新緑の林道を辿る「六軒山」    登山日2005年6月5日

四郎岳・燕巣山・奥白根山


六軒山(ろっけんさん)標高1723m 群馬県利根郡

山歩きを計画するときに、たまには何も考えずに決められたコースを歩きたいと思うことがある。そうは言っても人混みの中を歩くのは、ちょっとつらいものがある。そこで目を付けたのが、金精峠手前の六軒山だった。かつて沼上山から笠ヶ岳まで歩いたときに、眼下に延びていた林道が気になっていた。
林道入り口
 6月5日(日)
 香沢林道入り口はゲートが閉じられていた。ゲートを開ける為に必要なハンドルの挿入口は、南京錠が取り付けられて簡単には開けられそうにない。想定範囲内ではあるが、ここから歩くことにする。林道入り口の農産物直売所の駐車場は「無断駐車禁止」の看板がある。断りを入れようと思ったが、まだ関係者は来ていないのでそれは出来ない。仕方なくゲートの前のスペースに駐車することにした。今日は軽トラックで来ているので、わずかなスペースがあれば充分なので、ゲート前は車1台分の通行スペースは確保できた。しかし、ゲートのポール部分の、二輪車がかろうじて通過するスペースは塞いでしまった。(二輪車の方ごめんなさい)今日は日曜日なので
 ザックを背負って歩き始めると、意外とひんやりした空気に驚く。やはり香沢に沿ったこの道は、風の吹き抜けが多いのだろう。また新緑がいっそう爽やかさを演出していることもあるのだろう。林道はたいへん良く整備されており、路面の状態もたいへんによい。歩くのを前提で来たものの、軽トラックにスクーターを積んでくれば、かなり楽を出来たと感じた。
 ほとんど水平に近い状態で、香沢の上流に向かっていく。新緑と青空の対比がすばらしく、この季節の一番美しい色彩だ。やがて香沢ダムに到着、ダムは堰堤の上部まで土砂で埋まり、その機能は果たしていないように思われる。さらに林道を詰めると香沢上流ダムに到着した。ここはダムの下部から放水をしている為なのか、土砂の堆積は見られなかった。
 この地域は熊の巣窟と言うイメージがある。そこで熊よけの鈴をストックに取り付け、故意に揺らして音を出した。しかし、そうは言っても熊の気配を感じるものは全くなかった。足跡はともかく、熊棚も見あたらないのである。周りを見渡すとカラマツの植林が進んでおり、熊の食料となる広葉樹が少ないことが影響しているのかもしれない。
香沢ダム香沢上流ダム

 地形図を見ると、林道は九十九折りになっており、ショートカットで直登することも考えられる。しかし、笹藪が深いので、順当に林道をトレースした方が疲労は少ないと思われる。時折GPSを確認しながら現在地を確認するが、マークしておいた目印の分岐地点は、なかなか近づかない。爽やかだったはずの林道は、時間とともに辛くなってきた。スクーターを使えばなんと言うことはないはずである。「戻ってでないしてこようかな」そんなことを考えるようになった。林道ゲートに駐車した車のことも気になる存在であった。
 歩き始めて1時間半で1384mの林道分岐点に到着。標高950mから歩き始めているので、標高差約430を登ったことになるがあまり疲れは感じていない。さらに進むとふたつの橋が連続してあらわれる。初めは三ヶ峰橋で、次は香沢大橋である。橋はいずれも水の流れが美しい沢を跨いでいた。この橋を渡り、尾根を回り込むと大きな崩壊地が目に入った。崖が崩れ落ちて岩がむき出しになり、遠くからもよくわかる。その手前にはやはり大きな橋が架かっていた。
 橋に近づくと崩壊地は圧倒的な迫力で覆い被さるように迫っている。橋は深山大橋で、このルートの中では最も大きいものだった。橋を渡り、わずかに上ると、ゲートがあらわれたが、このゲートは鍵がかかっていなかった。ここからはカラマツの植林地をひたすら登ることになる。むせかえるような新緑は芳香を感じるほどだ。すると、真新しいカラマツの伐採された跡に到達した。今日は日曜日だからよいが、平日はこの作業のための通行があるに違いない。そうなると今日のようにゲートの前に駐車なんてのは論外と言うことになる。伐採地を過ぎると道はなだらかになりった。やがて道は分岐し、右の上部へ行くものはコンクリートの簡易舗装がしてあり、左の道はやや下降して延びている。地形図で確認して、その左の道に入ることにする。
深山橋と崩壊地六軒山まであとわずか
この切り開きの上が山頂Gさんの標識

 いったん下降した道はすぐに水平となり、再び緩やかに登っていく。ここに来ても道はすばらしく快適で、荒れた様子は全く見られない。延々とカラマツの林が続くのみである。ここに来てこの山は植生が貧しい事に気が付いた。この時期ならば、ツツジなどが華やかなのだが、この植林のために植生が変わってしまったのだろう。快適な林道もややきつい登りとなると、山頂が近い感じがする。すると突然目の前が開け、奥白根山が飛び込んできた。峠のようになっているこの場所は広くなっており切り開かれている。その切り開かれた場所の北側は高くなっており、笹で覆われていた。三角点のある山頂はここに違いないはずなので登ってみる。胸ほどまである笹が密生し、三角点をなかなか確認できない。石で囲まれた場所があり、そこにはGさんの標識が泥に埋もれていた。おそらく立木の付けられたものが、何かの要因で落ちたものだろう。肝心の三角点だが、その付近を探し回ったが全くわからない。仕方ない、断念して笹藪から脱出した。
 林道の切り開きに戻り、展望を確認する。この場所からは奥白根山から錫ヶ岳がよく見える。笠ヶ岳は木に隠れているがその形は確認できる。奥白根山の左には燧ヶ岳も遠望できた。林道はさらにここから下降しているので、その先に行ってみる。そこからは武尊山から至仏山に至る稜線が青空に、くっきりと輪郭を浮かび上がらせていた。また足元には新緑の樹林が広がり、空さえも緑に染めるようだった。この六軒山から先の林道は地形図には表されていないので、確認は出来ないが仁下又沢に降りているようにも見えた。
 切り開きに戻り、350CCの口を開けてその大展望を楽しんだ。しかし、雷雲が気になったこともあり、早めに下山した。
帰りは混雑とは無縁の寄居山温泉で汗を流し、渋川付近で雷雨に見舞われた。

 
武尊山・至仏山・燧ヶ岳
 

「記録」
林道入口07:39--(.24)--08:03香沢ダム--(.15)--08:18香沢上流ダム--(1.07)--09:25深山橋--(.03)--09:28ゲート--(.35)--10:03分岐--(.20)--10:23六軒山山頂10:57--(2.03)--13:00林道入口



GPSトラックデータ

この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)
及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)