スキー場巡り「剣ケ峰山」(西武尊)  登山日1994年6月18日


高手山(たかてやま)標高1374m 群馬県利根郡・群馬県沼田市/剣ヶ峰山(けんがみねやま)標高2020m 群馬県利根郡・群馬県沼田市
剣ヶ峰山山頂
 上州武尊山の西にある、剣ケ峰山は西武尊とも呼ばれ、標高は2020m(コンサイス山名辞典では2005m)で沼田市の最高峰である。以前に上州武尊山の最高峰、沖武尊から移動運用したときに、いつかはあの尖ったピークで、沼田市の移動運用をしようと思っていた。

 6月18日(土)
 関越道沼田ICで降りて川場村に向かう。川場スキー場の標識を頼りに行こうと思ったが、その標識は意外に少なく、「富士山(ふじやま)」という地区の標識の方が分かりやすい。道なりに進むと、大きな駐車場が現れて、左に「武尊高原川場キャンプ場」の標識があった。この入り口にはゲートがあり、しっかり施錠がなされていた。そして案内には「車両の乗り入れ禁止、但しキャンプ場への荷降ろしを除く」と、いった意味の事が書いてある。つまり、常時車両の乗り入れは、禁止と言う事である。

 まずは、キャンプ場を目指して舗装された車道を歩く。わずかな時間でキャンプ場につく事が出来た。キャンプ場はシーズン前の準備を進めている所なのだろうか、下草が苅られている場所もあった。ここの敷地は、いったいどこまで続いているのだろうか、山の斜面のかなり上部にまで、建物が点在していた。最後の建物(アメダスの観測所もある)をすぎると、道はなにやら登山道らしくなってきたが、それでも道幅は広く遊歩道のような感じさえする。この道は1958年の、あかぎ国体のさいに開かれたと言うだけあって、立派なものである。標識の整備されており、所々には武尊山の自然についての説明板が、設置されており、迷う心配は全くなさそうだ。

 高手山は展望の無い、登山道の一部のような所だった。ブリキの山頂標識と、行政が作成した案内板が無ければ、通り過ぎてしまう。傍らには古そうな石祠があった。ここからはアップダウンの少ない登山道となった。気になるのは、右の谷側に見える車道と、スキー場の施設だ。その中でも川場スキー場自慢の、立体駐車場がひときわ目立っている。

 道が下って、再び登り返すコルは、なにやら道が十字路になっている。右の笹の中には踏み跡らしき物があり、間近にスキー場の車道がある。ここまで約45分かかっているので、この時間が短縮出来るならば、貴重である。この道の探検は下山の時にする事にして、道を登る事にする。

 道は相変わらず立派な道が続き、広葉樹が多い割には、明るい樹林の中の道となっている。ところが突然、大きな音が聞こえてきた。なにやらスキー場の一角で工事が進んでいるらしい。建設機械の岩を削る音が、山の中に響いて反響している。(なんとこの音からは一日中逃れる事は出来なかった)

 コルから30分程登った所で、見たくなかった物を見てしまった。それはスキーリフトの鉄塔だ。これを見た途端になんとも言えない疲れが、どっと出てきたような気がした。それにリフトのワイヤーは更に上部に向かって延びている。ここまで苦労して登って来たのが、何か空しい感じさえする。冬にはかなりの人間が、簡単にここの場所まで登って来ているのだろう。ホトトギスの鳴き声が「いじけるな!」とも聞こえるので、気を取り直して更に、スキー場の縁の道を登る。

 標識が現れ「剣ケ峰山へ3.0km」と書いてあり、ベンチが2脚設置してあった。高度計を見ると1700mであり、ここで初めて休む事にした。3m程でスキー場に降りられるが「立入禁止、スキー場内危険、登山道を利用して下さい」との看板がある。(ここから、要所にはこの看板が立ててあった)

 休憩後、再び歩き出す。植生も変わってきて、針葉樹の中の道となり、岩も現れたが整備された道は歩き易い。一旦、1820mの地点まで登ると、目指す「剣ケ峰山」が木々の間から見る事が出来た。多少のアップダウンの道で、小さなピークを越して、急坂を登ると「西峰・1870m」に到着した。

 三角点のある「西峰」は展望に恵まれている。鈴木さんとお会いした玉原の「尼ケ禿山」は指呼の距離である。目指す「剣ケ峰山」は、頂上台地の上に尖塔を乗せた格好で、特徴ある姿を見せている。このあたりから森林限界になっており、笹原の道は歩き易い。一旦下って、コルに出て、いよいよ「剣ケ峰山」の登りにかかる。なんとこのコルの部分がスキーリフトの最終地点になっていた。ゴンドラは次のシーズンに向けて全て外されていた。これでは積雪期のほうが、「剣ケ峰山」に登るには楽だと思われる。

 「剣ケ峰山」への登りは急な登りとなった。例の如く立派な登山道で見かける、丸太で作った階段は、大部分が壊れており、むしろ歩きにくい。喘ぎながら登ると、頂上台地の一角に立つ事が出来た。ここには立派なベンチがあり休むに最適だ。また今年初めて「ハクサンチドリ」の花を一株見つけた。さらに笹原の中の道を辿ると、最後の登りとなり「剣ケ峰山」の山頂に立つ事が出来た。

 山頂にはブリキの標識が立木にビスで取り付けられていた。三角点が無いものかと探したが見つける事は出来なかった。目の前には上州武尊山の最高峰「沖武尊」が、残雪を残しながら、大きくそびえている。今月のはじめ、赤地さんはあの頂きに立っていたのだなと、想いをはせた。山頂は幅が狭く切れていて、東西に10m程度の長さがあり、かなり高度感のある場所である。傍らにはシャクナゲが満開で咲いていた。

 無線の運用は1200Mhz、430Hhzで運用した。山頂は狭いので一旦戻って頂上台地の所のベンチで昼寝をしたら、時間がかなりオーバーしてしまった。また天気が良かったものだったもので、すっかり日焼けをしてしまった。

 荷物をまとめて下山する事にする。今度は果たして時間短縮が可能なのか否か、スキー場の中を歩く事にする。スキーリフトの最高地点の場所に降りて歩く。あまり歩き易いとは言えないが、アップダウンが無いだけ良いかもしれない。ここには、ちょっとした沢が流れており、このコースには水場が無かったから、ここは貴重な水場となるに違いない。スキー場をさらに進んで、登るときに休んだ、1700mのベンチのところから、再び登山道に戻った。

 更に下山して、登るときに気になっていた、「高手山」から下がった所のコルの道に入って見る事にした。笹薮の中の道はかろうじて、踏み跡が分かる程度だが迷う事は無い。さらに道を進むと道は沢の中に降りている。更に良くみると堰堤があり、何とか通過出来そうな感じがする。堰堤に降りてみると、かなり高度感があるので緊張しながら歩いて、対岸に渡った。ここは車道となっており、川場スキー場の立体駐車場に続いていた。今、渡った堰堤は、この立体駐車場から100m程上流の堰堤だった。ここから登れば時間短縮は可能であった。



「記録」

キャンプ場入口07:45--(.09)--07:54川場キャンプ場管理棟--(.22)--08:16高手山--(.15)--08:31コル--(.45)--09:16ベンチ(1700m)09:21--(.27)--09:48西峰09:55--(.35)--10:30頂上13:21--(.26)--13:47ベンチ(1700m)--(.23)--14:10コル--(.05)--14:15堰堤--(.10)--14:25立体駐車場ゲート--(.11)--14:36キャンプ場入口


                      群馬山岳移動通信/1994/