「牛奥ノ雁ヶ腹摺山」に三度登頂する
登山日2021年12月19日


「牛奥ノ雁ヶ腹摺山」からの展望

牛奥ノ雁ヶ腹摺山(うしおくのがんがはらすりやま)標高1994m山梨県大月市・甲州市/川胡桃沢ノ頭(かわくるみざわのあたま)標高1940m山梨県大月市・甲州市/黒岳(くろだけ)1988m山梨県大月市・甲州市/小金沢山(こがねざわやま)標高2014m山梨県大月市・甲州市

牛奥ノ雁ヶ腹摺山(以降:牛奥雁腹)は日本一名前の長い山名であるらしい。この時期になるとここに通じる林道は冬季閉鎖となっており、ある意味閉ざされてしまっている。この時期だからこそ静かな山歩きが出来るというものだ。当初は湯の沢峠から登ろうと考えていたが、あの手前の登山道が薄気味悪いので気が進まない、そこで今回は日川(にっかわ)林道の起点から登ることにする。

12月19日(日)
大菩薩湖までの道は「ペンションすずらん」を過ぎると積雪がみられるようになり、凍結した場所も随所にあった。日川林道の起点はゲートが閉じられて鎖と南京錠が施されていた。ゲート手前の道には駐車スペースがありおあつらえ向きだ。外気温はマイナス10度とてつもない寒さだ。この分で行けば山頂はさらに3度ほど低いことになる。支度をしているとさらに車が増えて合計3台になった。

あまり気が進まないが一番で出発する。どうも後ろに人がいると落ち着かない性格なのでできるなら後ろを歩きたいと思っている。林道は舗装されており凍結場所では緊張しながら通過していく。30分ほど歩くと「ペンションすずらん」からの道と合流する。2名のパーティーが同時刻到着してわずかに言葉を交わした。林道が冬季閉鎖でなければここまで車で来ることが出来るわけだ。ここが実質的な登山道入り口となる。


日川林道起点

林道から見る富士山

防獣ネットを開けて中に入る

大菩薩嶺が見える

この防獣ネットは跨いで外に出る

雪道を辿る

パノラマ岩の基部

パノラマ岩の上部


植林されたばかりの幼木を守るための防獣ネットを開けて中に入ると、階段が設置されている、急登の斜面にはこの階段はありがたい。どんどん高度が上がるので気持ちいい。振り返れば林道が眼下に遠ざかり大菩薩嶺は朝日が当たり眩しいほどだ。やがて植林地が終わると再び防獣ネットに行く手を阻まれる。これはどうしたものか?結局は跨いで通過するしかないようだ。

植林地を過ぎると登山道らしくなってくる。しかし樹林の中を歩くので展望がないからあまり面白味はない。振り返ってみても人の気配はなく、後続者は全く見当たらない。積雪はそれほどでもないが、凍結部分があるのでそれなりに注意して歩くことにする。アイゼンを装着するか悩ましいところだ。

パノラマ岩と呼ばれる場所に到着。下から見ると横幅があるからなのか?上部に登ると展望が良いからなのか?名前の由来ははっきりとはわからない。ここから雪の道をわずかに登るといきなり展望が開け、今までの樹林帯からの解放と重なって気持ちが高揚した。この光景は衝撃的でさえある。無数の立ち枯れの木が天を指し、さながら針地獄のようでもある。眼を転じれは雪をかぶった富士山が裾野を広げ頂きは天に向かっている。牛奥雁腹へはこの立ち枯れの木の中を登って行くことになる。雪は気になるほどではなくむしろ歩きやすいともいえる。


あそこが「牛奥ノ雁ヶ腹摺山」の山頂だ

それにしてもすごい光景だ



牛奥ノ雁ヶ腹摺山

牛奥ノ雁ヶ腹摺山

手前のピークは「川胡桃沢の頭」


林道登山口から1時間10分で誰もいない牛奥雁腹の山頂に到着。大菩薩方面を除いて素晴らしい展望がそこにはあった。これから目指す黒岳方面の先には富士山があり、霞んではいるが遠くに横浜ランドマークタワーの形が分かった。それにしても寒い、じっとしてはいられないほどの強風が時折吹いてくる。体感温度はマイナス15度くらいだと思う。ここで単独行の男性が到着し言葉を交わした。これから先のことを考えて、チェーンアイゼンを装着することにした。両手は冷たさが増してきたので、手袋を2枚装着した。

さあ、これから黒岳に向けて出発だ。笹原の中の斜面をもったいないほど下降する。山頂での風はここでは吹いていなかった。しかし鞍部に出たとたんに強風が吹き始め、それは樹林帯の登りになるとさらに強くなった。ヤッケのフードを何度も外されて紐を結びなおすことを繰り返した


牛奥ノ雁ヶ腹摺山を下降する

川胡桃沢の頭に登る

川胡桃沢の頭から

大峠への分岐

黒岳

再び牛奥ノ雁ヶ腹摺山を目指して

横浜が見える


川楜沢の頭は笹原となっており、ここは風が穏やかになった。どうやら樹林帯の中は風が強くなる傾向にあるようだ。ここも富士山の展望場所として優れているが、山頂はいつの間にか雲が掛り、残念な状態となってきていた。再び樹林帯の中に入り黙々と歩くのみだ。但し高低差はさほどないので疲労はそれほどでもない。

大峠への分岐を過ぎればすぐに黒岳の山頂となった。黒岳は樹林の中にあり展望は無い。こんもりしたところに三角点が置かれているだけの場所で地味な山頂ともいえる。ここも寒く長居はしていられないので早々に退散して、往路を辿り牛奥雁腹に戻る。

川胡桃沢の頭は風が比較的穏やかだったので、お湯を沸かしてカップラーメンを食べて温まることにした。

再び牛奥雁腹の山頂に立ったが、誰もいない静かな山頂だった。しかし雪面の足跡が増えていることからそれなりに登ってくる人はいたようだ。これから効率は悪いが、小金沢山に向けて出発だ。山頂をわずかに下ると笹原が広がり、その中の道を3人のパーティーが歩いていくのが見えた。ほどなく3人を追い越して先に進むことになった。途中で笹原の展望が良い場所に出たが、富士山の頂上は相変わらず雲が掛で残念だった。

小金沢山の山頂は展望がよく、寒く無ければ最高の休憩場所となるだろう。しかし正午を過ぎると寒さは一段と増し、とても2000mの山にいる気は起らない。一刻も早く下山したいと考えた。


二度目の牛奥ノ雁ヶ腹摺山

こんな風景は好きだ

小金沢山

三度目の牛奥ノ雁ヶ腹摺山


三度、牛奥雁腹の山頂に立ったが、やはり人影はなかった。

駐車地点に戻ると、すでに他の車は無く路面は溶けた雪が凍り付いていた。



「記録」
日川林道起点07:56--(.31)--08:27日川林道登山口--(.54)--09:21パノラマ岩--(.16)--09:37牛奥ノ雁ヶ腹摺山09:44--(.59)--10:43川楜沢の頭--(.19)--11:02黒岳11:15--(.34)--11:49川胡桃沢の頭12:03--(.43)--12:46牛奥雁腹--(.29)--13:15小金沢山13:20--(.30)--13:50牛奥雁腹13:57--(.50)--14:47日川林道登山口14:54--(.24)--15:18林道起点
群馬山岳移動通信/2021


この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)