足の痛みをおして「赤沢山」「稲包山」 登山日2003年5月24日
どうも左足踵に痛みがあり、夜中に痛みで目が覚めることがある。また、朝の第一歩を踏み出すと痛みが激しい。たまらず整形外科で診察をしてもらうと「足底筋膜炎」と言う症状らしい。「扁平足じゃあないから、なにか無理をしたでしょう?」「安静にしていれば治りますよ。痛みがひどくなったら、よく効く注射がありますから来てください。でもかなり痛いですよ」と言う脅しの言葉も頂いてしまった。どうやら、原因はこの前の尾瀬の山行で、重いザックを背負って車道を歩いた事による負担と考えられる。もちろん老化による靱帯が遠因にあることは間違いない。ともかく、安静にしているのは耐えられないので近くの山に出かけることにした。 5月24日(日) 法師温泉の近くにある赤沢スキー場入り口は、シーズンオフで閉鎖されていた。ここの駐車余地に車を停めて支度を整えた。トレッキングシューズを履くと、不思議と痛みが和らぐような気がする。これは靴底が厚いために路面からの衝撃を緩和するためだろう。いまだに右膝の内靱帯も完治していないから、サポーターを取り付けた。まあ、両足とも故障しながらの山行である。 赤沢山は以前、四万温泉から稲包山に登ったときに、疲れて登れなかった山だ。今回は道もしっかりしているし、この山だけ登るのも悪くないと思った。それにこの赤沢スキー場からは登ったことが無いから興味もある。 駐車場を横切って「←四万温泉」の標識に導かれて森の中に入っていく。「上信越自然歩道」と言うとおり、広い立派な歩道が続いている。新緑は眩しくミツバツツジの鮮やかな薄紅色の対比がさわやかに感じる。足下には白く透き通るようなギンリョウソウが落ち葉の下から顔を出している。 送電線の下をくぐり、ひとしきり登ると車道と交差した。おそらく送電線鉄塔の保守か、スキー場の保守のために使われているのだろうが、確認することは出来なかった。それにこの「上信越自然歩道」とほぼ並行して舗装された車道が通じている、当然この車道にはゲートがあるが、地形図を見ると送電線に沿っていることもあり、この保守が目的ではないかと考えられる。 車道を横切って再び森の中に入っていくが、突然の物音で振り返った。音の主は一頭のカモシカで、立ち止まってこちらを見ている。カモシカは近眼でよく見えないから、じっと見つめると言う説があるが、まさにそんな感じだった。道は山襞を縫うように、ほぼ水平に続いている。足の痛みはそんなに無理をしなければ何とか歩けるが、やはり踵を強く地面に突くときつい。まあ、ゆっくりとゆっくりと歩けば問題ないだろう。 やがて水場も兼ねる事が出来る沢に出くわした。そこにはまだ残雪がありその白さは爽やかな感じを受けた。このあたりから道は、徐々に傾斜がきつくなってきた様な感じを受ける。しかしそれでも相変わらず登りやすい事に違いはない。ミツバツツジの咲く道を九十九折りに登ると再び小さな沢に出た。この沢はちょっぴり傾斜が強く、凍結していたら登るのは勿論、下るのも大変そうである。近づいて見ると、鎖が設置されておりこれがあれば何とかなりそうだ。 沢を数メートル登り、再び幅の広い登山道を登る。道の脇にはタチツボスミレが、木漏れ日の光を追うように咲いていた。そして本日3度目の送電線をくぐるとわずかな距離で赤沢峠に到着した。ちょっぴり老朽化した東屋がひっそりとあり、そこには誰もいなかった。 赤沢山山頂は笹に覆われており、展望はきかない。立木には達筆標識、Gさん標識と文字の消えた標識があった。そして三角点の部分だけは刈り払いがされていた。ちょっと虫がうるさくて座って休む気にもならず、早々に山頂を後にした。 再び赤沢峠に着いて、下山をするかどうか考えた。赤沢山に登った以上、もう目的は達した。しかし、足はまだまだ動かせそうだ。稲包山にもう二度と来ることもないだろう。そう考えると、これからあと1時間程度で行ける稲包山に行きたくなった。 結局、足は下山を選ばず稲包山に向かっていた。快適な尾根道をゆっくりと歩くと、特徴のあるピラミダルな稲包山が木々の間から見え隠れする。足がそれほど痛まないのは、ダブルステッキを使っているからなのかもしれない。明らかに足の負担を軽減しているようだ。 かつて設置されていた雨量観測計は跡形もなく消えていた。かつての記憶を辿りながら徐々に高度を上げていくと山頂標識に賑やかな稲包山の山頂にひょっこりと飛び出した。山頂には5人ほど先客がいたが、4人はすぐに立ち上がって下山をしていった。残った一人は無口で離れたところで休んでいた。こちらも離れた場所に座って、まずはビールを 取り出してごくりと一口呑んだ。「ああ!旨い!!!」 展望はいつまで見ていても見飽きない。平標山・仙ノ倉山は残雪が綺麗だ。白砂山に続く稜線は気持ちよさそうに緑の笹の絨毯が延びている。かつて苦労したコシキノ頭・栂ノ頭は標高が同じなのにもかかわらず意外と低く感じられた。ラーメンをすすり、ビールを呑んで至福の時を過ごしながらの山頂での時間は短く感じた。足の痛みの事もあり、早めに下山を開始、登ってきた道を忠実に辿って下山した。 赤沢スキー場07:30--(.44)--08:14林道--(.36)--08:50水場--(.20)--09:10鎖場--(.11)--09:21赤沢峠--(.17)--09:38赤沢山09:53--(.06)--09:59赤沢峠--(1.13)--11:12稲包山11:57--(.51)--12:48赤沢峠--(1.19)--14:07赤沢スキー場 群馬山岳移動通信/2003/ |