万場町と中里村の登り残した山「白石山」「城山」 登山日2000年1月3日


白石山(しらいしやま)標高1102m 群馬県多野郡/城山(じょうやま)標高922m 群馬県多野郡

白石山から秩父山魂の眺め

 Y2Kの大騒ぎで、元旦から会社で無料奉仕に付き合わされて、正月気分もなかなか盛り上がらない。ところで、県内の山も次第に未登の山が少なくなり、多野郡の万場町と中里村の地形図に山名が記された山も、残すところ各々一つとなった。

 1月3日(祝)

***白石山***

 まずは白石山を目指して、万場町の万場地区から塩沢ダムへの道に入る。塩沢ダムまでは立派な舗装路が出来ているが、そこから先は鬱蒼とした沢沿いの狭い林道がさらに続いていく。栗木平と呼ばれる場所にたどり着くと、そこには「赤山荘」という民宿が一軒だけあった。人里から隔離されたこんな場所で、民宿をやっても意味が無いようにも思うのだが、手入れの行き届いた庭を見ると活気があるのかなとも思う。

 民宿を過ぎるとすぐに、標識が現れて道の分岐を知らせてくれる。そのまま進めば、御荷鉾スーパー林道、左の未舗装路は「早滝」と書いてあった。ともかく白石山に向かって行かなくてはならないので、早滝方面にハンドルを切った。

 道は一旦下ってから、登りだして次第に高度を上げていく。心配したが、道はそれほど荒れていないので、まずは安心して登って行くことが出来る。やがて頭上を送電線が林道上を通過する場所に着いた。そばにはお馴染みの、送電線巡視路の黄色いプラ柱が見える。プラ柱には「新榛名線127号に至る」と書いてある。この林道は地形図に表現されていないので、正確な場所の特定が出来ない。そこでGPSのスイッチを入れて位置の特定をすることにする。
白石山山頂
 場所は送電線の標高940mの地点であることが判明した。どうやら、このまま送電線の巡視路に沿って登り、稜線に出てから西に向かうのが良さそうだ。適当なところに駐車をしてから支度をして出発だ。朝の内は山頂部分がガスで見えなかったが、出発の時にはすっかり青空が広がり何とも言えない清々しさに包まれた。

 巡視路はまことに良く整備されており、歩きやすく迷うことなど考えられない。歩き始めて程なく127鉄塔に到着、さらに数メートル登ると稜線に到達した。稜線を右に折れて西に向かうと、ちょっとした登りとなった。ちょっと灌木の藪がうるさいが、さほど気にはならない。そしてそのコブを越えると、目の前に白石山のピークが見えた。そのピークに向かってわずかな距離を登ると、そこが山頂だった。

 山頂には3つの石祠があり、杉の木が2本植えられていた。さらにGさんとM大の山頂標識が立木に取り付けられていた。周囲はカラマツが植林されているので、展望は今ひとつであった。それでも南方面は、二子山方面の展望が優れている。何とか一局と交信してから荷物をまとめて下山した。

 下山は、山頂から一気に林道に下ったが、傾斜がきつくむしろ登ってきた道を帰った方が楽だった。



***城山***

 城山というのは地形図に記されたものだけで、群馬県内には五つある。それだけ一般的なのだが、この中里村の城山はその中でも一番標高が高い。

 神流川に沿って進む国道462号を走り中里村に向かう。丸岩を過ぎ、叶山鉱山事務所を過ぎるとすぐに右に入る道がある、これが林道「ながたわ線」で未舗装の道が目指す城山に向かって続いている。

 未舗装の道はあまり広くないので対向車が来たらちょっとやばいかも知れない。それでも何とか急勾配の道を喘ぎながら登っていく。しかし、だんだんと道が怪しくなり、ついに林道終点の標識が現れてしまった。林道はさらに続いているが、さらに狭くなったのと、道の勾配がきつくなったので車はここで断念した。しかし、道の幅員が狭くて車を転回させる場所がない。仕方なく300メートルほど、やっとの事で後退して広い場所に出て車を駐車した。この場所には防火用の天水を貯めるドラム缶と、「4」と書かれた表示板が置かれてあった。

 ここでもGPSで位置を確認すると、標高620mの林道上にいることが分かった。しかし、現在の周囲の状況から見て地形図の林道の表記とは異なっている。もっとも私の地形図は昭和61年発行のものなので、15年も前である。異なっていたとしても不思議はない。

 今度は昼食をザックに詰め込んで再び背負い歩き出す。胸ポケットにはラジオ、ストックには鈴を付けて熊対策を万全にして、鬱蒼とした杉の林の中を歩く。この林道は狭いが舗装がなされているので、軽トラックなどならば問題なく登ることが可能だ。一旦水平に東に向かうと、未舗装の車が走行できる幅員の枝道に出会う。ここで道は大きく今度は西に向かうことになる。ここで「←中央テレビアンテナ」の小さな標識が石積みの土手の上に置かれていた。
城山登山途中で見る二子山と叶山
 さらに林道を詰めると、城山の切り立った岸壁がかなりの迫力で見えている。いったい何処から取り付いたらよいものか心配になってくる。しかし、ともかく林道を歩いて少しでも高度を稼ぐことが、今では一番の得策と思える。やがて植林帯を抜けて明るい雑木の林になったところがここで道が分岐してしまった。上部に行く道は取り残された格好で、水平に行く道が掘り下げられた状態で取り付けられている。これでは道は分断された格好になってしまっている。試しに水平に行く道を辿ってみたが、どうやら下降して行くようなので再び分岐に戻った。GPSで確認すると標高760mの地点であった。

 分断されてしまった上部に続く道に入り九十九折りの道を登る。この道は落ち葉が深く西上州特有の気持ちの良い登り道だった。ところが突然、目の前に放置されたマイクロバスが現れた。どうやら工事の時に作業者が休むために置いたものらしいが、中にはプロパンガスのボンベも置かれ、窓ガラスも割れておらず、まだまだ使用には問題がなさそうだ。しかし、道が分断されてしまった以上、このマイクロバスは朽ち果てるまでここに放置される事だろう。ここを過ぎると道は再び水平になり、南方面の展望が開け、叶山の荒々しい姿が間近に見られた。見上げる近くの岩壁は、紫色のところもあり、光の加減によっては面白い輝きを見せた。

 道は再び植林地に入り、沢に向かって一旦下降してから途中で上部に向かうことになる。歩いて登っていくと、やがて林道は終わり標高860mの城山の北の鞍部に到着した。さてここからどうやって登ろうか?目の前にはちょっとした岩場があり、まともには登れそうにない。左側はかなり切れ落ちていて、登るどころか横にも行けない。右の方は灌木がうるさいものの、何とかなりそうである。そこで右側の斜面に取り付く事にした。

 しかし、実際に登ってみると灌木は折れやすく、なかなか手掛かりが見つからない。ともかく慎重にじっくりと高度を稼いで行く。帰りは補助ロープを持ってきたので、多少の事では何とか対処できるので安心だ。何とか灌木をくぐり抜けて、急斜面を登ると標高900mのピークに到着した。馬酔木の緑が眩しいピークを過ぎると、ちょっとした岩場を下り、最後の登りを喘ぎながら登るとそこが城山だった。

 山頂はやはり馬酔木の木に周囲を囲まれて展望はない。Gさんの山頂標識がやはり立木に打ち付けられていた。山頂から南に移動してみると、なんとそこにはテレビ共聴アンテナが設置されており、ちょっとガッカリした。これだけの機材を運んだとすると、必ず道が出来ているはずなのだが、それがさっぱり見えないのだ。あるいはあるのかも知れないが、廃道になっているのかも知れない。

 このアンテナのところは展望も良く、日差しも暖かいので腰を下ろして休憩をした。無線は館林の局が出ており、なんとかQSLは確保する事が出来た。目の前の叶山、二子山、両神山の青いシルエットを眺めながら、のんびりと時間を過ごした。




***白石山***

林道駐車地点08:40--(.10)--08:50127鉄塔--(.16)--09:06白石山山頂09:36--(.15)--09:51林道駐車地点


***城山***

林道駐車地点11:01--(.36)--11:37林道新旧切断分岐--(.23)--12:00林道終点--(.15)--12:15城山山頂13:00--(.42)--13:42林道駐車地点



群馬山岳移動通信 /2000/