岩峰と薮峰の稜線「サスの峰」「栗原山」 登山日2004年12月19日

左から「二子山」「叶山」「両神山」

サスの峰(さすのみね)標高1174m 群馬県多野郡/栗原山(くりばらやま)標高1310m 群馬県多野郡

(「サスの峰」の呼称は日本山名辞典では「サス峰」となっている)

 2万5千分の1地形図にはサスの峰その名前は記載されていない。またそこから北に派生して、南小太郎山に至る稜線上にある栗原山は、標高点も記されていないピークである。地形図上で見ると、サスの峰から栗原山の稜線は、細かい岩峰がいくつも連なっている。ここを踏破するには、それなりの準備が必要と思われた。

12月19日(日)
 地形図を見ると、サスの峰は近くまで林道が通じている。エアリアマップでは南側は石門があったり、かなり困難なルートを予想させる。そこでまずは林道を辿ってサスの峰に登ることにする。
中山神社登山開始の林道分岐

 国道299号線を上野村から神流町中里に向かう。魚尾(よのお)地区の中山神社の先で左折し、舗装された林道を山に向かって登りあげる。駄場さんの車が林道からの登山路を探して先行した。やがて、山に向かって延びている作業林道を発見した。地形図とGPSを確認しながら、駄場さんがここが最も良いと言って車を駐車した。

 さて、この登山口に着いたのは4人であったが、私と猫吉さんが出発の準備に手間取ってしまった。その間に怪人と駄場さんは、すっかり準備を整えてしまっていた。ちょっとイライラしたのか、怪人は昼までに帰らなくてはいけないと理由を付けて、準備が終わらない二人と準備の終わった一人を残して、帰宅をしてしまった。残された三人(二人)は、さらに出発準備に時間をかけてしまった。

待ちくたびれた駄場さんを先頭に、林道を山に向かって登り始めた。林道は軽トラックならば充分に通れる広さだった。鬱蒼とした杉の植林地を縫うように林道は付けられている。久しぶりに歩く猫吉さんは、周囲の景色を確認するように歩いている。南方面には石灰石の採掘で山頂部分が平らになってしまった叶山、その奥の峨々たる岩稜は両神山、左のピラミダルなピークは二子山だろう。私は夕べの山小屋での宴会の酒が残り、ちょっと疲れ気味だ。

 地形図を見ながら先頭を行く駄場さんが、林道を離れて杉の植林地の斜面を登り始めた。こうなると後から付いていく身は、完全にお任せ状態だ。駄場さんに続いて斜面を登り、枝尾根に乗り、右に折れて登っていく。やがて右からの枝尾根と合わせて左に折れる。
サスの峰 山頂の達筆
 落ち葉の積もって滑りやすい斜面を登って行くと、そこには岩場が立ちふさがっていた。この岩場は右に巻いてから再び登りあげる。今度はその巻いた岩場の岩峰と次の岩場の間に出た。その岩場も同じように右に巻いて、すぐに直登になった。この直登は傾斜もあり、積もった落ち葉が何とも煩わしい。その急斜面を過ぎると雑木林となり、傾斜も緩やかになった。それとともに目の前に赤白のダンダラ棒が、数メートル先に立っていた。

 ここは長老の猫吉さんに初登頂を譲った。猫吉さんはその様子をデジカメの動画で撮影しろと言う。かなり気合いが入っている様子で、後々の記念と言うことなのだろう。サスの峰山頂は土に埋もれた三角点と、ダンダラ棒が立っていた。山頂標識は白地に黒で大書したものと、最近取り付けられた達筆標識があった。展望は葉が落ちているものの灌木に遮られてあまりパッとしない。それよりも栗原山に続く岩稜の険しさが気になる光景だった。当初、サスの峰から林道に一端降りて、再び栗原山に登り返す事を考えていた。しかし、ここから林道を眺めると、そこからの栗原山もかなりきつそうである。こうなれば答えは稼いだ高度を無駄にせずに、このまま岩稜を辿って栗原山に行こうと言うことになった。

 ここからも駄場さんの、ルートファインディングが頼りとなった。

ここからは少なくとも5つ以上のピークを越えた。いずれも急傾斜の下降と登高となった。我々は使わなかったが、ザイルは必携と考えられる。安易に踏み込むべきではない場所であることは間違いない。赤テープも途切れがち、境界見出票もあるがルートとして使用するのは無理がある。これらを文章で表現することは難しい。
栗原山山頂の達筆


いくつかの岩峰を越えてたどり着いた栗原山は、展望がほとんど無い尾根状の場所だった。山頂には特別なものはなく、立木に巻かれた赤テープに「栗原山」の文字が読み取れた。また達筆標識は文字も新しく立木に取り付けられていた。エアリアマップを見ると、北の方角にある鞍部(持越峠)から林道に向かって、薄く波線が記載されている。これを辿れば簡単に帰れそうである。もう岩場は無いだろうと言うことで、それぞれに缶ビールを開けて祝杯となった。しかし、缶ビールはちょっと震えが来る寒さだった。

 栗原山をあとにして、アルコールの力も加わり、鞍部の持倉越に向かって一直線に下る。鞍部には高崎営林署の標識が長年の、ナツツバキの木の成長で取り込まれていた。さて標識はあるが道がない。落ち葉が降り積もった雑木林は、すっかり道を覆い隠してしまっている。三人で目を凝らして道を探すと、どうやら斜面をほぼ水平に走る段差らしきものが目に付いた。ここからも駄馬さんのルートファインデイングが頼りで、後を追いかけるように下った。振り返るとサスの峰から栗原山の岩稜が見える。よくあそこを歩いたものだとお互いに感心してしまった。

 途中で廃林道に突き当たりそれを忠実に辿って、舗装された林道に飛び出した。

持倉越持倉越からの道を辿る


「記録」

林道09:04--(.53)--09:57サスの峰10:15--(2.03)--12:18栗原山12:53--(1.19)--14:12林道--(.20)--14:32駐車地点





GPSの軌跡が思うように取れていない。
おそらく狭い岩場が多く、思うように電波を受信できなかったことが原因と思われる。



この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)




群馬山岳移動通信/2004