携帯電話とアマチュア無線機
登山日1997年7月20日
私がアマチュア無線を始めたきっかけは、山での緊急連絡用からだった。山歩きから始まった無線で、無線から始まった山歩きではない。これはどうでも良いように思われるが、なにか根本的なものが違うように思う。
ところで、最近の携帯電話の普及は目を見張るものがある。何しろ電話機は場合によっては無料、基本料金も一番安いもので2000円/月、通話料も20円/分までになっている。こうなると、昨今のアマチュア無線界のマナーの悪さを考えると、携帯電話も緊急用として簡単に導入を考える時なのかもしれない。なんと言っても携帯電話の秘話性はたいへんな魅力がある。
私の携帯電話のサービスエリアを見ると、山はほとんどカバーされていない。特に身近な赤城山はその範囲に入っていない。考えてみると実におかしいと思う。山の上なら電波が遠くまで届くので、使えるのが常識である。そこで実際はどうなのか、黒檜山に登って確認することにした。
7月20日(日)
駒ヶ岳経由で黒檜山を目指して登り始める。今日は夏休みに入ったばかりの子供が同行している。何しろ駒ヶ岳はまだ無線の運用をしていないので、子供と奥の手QSOが期待できる。駒ヶ岳手前の稜線は、ガスがひっきりなしに登ってくるので展望がなく、ちょっとガッカリした。
駒ヶ岳に着くとそこは大変なにぎわいで、とても休むどころではない。立ったままで子供とQSOして早々に山頂を後にした。そして少し下ったところの鞍部が休むのに適していて、人もいないので休憩とした。
携帯電話を取り出してスイッチを入れる。ディスプレイの電波の強さを示す表示は十分なので、自宅に電話をかける。ところが接続できない・・・・・?何度やっても、おなじ事。天気予報にもかけてみたが結果はダメ、今度は子供が代わってやってみたがやはりダメだった。近くの地蔵岳の電波が干渉しているのかなとも思った。
何だ使いものにならないと、ザックにしまい込んで気落ちしながら黒檜山に向かった。
黒檜山山頂はとんでもない人混みだった。やっとの事で隅の方に場所を確保して腰を下ろした。ナイスミディーの集団はいるし、ラジオの音も賑やか、たまには下の方からバイクの騒音が聞こえてくる。よく考えたらここは深田百名山のひとつだったので、これも仕方ないことかもしれない。
ここでも携帯電話を取り出して何度か挑戦したが結果はおなじで、電話機が故障しているのではと疑いを持つほどだった。結局緊急連絡は、無線機にはかなわないと言う結論に達したのだ。
下山は黒檜山から猫岩経由で、直接大沼に下りることにした。5分ほど下りたところで、再び子供に携帯電話をかけさせた。するとどうだろうか、すんなりと接続できたではないか。これはどういうことなのであろうか?山頂では多数の中継所の電波を受けすぎて、電話機が混乱してしまったのだろうか。ともかく理由は解らないが、ロケーションの良いところは必ずしも携帯電話は使えないと言うことらしい。
今回はともかく山でも電話が使えることは確認できた。これからは無線機と携帯電話をザックに入れて山を歩くことが多くなりそうだ。
「記録」
大洞9:44--(.40)--駒ヶ岳10:24--(.13)--10:37大ダルミ10:44--(.25)--11:09黒檜山12:53--(1.17)--14:10大洞
群馬山岳移動通信 /1997/