暑さにモグラも昇天「三国山」
登山日7月17日


三国山(みくにやま)標高1636m 群馬県利根郡・新潟県南魚沼郡
三国山のお花畑
暑い!暑い!
なんとか早めに山に避難しないと、猛暑でとても耐えられない。まして内陸部は気温の上昇が異常である。

7月17日(日)

 上州と越後をつなぐ三国トンネルの手前の、駐車場に車を止めて山登りの準備をする。ところがこれだけで汗びっしょりになってしまった。標高約1000mのこの場所で、この状況なので、さぞ下界は暑かろうと思った。ともかく車から離れて、子供と三国トンネル手前の山道を登る事にする。道は広く、最近草を刈ったらしく歩き易い。子供を先頭にすると、はじめのうちは調子に乗って、元気良く登るものだから付いて行くのが大変だ。なんとか話しをしながら、足の早さを遅くするのに苦労する。それでも、三国峠に着くまでに、3パーティーほど追い越して登ってしまった。

 それにしても暑い、汗で全身びしょ濡れだ。途中でやけにハエがいるところがあった。さてはどこかに「巻き巻き」でもあるのかと思いながら歩くと、なんとモグラが死んでいるではないか。あわれにも炎天下の登山道で仰向けになり、昇天していた。

 「関西のモグラにやられたのかな」

子供がそんなことを言うので、ずいぶん博学だなと思ったら、最近アニメでやっていたので知っていると言う。まさか箱根の山のモグラ戦争が、こんなに早くここまで来ているとは思えない。おそらく、地中の熱が上昇したのが原因か、あるいは餌のミミズがこの猛暑と水不足で居なくなったのだろうと、子供には説明したが自信はない。ともかく昇天したモグラは、2匹見つけた。

 旧三国峠には神社があり、非常時には避難小屋として使えそうだ。まわりは広場のようになっていて、ベンチも置いてある。その神社の境内には団体が既に休んでいて、大変な賑わいだ。ちょっと離れたところに腰を降ろして、休む事にする。時折吹いてくる風は心地よいのだが、やはり何か熱気を含んでいる感じがする。

 休憩をした後、再び歩き出す。所々に木製の階段があり、遊歩道の感じさえする。この道は、花の咲き乱れる美しい山道だ。ピンクの霞を乗せたようなシモツケソウの群落、が風に揺れている中を歩く。そしてときどき現れる動物の尻尾のような形の、クガイソウの紫色がコントラストを見せている。振り返ると新潟県側の方面には苗場スキー場に併設する近代的な建物が目を引く。なんともこの自然の中にとけ込まないように見えるのは、私だけだろうか。そんな風景を見ながら登り、30分ほどでひょっこりと「お花畑」と呼ばれる場所に着いた。

 「お花畑」はニッコウキスゲが一面に咲き乱れる草原だった。ここは家族連れの人が多く休んでいた。また明らかに登山とは違う姿の人たちも多い。アンテナのポールを持って居るのかと思ったが、どうやらそれは捕虫網らしい。この人たちは柵があるのだが、その中に入って何か探しているようだ。また高級カメラを持った人も多く見られた。ともかくその一角に腰をおろして休憩だ。子供は早くも、持ってきた弁当を開けて食べ始めた。ともかく気持ち良い草原のお花畑であった。

 ここからは、目指す三国山のピークが見えているので、それを目指してひたすら登る。道はガレ場の急登となった。石は拳くらいの大きさの頁石が敷き詰められていて、それがぶつかりあうと、ガラスの当たるような透き通ったきれいな音がする。子供と音を楽しみながら登った。傍らにはミネウスユキソウの特徴ある花(葉)が咲いていた。ガレ場を越して潅木の中の道に入ると、道はなだらかになった。そしてすぐに三角点のまわりが裸土となった山頂に着いた。

 山頂は山頂標識もなく殺風景だ。ともかくその山頂でまずは休憩だ。今日はミカンの缶詰と、缶ジュース、缶ビールを凍らせて持ってきている。暑いのでこれらの食料から片づける事にした。ミカンは丁度シャーベット状になっておりうまい。缶ジュースは、これ又、上部を缶切りで開けてスプーンで食べるとこれもいける。缶ビールは開けた途端に、炭酸ガスが泡とと共に吹き出して、あとは氷となって残った。缶ビールだけはうまくいかなかった。

 山頂からはあまり電波の飛びは良くないようだ。やはりこの付近の山の高さからすると、1636mの山頂は低い事になるのだろう。4局QSOして切り上げた。

 帰りは三国峠から旧三国街道をすこしだけ下る事にした。道は広く歩き易い、それに適当な風が吹いてくるので実に気持ちが良い。10分ほどで水場に到着、冷たい水が流れていたので、それを味わいながら暫し休憩とした。ここだけは水不足と猛暑を忘れる事が出来る場所だった。子供と水不足で水が飲めなくなったら、ここに水を飲みに来ようと話したが、はたしてその時は、このまま水があるか否かは疑問だ。

 ここから再び歩くと「長岡藩士なだれ遭難の墓」があり、説明板が設置されていた。そこには、なんとも皮肉な運命のいたずらが、長岡藩士に及んだ事が書いてあった。子供と「かわいそうだなあ」と話しながら山道を降りた。


「記録」

三国橋09:30--(.25)--09:55旧三国街道分岐--(.04)--09:59三国峠10:03--(.27)--10:30お花畑10:40--(.20)--11:00三国山山頂12:42--(.33)--13:15三国峠13:20--(.10)--13:30水場13:33--(.14)--13:47休憩所--(.15)--14.02国道17号--(.05)--14:07三国橋


                         群馬山岳移動通信 /1994/