六日町の人に親しまれている「坂戸山」
登山日2001年6月16日


坂戸山(さかどやま)標高634m 新潟県南魚沼郡



坂戸山案内図 
6月16日(土)

 高倉山から下山したが、まだ時間が早いのでもう一山を狙うことにした。地形図を見ると六日町の市街地から魚野川を挟んだ右岸に、坂戸城跡と言う表記がある。そしてその傍には坂戸山の名前に、三角点と城跡の記号が並んでいる。通常このような山はしっかりとした道があり、上手くすれば車道があることもある。これなら楽勝と二人の意見が一致して、坂戸山に登ることに決めた。

 登山口と思われる場所に見当を付けて、車でその場所に入ろうとしたら、20台程度駐車出来る駐車場が満車である。それに近くの神社では、学生がなにやらトレーニングの真っ最中であった。何かの縁日なのであろうか、それともなにかのイベントが行われているのだろうか。20分ほど待ってやっと駐車スペースが確保できたので、やっと出発する事が出来た。
石仏の道
 駐車場から右手の階段を登り、杉の木立を抜けると明るいサクラ並木の広い歩道に辿り着いた。そして道の傍らには、およそ2間の間隔で石仏が置かれており、それぞれ異なった姿と表情を持っていた。その道はKQAと並んで歩いても十分な広さがあった。

 前方から下山してくるご夫婦とすれ違った。そこで頂上までどれくらい掛かるのか聞いてみた。すると「登山靴でしたら、40分程度です」と答えた。”登山靴なら”と言うのがちょっと引っかかったが、ともかく40分と言うことで、かなり簡単と思った。しかし、KQAは地形図を見て「標高差約450mを40分はきつい」そう言った。言われてみれば確かに鼻歌まじりに登れる山ではなかった。

 20分ほどで一本杉との分岐に到着した。ここからは急坂となっており、なかなか手強い登りとなっていた。振り返ると魚野川の左岸に広がる六日町の町並みが美しい。それは田植えの終わった水田の中にあり、その鏡のような水面との対比があるからなのかも知れない。

 登りはじめに聞いた40分を経過しても、まだ山頂は遠くに見えている。後ろから来る人々に何組も追い越されて行くのだが、こちらは一向にペースがあがらない。KQAは前夜の寝不足がこたえているのか、足取りが重く息も上がっている。しまいには草履履きの若者にも追い越されてしまった。

 そのうちに前方から足取りの軽い、年輩の女性が降りてきた。
「どこから来たんねん」
「東京と、群馬ですが」
「まあ、そんなところから何でまた」
「高倉山に登ったんだけど、時間が余ったから登りました」
「まあ、それはそれは、それでは記念に足のお守りになる、手作りの草履をあげましょう」
そう言ってザックを降ろして、その中からカラフルなビニル紐で編んだ小さな草履を取り出した。KQAもそれを受け取り、しきりに眺めている。
「坂戸山は良い山ですね」
「そうでしょう、またいらっしゃい」
そう言って軽快に、慣れた足取りで道を下っていった。この人物は山頂でその正体が明らかになる事となった。

 坂戸山の山頂直下はちょっとした岩場があり、鎖が設置されていたが、それほど危険を感じる物ではなかった。そしてその岩場を越えるとすぐに山頂に辿り着くことが出来た。標高差約450mではあるが、実に1時間半を要してしまった。40分で登れます、と言われたのだが、2倍以上掛かってしまったことになる。
山頂の富士権現神社
 山頂は刈り払われて、広々としていた。その最上部には富士権現神社があり、その側には三角点が設置されていた。山頂からの展望はまことに素晴らしいもので、六日町の市街地周囲の山々がまことに美しい。その景色を見ていると、疲れを忘れる程である。

 それにしても、山頂には登山者がひっきりなしにやってくる。山頂にいた30分間に約20人ほどが来たようである。やってくる人は年齢層も幅広く、男女を問わず子供からお年寄りまでであった。その内に地元の親子連れが、神社のカンヌキを引き抜いて社の扉を開けた。そこで中をのぞくと、内部は畳が敷かれて清潔であった。そして中には先ほどもらった草履が掛けてある絵馬が目に入った。どうやらあの女性は、この坂戸山に千回登った記録の持ち主であるようだ。これは大変な記念品で、大切にしなくてはいけないと再びザックの中から取り出して眺めた。

 さて下山だが、私が今度は持病の膝痛が発生、足を引きずりながらの下山となった。そんなわけで帰りは、40分ほど掛かってやっと登山口に辿り着いた。下山したときは18時を回っていたが、それでもまだ山に登る人がやってくるのには驚きを禁じ得なかった。草履の作成者?

 待望の温泉は「五十沢温泉」に立ち寄ったが、ちょっとした驚きが待っていた。興味のある方は訪れてみると良いのではないか。

 その後は五十沢キャンプ場で豪華な食卓を囲んでから就寝となった。




「記録」

登山口15:20--(1.33)--16:53坂戸山々頂17:23--(.39)--18:02登山口


JQ1HXF/2001/