’99年最初の山は西上州「大平戸山」「小倉山」 登山日1999年1月3日
1月3日(祝)
***大平戸山***
1998年最初の山歩きは、今まで登り残してきた西上州の気になる山からはじめることにした。通い慣れた道を辿って、多野郡上野村に到着した。大平戸山は地形図で見ると、林道がすぐ近くまで通じているのがわかる。しかし、この時期の林道は、凍結などの心配があるので敬遠した。そして、地形図には送電線の表現もされているので、鉄塔巡視路を辿れば、何とか大平戸山に行けるのではないかと考えた。そこで、その巡視路の入り口を探しながら行くことにした。
野栗沢バス停の手前にそれらしき、巡視路の黄色い標識がある。しかし、どうも駐車するには適した場所がない。そこでそのまま進むと、野栗沢入口バス停の先の新要橋の所に、立派な建物があった。上野村交流促進センターと看板があり、村営のレストラン、宿泊施設が併設されている。ここの駐車場はかなり快適なので、ここに車を置いていくことにした。
車道を中里村方面に戻り、鉄塔巡視路の黄色い標識を目印に山に入る。標識には「213号鉄塔」に通じる道であることが書かれていた。道はしっかりしており迷うことはなさそうだ。
小さな杉の植林地を過ぎて、トラバースしながら道は続いている。今の時期でも水が流れる沢にかかる小さな板橋を渡り、雑木林の中を歩いていく。すると、道の真ん中に巡視路の黄色い杭が立てられている。杭に書かれた赤い矢印を見ると、このまま上に行くようになっている。ところが、213号鉄塔はまだトラバースした先の方向に見えているので、不思議な感じもした。しかし、上部は主尾根のラインが見えているので、そこに登りあげれば何とかなるだろうと思い、矢印に従って上部に登ることにした。
上部に登っていくが、あれほどしっかりしていた道は、全く消え失せてしまい、登っている斜面の傾斜は強まるばかりだ。そしてついには、岩に取り付く羽目になってしまった。引き返そうかとも考えたが、下ることはさらに危険を伴うことはあきらかだ。地形図をみれば、目の前の主尾根の先には林道が来ているはずなので、このまま登った方が明らかにリスクは少ないと思われる。
なんとか、三点確保で体を持ちこたえて少しずつ息を整えて登り、やっとの思いで主尾根にたどり着くことができた。主尾根は傾斜もなだらかで歩きやすく、今までの急傾斜の道が嘘のようだ。
主尾根を上部に向かって歩くと、なんとそこには立派な林道が延びてきていた。そして林道には鉄塔巡視路の黄色い杭があり、「213号、214号」の文字が見えている。どうやら、途中で道を失ったが、なんとか元に戻れそうなのでちょっぴり安心した。
林道から巡視路に向かって歩くとすぐに道は分岐した。下降するものが213号、そのまま進むものが214号に向かうものである。帰りは213号への道を辿ることにして、そのまま214号鉄塔に道を進む事にした。するとすぐに、先ほどの林道の延長と思われる幅の広い道に出くわした。目の前には顕著なピークが見えており、おそらくこれが大平戸山に間違いない。そこで、林道を横切りそのまま目の前のピークに向かって登ることにした。
最後のピークの登りは、明るい雑木林の中の登りとなった。振り返ると野栗沢集落が眼下に見え隠れする。そしてひとしきり登ると、ピークに飛び出すことが出来た。そこが紛れもない大平戸山の山頂であった。山頂は三角点と、測量のダンダラ棒と真新しい赤白の旗が、眩しいほどの色彩ではためいていた。展望はあまり芳しくなく、叶山と二子山、そして両神山が木々の間から見えるだけだった。
無線の方は久しぶりに50MhzでQSOをして終了した。
山頂では、ラーメンを作って腹に流し込んで暖まり、それから下山となった。下山は登ってきた方向の延長で、204号鉄塔に向かうことにした。
道は良く整備されており、204号まで全く問題なかった。さらにそこから林道までも、良く整備された道がつながっていた。さて、213号鉄塔に標識を頼りに順調に戻り、ここから道に迷った場所まで興味津々で歩いていく。
道は203号鉄塔から山襞を縫うように、ほぼ直線的に下降している。さて問題の迷った場所に着いてみて、黄色い杭の表示は間違っていなかったことがわかった。つまり、迷った理由はこうだったのだ。黄色い杭に従って、道は上に数メートル登り、そこから再び水平につけられていたのだ。ところがその部分には倒木があり、さらに落ち葉が厚く積もり、道を隠してしまっていたのだ。それでわたしはそれに気づかずに、この場所から主尾根に向かって直登したのだった。
***小倉山***
小倉山は、楢原地区から日本300名山のひとつ諏訪山に向かう途中にある。諏訪山は以前、登ったことがあるが、浜平鉱泉(現在は廃業)から登ったので、小倉山は未登となっている。
上野村の国道299号線楢原から未舗装の道が、南に向かって入っている。入り口には「諏訪山登山口」の標識があるからわかりやすい。未舗装の道はかなり荒れており、狭いがゆっくり走れば特に問題ない。
やがて建物が現れ、諏訪山登山口の標識のある場所に着いた。建物の前はちょっとした広場になっていて、車が数台駐車出来る。今日は幸いにも、一台も駐車してある車はなかった。建物には「三笠山修験本山道場」と看板が掛けられ、赤い幟が何本か風に揺れていた。
支度をして歩き出す。沢の左岸につけられた道はしっかりしており、良く踏まれているので歩きやすい。しばらく歩くと、雑木林の中に異様な建物が見えてきた。近づくと2坪ほどの建物で、窓が無く白壁で柱が赤かった。登山口にあった道場に関係する物だろうか?
とにかく無関係な者にとっては、あまり気持ちの良くない建物だ。
そばを流れる沢の水は、凍り付いて見るからに寒そうだ。先ほどの祠のような建物が眼下に消えていき安心すると、再び同じ様な建物が現れた。何の目的なのか、夜にでも出くわしたら怖い感じがする。その二つ目の建物を見送ると、道は沢から外れて尾根に登り上げるようになる。
時間はまだ午後1時過ぎだというのに、西の稜線に太陽が隠れようとしている。寒々とした道には何の気配も感じられない。ただ、自分の落ち葉をかき分ける足音だけが、耳に入るだけだ。道はやがて主尾根に飛び出した。ここには立派な大きな標識があり、左が諏訪山であることを示している。右は例の祠が数メートル先に建っていた。
道はなだらかになり、途中には「諏訪山4395m」などという訳の分からない物もある。又、小さな祠もあり、すでに朽ち果てている物も多かった。このあたりから頻繁に地形図とコンパスをしきりに見比べた。何しろこの道は不思議なことに、地形図に表されていないのだ。
そして、歩いていくとどうやらこの道は、小倉山を巻いている様に思えるのである。どうやら、小倉山からの稜線は、今自分が歩いている道の右手の方角にあるらしい。そこで、意を決し道から離れて斜面をはい上がってみた。
稜線にはすぐに到達、そこには踏み跡らしき物がつけられている。その稜線を今歩いてきた方向に戻るように歩いていくと、ひょっこりとピークに躍り出た。ピークの周囲は伐採されており、明るくなっていた。しかし、展望を期待できるほどではなく、近くのヤツウチグラのピークもあまりはっきり見えないほどだ。
ふと足元を見ると、なんと達筆標識が伐採された木につけられたまま転がっていた。そしてそれにはフィルムケースがつけられており、中には登頂者名簿が入っていた。それはJS1MWD/滝沢さんの名前が書いてあった。するとこれは、滝沢さんが作成した物に違いないと言うことになる。
無線は、ヘンテナを取り付けて430Mhzで運用した。
帰りは、寒くなった身体を暖めるようにして、急ぎ足で車に戻った。
「大平戸山」
野栗沢入口09:56--(.46)--10:42尾根--(.09)--10:51林道--(.08)--10:59林道--(.15)--11:14大平戸山山頂12:02--(.14)--12:16bQ14鉄塔--(.04)--12:20林道--(.05)--12:25bQ13鉄塔--(.22)--12:47野栗沢入口
「小倉山」
諏訪山登山口(楢原)13:15--(.31)--13:46尾根--(.22)--14:08小倉山山頂14:34--(.27)--15:01諏訪山登山口
群馬山岳移動通信 /1999