赤城山の北の寂峰「大峯山」  登山日1999年3月13日


大峯山(おおみねやま)標高1136m 群馬県利根郡

大峯山山頂の二等三角点
 2万5千分の1地形図「赤城山」を見ると、左の上に忘れられたような山がある。華やかな赤城山の存在に隠れてしまって、なにやら哀れな感じがする。見ればどうやら薮山でもあるようなので、積雪期を選ばなければ登れそうにない。

 3月13日(土)

 昭和村の赤城大規模農道を車で走行する。あまりにも単調で景色に変化がないものだから、途中の曲がり角を見逃してしまった。赤谷地区の十字路を南に折れて、真っ直ぐな道を登っていく。

 すると、なにやら古びた施設が左側に見えた。どうやらこれが地形図に表されている「屋外活動センター」らしい。その先の車道は道路工事中で、3月20日までの工事と標識に書いてある。試しにその道を先に行ってみると、300m程ですぐに行き止まりとなってしまった。工事中の道でなにかトラブルでもあったら困るので、戻って屋外活動センターの余地に車を駐車する事にした。

 支度をしていると、犬を2頭連れて散歩中の男性が通りかかった。
「大峯山」はここから行けますか?」
「ああ、あそこに見えている山がそうだが、営林署関係かね?」
「いいえ、遊びです」
「遊びね、たしか標識もあると思うから、30分くらいで行けると思う」
そう言って、男性は犬を引っ張るようにして再び歩いて行った。「(30分!!)」で行けると言っていたが、本当なのかなと心の中で繰り返した。準備をしている間、終始子持山と真っ白な谷川連峰が青空の中に浮かんでいる。なんだか、このまま山歩きなどせずに、一日眺めて、貯まった疲れを取ろうかなどとも考えてしまった。

 歩き出すと、すぐに道の右の分かれ道に鳥居が見える。その奥には小さな社があり御神体が置かれていた。神社は「赤谷十二山神社」と書かれており、白米が一握り置かれていた。道はこの神社の先にも続いており、その先は立派な施設が樹林の中に一部が見えていた。「横浜市少年自然の家」とあるところを見ると、先ほど車を置いた屋外センターはこの施設の一部なのだろうと推測できる。

 神社から再び車道に戻り300mほど歩くと、この工事中の道から右に未舗装の道がある。その道に入ると、すぐに「糸の瀬林道」のゲートに突き当たった。ゲートの脇を抜けてそのまま林道を奥に向かって歩く。思ったよりも雪は少なく、日陰に数センチ残っているのみだった。道の両脇は檜の植林地で、薄暗くあまり気持ちが良くないことは確かだ。ポケナビを取り出してスイッチを入れたが、予想通りGPSの電波は届いて来ないらしく。位置の確認は出来そうにないので、スイッチは再びOFFにしてしまった。文明の利器はいざと言うときは当てにならないものだと実感した。

 この道は営林署の林道らしく、途中に「苗畑に2q」などと言う標識も見つけることが出来る。また林道の分岐には数字で方向を示しているらしく、矢印と数字を書き込んだ標識があった。大きな分岐のところは、現在地が「9」で「→10」の方向に進む。さらにこの道は道祖神もあり、「左 山道・右 赤城道」などと書いたものもあるところを見ると、割と古い道であることは確かだ。

 沢に沿った道を歩いてしばらく行くと、再び大きな分岐に出会う。ここは位置が「10」で「→11」に向かう。このあたりから、うるさい檜の植林はなくなり、明るい雑木林となった。ここならば大丈夫だろうと再びポケナビを取り出したが、ここでも場所の特定は出来そうにない。ふたたびスイッチは切る羽目になった。

 ポケナビが使えない以上、昔ながら(?)の地形図とコンパスで位置を確認して歩くことにする。目の前の高みに大きな送電鉄塔が現れて、林道が大きく左に曲がる場所がある。このまま進むと、どうやら大峯山から離れてしまいそうなので、このあたりから適当に斜面を登ることにした。

 登りはじめは、バラの薮になっており、ちょっと悲鳴を上げた。そこを過ぎると薮になり、なんとか薮の少ないところを選んで登ることになった。しばらく我慢して登ると、やっと稜線に出た。ここには大きな針葉樹があり、良い目印となった。さてそろそろ山頂かと思ったが、それらしき雰囲気はない。北方面の展望が一時開けたが、さらに歩くと灌木の薮となってしまった。しかしここに来て、踏み跡はしっかりしており、道は出来上がっている。そのまま進むと、ちょっとした広場があり、そこに目立たないくらいに落ち葉に隠れた二等三角点があった。近くには測量に使用した、ベニヤ板の残骸が散らばっていた。山頂標識のたぐいを探してみたが、それらしきものは全く見あたらなかった。展望はあまりなく、寂しい山頂であった。

 とりあえず無線で自宅の子供と連絡をとり、近くに見える送電鉄塔に向かってみることにした。山頂から踏み跡をそのまま南に辿ると、なんとすぐに林道に出てしまった。おそらく今まで歩いてきた林道が、ここまで続いて来ているものと思ったが、確認は出来なかった。近くには標識があり「15← 林道経由 →11」と書いてあった。
鉄塔の林道の標識から見る山頂(後方の盛り上がった部分)
 林道を利用して、近くにある送電鉄塔に登ると、予想通りの展望が目の前に広がった。谷川連峰、上州武尊山、尾瀬の山、日光の山が一望だ。振り返ると赤城鈴ヶ岳のピラミダルな山容が印象的だ。あまりにも素晴らしい天気と展望に、思わず1時間以上のお昼寝となってしまった。

 帰路は登ってきた道を忠実に辿って、車に戻った。


「記録」

屋外活動センター08:33--(.16)--08:49苗畑入り口--(.36)--09:25林道を離れる--(.23)--09:48大峯山山頂11:49--(.07)--11:56林道--(.32)--12:28屋外活動センター




                     群馬山岳移動通信 /1999/