は何処なのかわからなくなってしまった。とりあえず踏み跡があるので、それを辿って登ることになるが、急斜面をステップを切りながら登る羽目になってしまった。すでに背中は汗で濡れはじめてきている。こんな道でいいのかと思うと、雪が無くなったところに登山道の階段が現れるのでルートは間違いないだろう。背中どころか額からも汗が流れ落ちるようになると、尾根上の道となり雪は無くなった。登山道の脇にはジョウジョウバカマ、そしてマンサクの花が青空に星のように散りばめられて咲いている。

太陽はまだ顔を出していないが、方角的には目指す米山の方向なのだろう。その方向の光がだんだんと強烈になってきている。尾根道は展望が無くひたすら整備された道を進むだけだ。標高700mのピークに到達すると直江津港付近の展望が開ける。ここには標柱があり「柏崎市市制50周年」と書いてある。しかし何を整備したのかは不明だった。この付近で米山山頂の建物が見えるようになる。そして山頂のわずか左から眩しい太陽が昇ってくる。朝の光に照らされて周囲の色彩が増えたように感じる。さらに斜面を登ると711mの標高点ピークに到着する。ここは展望がよく直江津港の先に妙高山塊が素晴らしい。
711m峰から先は尾根が狭まり高度感が増すが、灌木が両側に密集しているので恐怖心は感じない。


大平登山コース

林道を横切る

山頂から太陽が昇る

細い尾根道

マンサク

ブナ林の急斜面を登る

日本海

道がブナの林になるとルートは急斜面となりステップを切りながら慎重に進む。こうなってくると早朝に登り始めたのは正解かもしれない。なぜなら雪が腐って踏み抜きが多くなれば、それだけ疲労が増すからだ。ふと見上げると上部から登山者が下ってきた。軽く挨拶してルートの情報を確認させてもらった。山頂近くになると灌木は無くなり広い雪原となった。避難小屋を過ぎ、米山薬師の建物を過ぎるとそこには大展望が広がっていた。

無風快晴で無音の山頂に人影は全く見られない。なんという素晴らしい場所なのだろう。日本海に浮かぶ白い峰は佐渡の金北山、右に視点を移動すれば日本海に突き出た角田山、弥彦山、会越国境の山々、上越国境の山々、信越国境の妙高山塊から直江津港と変化に富んだ景色が一望だ。飽きることなく何度も周囲を舐めるようにして確認する。このままここで数時間を過ごしてみたいという誘惑に負けそうになる。米山には原三角点があるはずなので、周囲を歩きながら捜索してみる。しかし、原三角点どころか一等三角点さえも見当たらない。おそらく残雪に埋もれてしまっているのだろうと、捜索は断念せざるを得なかった。これで現在確認されている3カ所のうち白髪岩は見ているが、雲取山は雪に埋もれていたために確認できず。せっかく登頂していながら2か所は未確認となってしまった。

避難小屋の中を覗いてみると綺麗に整理され快適そのものだった。管理している人たちの熱意が伝わってくる。利用者ノートが2冊置いてあり、そのうちの一冊は平成30年4月から使用して下さいとのこと。したがってもう一冊は今日が最後の記入となるわけで、普段は記入しないのだがコールサインを記入しておいた。できれば靴を脱いで2階部分まで探検したいところだが、これからの予定も控えているので早々に引き上げることにした。

ブナ林の急斜面は踵を踏みこんでもステップを確保することが難しい。下方から単独行の男性が登ってきた。群馬の山に詳しいという事で崇台山なんてマイナーな山も登っているという。危なっかしい下降を見かねてか「注意してください」とのアドバイス。それもあってか持参した軽アイゼンを装着することにする。その後、5人ほどの登山者とすれ違ったが、いずれも男性ばかりで、この山は女人禁制?と思われるようだった。


避難小屋

避難小屋の内部

後方は妙高

佐渡の金北山が見える




妙高山塊



山頂から南方面パノラマ


山頂から北方面パノラマ

次の予定は雪割草の咲く場所だ。
延々と続くカタクリと雪割草の競演。
来てよかったと思った。

更に関越道の塩沢石打ICで降りて、お気に入りの酒店で日本酒を仕入れてから帰途についた。


キクザキイチゲ

雪割草

カタクリと雪割草の道

ショウジョウバカマの群落

城跡

日本海


群馬山岳移動通信/2018

05:33大平駐車場--(.08)--05:41林道--(1.10)--06:51標高711m峰--(1.08)--07:59米山山頂08:33--(1.48)--10:21大平駐車場


この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)