標識の無い山「菅峰」
登山日1993年11月27日


菅峰(かんぽう)標高1474m 群馬県吾妻郡
山頂三角点
 ガイドブックで前から面白い名前の山だと思っていたので気になっていた。「カンポー」とは長野原町で呼ぶ名前だと書いてある。

 11月27日(土)

 国道406号線を須賀尾峠に向かって進む。この道は未だに工事中で須賀尾峠を越えると道はダートに変わる。峠には赤いよだれ掛けを着けた子育て地蔵がある。

 車を止めて歩き始める。登山口の標識は無い。雑木林の中を登山道は続いている。さしたる変化もなく落ち葉を踏む音だけが山の中に響き渡るだけだ。

 ガイドブックによると途中に中間峰があるわけだが、相変わらず標識も無いので、いつの間にか通り過ぎてしまった。(結局下山の時も確認する事は出来なかった。)中間峰の付近で道が急に不明になる。暫くウロウロしたが何とか踏み跡を見つけた。ここのあたりから菅峰の山頂とそれに続くカヤ尾根が見えるようになる。

 山頂直下の鞍部は両側が切れておりかなり狭い。しかし切れていると言っても両側とも雑木に覆われた斜面なので西上州の岩壁とは違って恐怖感は全く無い。ここから稜線まで右側に崩壊した斜面を見ながらの直登となる。この道は傾斜がきつく潅木につかまらなければ到底登る事は出来ない。また道の上部は氷が溶け始まったらしくずるずると滑る。何度か足をとられ、喘ぎながら登った。標高差は100mあった。

 カヤ尾根の稜線に着くと雑木も少なく明るい感じがするので気分が良い。試しにあたりを歩いてみる。しかし足元に何か引っかかるものがある。それは50cm程の高さの密集したバラの木の刺がズボンに引っかかるのだ。とても気分良くとは行かないので頂上に向かう事にする。しかしここからの新雪の輝く谷川連峰の眺めは素晴らしい。どの峰も思い出が深い山だ。

 山頂に向かって歩き始める。雪の薄く積もった笹原の中を行く。数分で菅峰山頂(1475m)に着いた。山頂標識もなく唯一、三等三角点が山頂である事を示していた。山頂は南側の斜面が植林の為の下草刈りがきれいに行われており、下には車道が見える。おそらく万騎峠の道であると思われる。ここから登れば時間はかなり短縮されるのではないだろうか。山頂では暖かいカップラーメンでも食べようと用意をしてきたのだが、なんとガスカートリッヂを車に忘れてしまった。寒さに震えながらの山頂での休息となった。

 下山して車に着いた。暖かいものでもと思ったのだが、車のそばではしゃくにさわる。この須賀尾峠を挟んで反対側に「丸岩」があるのでそこに登って食べようと考えた。

 子育て地蔵の前を通り山道を登る。菅峰と違って熊笹が全く見られない。これ又単調な道を行く。後ろを振り返ると先ほど登った菅峰、そして浅間隠山が立派に見える。稜線に着いて更に左に進む数回のピークを越えるとこれ以上進めない所まできた。しかしこれ又標識らしきものは見あたらない。おかしいと思ってガイドブックを見ると、どうも道を間違えたらしい。しかたないのでここでストーブに火を着けて、暖かいカップラーメンにありついた。

 今回はあまり書き込む事もない、平凡な山だった。さらにこの山は静かな山だったが、裏を返せばよほどの物好きでない限り登るべきではない山の様な感じがした。


「記録」

登山口(須賀尾峠)(09:55)--(.54)--(10:49)鞍部--(.14)--(11:03)稜線--(.06)--(11:09)菅峰山頂(12:15)--(.45)--(13:00)須賀尾峠--(.19)--(13:19)丸岩付近(14:21)--(.10)--(14:31)須賀尾峠

                          群馬山岳移動通信/1993/