ウイスキー片手に「赤雪山」「仙人ヶ岳」  登山日2000年1月22日


赤雪山(あかゆきやま)標高621m 栃木県足利市・栃木県安蘇郡/仙人ヶ岳(せんにんがたけ))標高663m 群馬県桐生市・栃木県足利市
赤雪山山頂
1月22日(土)

 今日は、市内の山仲間である柄沢さんと桐生の山に出かけることになった。目的地は仙人ヶ岳で群馬・栃木の県境にある山である。ガイドブックの紹介コースでは何とも味気ないので、ちょっと寄り道を考えながら、事前に地形図上でルートを考えた。その結果、足利市の松田川ダムから赤雪山に登り、稜線伝いに仙人ヶ岳まで行き、帰路は仙人ヶ岳の北の稜線上に戻り藪こぎで林道に向かうと言うものだ。

 松田川ダムの管理棟を過ぎ、赤雪橋を渡るとすぐに右の山に向かう道が現れた。標識には「赤雪山ハイキングコース」「駐車場」と書いてあり、舗装路が延びている。その標識に従い200mほど進むと立派な駐車場に到着した。その片隅に駐車して、出発の準備をすることにする。

 同行の柄沢さんは出発準備がすぐに整い余裕である。しかし、私は車の中を引っかき回して道具を集めているので、なかなか準備が整わない。30分ほどしてやっとの事で準備を整えたが、身体が冷えてきた柄沢さんはすでにアルコールで暖をとっていた。

 素晴らしく良く整備された道を歩き始めると、赤雪山の稜線は青空の中にくっきりと浮かんでいた。しかし、杉の植林地の中の道に入るとあたりは暗くなり、羊歯に被われた炭焼き窯も目立つようになった。そんな鬱蒼とした道もすぐに通過して、目の前には明るい稜線の端が灌木の隙間から見えるようになる。

 程なく稜線に到着したが、休まずに赤雪山の山頂部分の急登を一気に登った。

 赤雪山の山頂には、東屋と山頂標識が何枚も設置されていた。周囲は伐採されており、それなりの展望が作られている。地形図を広げてこれから向かう仙人ヶ岳とそれに続く馬蹄形の稜線を目で辿った。見ればこの稜線には、下方からいくつもの林道が迫っており、開発が進んでいる感触をかなり受けた。遠くには足尾と日光の山が白銀の姿を青空の中に見せていた。目を転じて、東方を見れば筑波山の姿が、朝霞の中に山頂部分の双耳峰を見せていた。

 気温が低いために、少し動かずにいるとすぐに身体が冷えてくる。柄沢さんと二人でウイスキーのポケット瓶を取り出して口を付けた。この分ではこのポケット瓶の中身が無くなるのも時間の問題だ。記念撮影をしてから、山頂を後にした。

 赤雪山からの道は心配したのだが、明瞭で迷うこともなさそうだ。しかし、いつもの癖でしきりに地形図を取り出して眺めるのは、藪山登りが多い事の悲しい性と言うものだろうか。アップダウンもそれほど無く、順調に距離が延びるので実に気持ちがよい里山歩きとなった。
登山道脇の営巣の跡
 時折、鳥の営巣の跡が見られるのだが、これがなかなか面白い。登山道の本当にすぐ側に作り、高さもせいぜい150センチ程度である。これは、この登山道があまり利用されていないと言うことなのだろうか。それに中にはビニルの荷造り紐も使っているのである。このあたりで調達するといえば、登山者が目印に立木にマーキングしていったものくらいである。強度を考えればこれはかなり良いと思うが、何とも味気ないと感じるのは人間の身勝手に違いない。

 標高585mのピークを過ぎた頃から若干、アップダウンが多くなったが、それほどきつい登りもなく通過することが出来た。途中石祠のあるピークがあるところを見ると、地元の信仰を集めているものがあるのかも知れない。

 道はやがて県境稜線に到達、右は桐生市街地、左は仙人ヶ岳に分かれる三叉路となった。明るい雑木林の気持ちの良い稜線の道である。目指す仙人ヶ岳は木々の隙間から見え隠れしている。三叉路からは落ち葉の積もった急坂を足下に注意しながら降下、その後再び喘ぎながら灌木に掴まりながら、急登を登り上げた。柄沢さんはすっかりこのピークが仙人ヶ岳だと思って登ったらしく、このピークが違うと知ってガッカリとしていた。

 道はさらに明瞭な稜線に付けられており、心配になるような場所はない。再び灌木に掴まるような急登を登り上げると、そこは山頂部分が露土に被われた広場になっていた。小俣小学校の立てた大きな標識が目に付いた。ここから道を辿って100mほど歩くと、そこが仙人ヶ岳の山頂だった。山頂は三角点があり、各種の標識がかなりの数設置されていた。展望は木の陰から「赤城山」「奥白根山」「男体山」などが見渡せたが、あまり恵まれてはいなかった。
仙人ヶ岳山頂
 適当な場所を選んで、腰を下ろして昼食となった。柄沢さんの持ってきたビールを飲み干してから、ウイスキーのポケット瓶もいつの間にか飲み干してしまった。それだけ気温が低かったからなのかも知れない。それに持ってきたラーメンを食べると身体が暖まるのを感じた。無線は本庄市の局と430Mhzで交信しただけだった。

 いつしか山頂はナイスミディーの集団に占拠され、入れ替わり立ち替わり目の前を小用のために動き回るのには閉口した。その集団も立ち去り、再び静けさが戻ったところで、我々も腰を上げることにした。

 さて、ここで帰りは下降点を探しながら歩くことになる。ポイントは標高623mの標高点の南の590mの地点だ。地形図上から緯度経度を読みとって、GPSのスイッチを入れて測定しながら歩いた。

 GPSはさすがに便利なもので、狙った地点にピンポイントの正確さで立つことが出来た。しかしGPSもここまでで、この稜線から谷間に入るのでGPS電波を受信出来ないのでを使えなくなる。そこで今度はコンパスを取り出して方向をあわせ、下降することにした。はじめは尾根を辿ったのだが、岩場が多くなり、危険を感じたために右の植林地に移動した。なにしろ、アルコールがたっぷり身体に行き渡り、足下がふらつくからよけいだ。植林地はやがて沢にたどり着き、さらにその沢を辿って下降した。やがて沢沿いに植林の作業道が現れ、その道は林道へと導いてくれた。

 まだ陽の高い明るい林道を、松田川ダムに向かってゆっくりと歩いて帰路についた。



「記録」

松田川ダム08:23--(.32)--稜線08:55--(.08)--09:03赤雪山09:26--(.17)--09:43原仁田の頭--(1.00)--10:43623mピーク--(.32)--11:15仙人ヶ岳12:58--(.22)--13:20590mピーク--(.16)--13:36林道--(.49)--14:25松田川ダム



              群馬山岳移動通信 /2000/