「ヤマラン仲間」と上信国境の山を登る 登山日1999年5月29日
5月29日(土)
今日は山岳移動ランキング(通称ヤマラン)のメンバー約150人の中でも特に変わり者が、上信国境の山に集結するというので、早起きをして車坂峠に向かった。
集まったのは関西からNXK、UUH、北陸からDJF、東京からKQA、そして群馬からKXW、IAS、VAJ、そして私の8人である。
車坂峠に着いたのは7時過ぎ、無線で声を出すとDJFから応答があった。もう既に篭ノ登山に登っているという。さらに池ノ平までの道が開通していると言う情報を送ってきた。そこで急遽予定を変更して、池ノ平まで車を乗り入れて、そこから登ることにした。
池ノ平には車が5台ほど駐車してあったがすでに人影は見えなかった。ここで再びDJFを呼び出すと既に三方ヶ峰に移っているところだった。さすがは足の速いDJFでとても私には付いて行くことは出来ない。そこで反対の、池ノ平から東篭ノ登山付近を先に目指すことにした。
池ノ平からのカラマツ林の道は最初ほとんど傾斜のないなだらかな道だ。次第に高度を上げると岩が多くなってきて、樹木もそれに従って無くなってくる。振り返ると富士山が朝の光の中に浮かんでいた。今日は絶好の山歩き日和で、乾燥した空気が実に気持ちいい。何も考える事無く歩いていると、突然に東篭ノ登山山頂に飛び出してしまった。なんだかあまりにあっけないので、ちょっと拍子抜けだ。
山頂には中年登山者が数人休んでおり、いつものごとく山頂からの展望を眺めながらピークをひとつずつ説明する男性がいる。総じて男性は山頂で知っているピークの数を自慢して、女性は登った百名山の数を自慢するようだ。あまり賑やかなところは好きではないので、山頂からすこし移動して無線機のスイッチを入れた。すると隣の西篭ノ登山からヤマランメンバーのUUHが出ている。早速、交信をしてQSLの交換をお願いした。彼はこれから東篭ノ登山に戻り、三方ヶ峰に向かうという。
さて私はこれから水ノ塔山に向かうことにする。
水ノ塔山までの稜線は雲上散歩で、眼下に広がる広いすそ野と、背後の北アルプス、八ヶ岳、間近の四阿山、白根山、浅間山を眺めながら快適に歩く。出会う人もなく、まさにこの雄大な景色を独り占めしている幸せがある。途中ではシャクナゲの花がちょうど見頃で、少し足を休めた、
大きな岩が敷き詰められたようなルートを登り詰めると、そこが水ノ塔山だった。山頂は一部が針葉樹とシャクナゲのために遮られて展望が悪いが、西の方面はすっきり開けており、気持ちの良い場所だ。この水ノ塔山はもう25年も前に登ったことがあり、その時は犬が高峰温泉から一緒に着いてきて、山頂で記念撮影をしたことが思い出された。ここでも無線機のスイッチを入れると今度は烏帽子岳のNXKの声が聞こえる。こちらも早速交信してQSLの確保を行う。
水ノ塔山からは再び東篭ノ登山に戻り、西篭ノ登山に行く事にする。
先ほどよりも東篭ノ登山の山頂は人数が増えていた。そんな山頂を一気に通過して西篭ノ登山に向かうと、すぐに喧噪はなくなり静かな山歩きが戻った。ハイマツの中の道を辿るとわずかな時間で西篭ノ登山にたどり着いた。ここからの展望は眼前の湯ノ丸山が大きく迫っていた。そして彼方には北アルプスの白い峰が霞んで見えていた。さてここではKQAを呼び出すと、すぐに地蔵峠から応答があった。彼はこれから烏帽子岳に登るというが、もし時間があれば私もそちらに向かうと告げた。
西篭ノ登山を離れて、本日三度目の東篭ノ登山だ。さらに登山者は増えておもいきり賑やかになっていた。
早々に東篭ノ登山をおりて池ノ平に戻る。すると私が来たとき駐車場には5台程だった車が7割ほど埋まっている。シーズン前でこんなものだから、登山者人口は大変なものだと感じた。
こんどは休む間もなく三方ヶ峰に向かう。
整備された木道を歩いていくと、湿原の中の花はまだ芽吹きも始まっていない。わずかにイワカガミ、ショウジョウバカマが見られる程度だ。湿原を抜けて山道に入り、緩やかに登ると目の前にフェンスが現れて、立ち入りが出来ないようになっている。これはこの砂礫地帯のコマクサを保護するためと言うことだ。フェンスの中を覗き込むとコマクサの細かい葉が見られた。さらに歩を進めると、そこが三方ヶ峰山頂だった。そこには男性が一人座り込んでおり、容姿からしてどうもUUHらしい。そこで右手を出して「HXFです」と握手を求めた。最初びっくりしたようだが、UUHに間違いなかったのでこちらとしても一安心と言ったところだ。三方ヶ峰は山頂標識はあるものの、三角点が見あたらないので確認のためにGPSを取り出して見ると、山頂には間違いなさそうだ。しかし消えた三角点はどうしたことなのだろう。
地蔵峠にいるKXWと交信をしてQSLを確保して、UUHと関西方面の山と無線の話をしながら池ノ平駐車場に戻った。
UUHを乗せて、車で地蔵峠に向かう。
地蔵峠にはKXW、NXKの二人がすでに山から下りてくつろいでいた。私はこれから時間が心配だったが烏帽子岳へ、UUHは湯ノ丸山に登ることにした。
NXKに途中のキャンプ場まで送ってもらいUUHと一緒に登り始めた。UUHは体型のわりには健脚で、後ろから追いかけていられると、こちらもちょっとオーバーペースで汗ダクダクの格好で歩いた。
烏帽子岳と湯ノ丸山の分岐でUUHと別れて、一人で烏帽子岳に向かう事にする。分岐から少し歩いたところで、腰を下ろしてサンドイッチとポットのお茶を飲んだ。
樹林帯の道を抜けると、湯ノ丸山と烏帽子岳の鞍部にたどり着いた。そして烏帽子岳にピントを合わせてカメラを構えていると、前方から見慣れた人物が歩いてくる。それはまさしく真っ黒に日焼けしたKQAであった。とりあえずシャッターを押してから、声をかけた。不意をつかれた様子であったが、すぐに体制を立て直してこちらに歩いてきた。
GWの山はついに一緒に登ることが出来ずに、彼だけが目的を果たしている。それだけに久しぶりの再会はうれしいものだ。そこで、この鞍部で食事を一緒にして本日の成果を報告した。
さて、KQAはこれから湯ノ丸山に、私は烏帽子岳に向かって別れることになった。
情報によると烏帽子岳山頂は小学生100人ほどが占拠しているという。たしかに山頂からは子供のはしゃぎ回る声が時折聞こえてくる。何とか回避出きればよいと、山を登りだした。烏帽子岳の登りは快適で、背後の湯ノ丸山との高さの関係が面白い。それはこちらが登った分だけ、湯ノ丸山のほうも高くなるような気がするからだ。
稜線が近づくにつれて、賑やかな声が大きくなってきた。みれば稜線を一列になって子供が移動している。なかなか壮観で、面白い光景だと思ったが、こちらに降りてくる様子はなく、そのまま稜線を南に降りていったので一安心だ。しかしながら、20年ほど前に職場山岳部でこの烏帽子岳をバスハイクに選び実行したのは私だったのだ。今になって考えれば、大パーティーを引き連れた我々はさぞかしひんしゅくものだったに違いないと反省しきりである。
稜線からは右に折れて山頂を目指す。時折KQAと連絡をとりながら歩き、わずかな時間で山頂に到着してしまった。すれ違いに4人の登山者が山頂を立ったので、山頂は私だけになった。360度の展望を独り占め出きるとは幸運に違いない。早速、山頂展望を確認してから、角間山に移ったDJFと交信、その後KQAと無線で雑談をして過ごした。
下山は時間もあり、ゆっくりと下ったがそれでも2時過ぎには地蔵峠に着いてしまった。地蔵峠では本日のメンバー全員で記念撮影。その後鹿沢国民休暇村で風呂に浸かり、今日の成果を称え合った。北軽井沢の宿に向かう途中、登山時間数分の青山(標高1130m)に登頂した。
宿で落ち着いてからは、酒瓶が空になるまで飲み明かして夜は更けていった。
「記録」
池ノ平駐車場08:00--(.23)--08:23東篭ノ登山08:32--(.18)--08:50水ノ塔山08:55--(.24)--09:19東篭ノ登山--(.17)--09:36西篭ノ登山09:41--(.13)--09:54東篭ノ登山--(.17)--10:11池ノ平駐車場--(.25)--10:36三方ヶ峰10:46--(.17)--11:03池ノ平駐車場====11:26地蔵峠--(.30)--11:56烏帽子岳コル12:17--(.17)--12:34稜線--(.18)--12:52烏帽子岳山頂13:12--(.58)--14:10地蔵峠
群馬山岳移動通信/1999/