御荷鉾林道の東に連なる山々     
登山日1996年2月10日


オドケ山(おどけやま)標高1191m 群馬県藤岡市/桐ノ城山(きりのじょうやま)標高1040m 群馬県多野郡/東御荷鉾山(ひがしみかぼやま)標高1246m 群馬県藤岡市・群馬県多野郡/愛宕山(あたごやま)標高985m 群馬県多野郡
愛宕山山頂
「オドケ山」「桐ノ城山」「東御荷鉾山」「愛宕山」

 御荷鉾スーパー林道の東に連なる山は、多野郡万場町の北の境界にある山と考えてみた。この辺りの山は「雨降山」「西御荷鉾山」「赤久縄山」以外は登っていない。そこでなんとか登り残こしている山に登りたいと考えた。

 2月10日(土)

 「オドケ山」

 今日の御荷鉾スーパー林道は冬にもかかわらず雪がない。車が走るとすさまじい土煙が後部から立ち上がった。そんな林道をまずは西に向かいオドケ山に登る事にする。オドケ山の登山口は広い駐車余地があり、そこの一角に車を置いて歩きだした。登山口には小さな標識がありオドケ山を指していた。この辺りからみると、この山は実に立派な整った三角形をしている。

 わずかに歩くと道は二分したので直進はせずに、左に折れて登る方を選んだ。歩き易い道で全く不安は感じない。むしろジグザグに登るので、ちょっと効率が悪いとも言える。高度を上げると次第に木々の間から、西上州の山と秩父の山々が見えてきて、わずかな時間でオドケ山山頂に着いた。

 山頂は石祠が数メートルの距離をおいて、ふたつあった。山頂標識は「達筆標識」に似ていたのだが、裏に署名が無いので違うのかも知れない。430FMで7N3VZTと交信して山頂をあとにした。帰りは適当に斜面を直線的に降りたら、かなり短い時間で林道まで降りる事が出来た。


 「桐ノ城山(きりのじょうやま)」

 この山に登る前に赤地さんの書き込みを読んできた。赤地さんはコースの選択を誤ったばかりに通常の2倍の時間を要しているらしい。次に続くものが同じ事をやったのでは情けないので慎重に地図を見ながら行く事にした。

 スーパー林道から「御荷鉾高原自然村」に向かって舗装路を進む。するとすぐに大きく左に曲がるところがあり、その曲がった所から幅の広い作業道が林の中にのびていた。そりて傍らには「桐ノ城山登山口(20分)」と書かれた標識がある。この場所は車が2台程駐車出来る余地があったので、迷わずにここに車を置いた。

 道の左は植林のされた薄暗い陰気な所だ。陽が差し込まないので下草も生えておらず異様な感じを受ける。道は広く緩やかに登って行き、尾根にたどり着いた。右はわずかな踏み跡が残されていたが、赤地さんと獣が歩いたものであろう。道はやや下降気味になり、しばらく行くと鳥居が現れた。昔は赤く塗られていたのだろう、所々にその色が残っていた。

 鞍部に着きそこからわずかに登り上げると桐ノ城山山頂だった。山頂には石祠がひとつ、大きな松の木の下に置かれていた。松の木には、まだ新しい荒縄と幣束が巻かれていた。山頂標識はなくちょっと寂しい。ピコ6とダイポールを出したが全く声が聞こえてこない、430FMでやっと一局と交信して山頂をあとにした。


 「東御荷鉾山」

 投石峠を挟んで西と東に別れて同じ様な姿の山がうまく揃ったものだと、妙に関心してしまう。投石峠の西側に広い場所があったので、そこに車を駐車させた。林道で車を駐車するのはいつも気を使う。いちばん怖いのは人間で、その次は落石である。ともかく落石を避けて山側にはなるべく置かないようにしている。なにしろトラブルがあったら、かなりの労力と金が必要になることは必至である。

 食事を車の中で済ませて、投石峠登山口から登り始めた。かなり急傾斜の道で、おまけに今日は伐採作業の途中なので、切り落とした枝が道に置かれているので歩きにくい。その伐採作業の行われている場所を過ぎると、道は山の南側につけられた快適な道となった。北西の季節風は南側の斜面では遮られるので、さほど強くなくなり暖かいのでセーターを脱いだ。

 どうも地形図の破線の位置と実際の位置が違うようである。地形図では忠実に尾根を辿りひとつひとつのピークを越えるようになっているが、どうやら今の道はそれらのピークをパスしているようだ。しばらく行くと植林の暗い道に入り、ほぼ水平に歩く事になる。明らかに顕著な二つのピークを巻くと、やっと雑木林の登りとなった。途中で中高年の団体とすれ違い、わずかな時間で山頂に着いた。山頂にはかなり古くなった山頂標識と石像が置かれてあった。

 山頂からの展望は一部伐採されている事もありさほど悪くはない。眼下に広がる下久保ダムの少なくなった水と、緑色に変色しているのが何となく不気味だ。430FMで運用して山頂をあとにした。


 「愛宕山」

 東御荷鉾山の南に位置している岩峰が愛宕山だ。はたしてどこから取り付いたら良いものか分からない。とても人間が登るような雰囲気ではないので、それなりの装備が必要なのかもしれない。地形図を見ると愛宕山の南側には岩場の毛虫のマークがない。良くみると林道がその南側まで行っており、「卍」のマーク所まで行っているらしい。そこで車で林道に入ってみた。ところがとてつもない悪路で、暫くは我慢して走ったのだがとてもダメだと判断して2kmほど入ったところで引き返した。

 再びスーパー林道に戻り地形図を確認する。どうやらここの地点から行けるような感じもしてくる。実際に見た所では、吃立した岩場を持った三つのピークがあるので無理な様に思われる。目の前には前衛峰とも言えるかなり急傾斜を持った、その内のひとつのピークがある。良くみれば道筋があるような感じを受ける。そこで空身でそのピークに一度登ってみる事にする。

 実際に登ってみると道はかなりハッキリしており、そのピークから先も明瞭な道が続いていた。今度は荷物を背負って再びそのピークを登りその先に進んだ。急傾斜の道を下ると右の斜面に植林がされた場所に着いた。ここには赤いプラスチックの杭が打ち込まれており、意味不明だが「重要流域」と書いてあった。暫くは尾根伝いに問題なく歩いた。

 そしてついに岩場が現れて道が行き止まりとなった。良くみれば右側に踏みあとがある。その踏みあとは水平に行くものと、下降して行くものとがある。こんな時は少しでも上に上がる方を選ぶ事にしているので、迷わずにほぼ水平に行く道に入った。

 すぐに崩壊した斜面が現れ、慎重に木の枝や根につかまって渡る事になった。ここはもし雪で凍結した場合は通行は困難を極めるだろう。踏みあとには倒木などがあり、また落ち葉が斜面に積もっているのでかなり歩き難い。やや斜めに登るとちょっとした鞍部に突き当たった。右側はかなりの角度を持った岩場が切れて落ち込んでいる。ここからはいよいよ核心部の登りにはいる。再び木の幹につかまりながら急な斜面を登る事になった。スリップをすればそれこそただでは済みそうにない。

 傾斜が緩くなったところで、目の前に大きな石が転がっているのが見えた。近づいてみると、まさにそこが山頂だった。石のまわりには大きな馬酔木の木があり、その一角にはお馴染みG氏の山頂標識が打ちつけてあった。展望は雑木に阻まれてあまり利かない、わずかに西御荷鉾山の勇姿が望めた。強風でゴーゴーと音がする中で430FMを運用して、山頂を去った。


【記録】

「オドケ山」
林道登山口09:35--(.14)--09:49オドケ山11:28--(.06)--10:34林道登山口

「桐ノ城山」
林道登山口10:48--(.15)--11:03桐ノ城山11:30--(.12)--11:42林道登山口

「東御荷鉾山」
投石峠登山口12:08--(.32)--12:40東御荷鉾山13:10--(.19)--13:29投石峠登山口

「愛宕山」
林道登山口14:08--(.17)--14:25愛宕山14:42--(.16)--14:58林道登山口



                   群馬山岳移動通信 /1996/