口笛吹いて西上州「二子山」 登山日1993年10月16日
10月16日(土)
ミニバイクでの移動も季節が寒くなり少々辛いものがある。それなりに着込んで行けば良いのだがバイクを置いて歩くとなるとやはり軽装となってしまう。
今日の目的地は二子山である。下仁田から塩ノ沢峠を越えて上野村に入る。いつも思うのだがこの上野村を貫いて走る国道299号線は誠に立派な道路である。ついついスピード超過となってしまう。それも中里村に入り「恐竜センター」を過ぎたあたりから幅員が極端に狭くなる。
国道299号をそのまま走り志賀坂峠に向かう。途中に恐竜の足跡だと言われる「瀬林の漣痕」がある。場所は通行量が多い上に幅員の狭い道路沿いにあって、カーブなので落ち着いて見学する訳には行かない。しかし、あの穴が恐竜の足跡とはどう見ても凡人には分からない。
志賀坂峠トンネルの手前に「林道二子山線」が左に分岐している。これはてっきり二子山に行っていると思ってこの道に入った。しかし2km程走ったところで道は途切れていた。やはりうまい具合には行かない。
志賀坂トンネルを抜けて「民宿.登人」のすぐ手前に左に入る林道がある。ここに入って20mほど先に登山口の標識がある。乗用車で来たならばこの林道に路上駐車になるのだ。林道はかなり幅員もあるので安心して何台でも縦列駐車が出来そうである。私はミニバイクなので適当に置く事にした。
登山口を出発する。天候は曇り今日は展望は望めそうにない。雨さえ降らなければ儲けものと言ったところだ。登山道は植林された杉林の中を沢沿いに登っていく。沢の水は透明感がある。その原因のひとつには沢にある石が白い色の石灰岩なので、沢の中が明るく感じるからなのであろう。登山道の標識はかなり多いので迷う事はない。そのほかにいろいろな注意書きも多く「ゴミを捨てないで井上昌子」の落書きもある。
ローソク岩への道を分けて右に進む。快適な登りだ、どんどん高度を上げて行くのが解る。しかし登るに従ってだんだん林の中が霧に満ちてくるのは残念である。
股峠に着いた。股と言っても道は十字路になっている。右は東岳、左は西岳へ道が続いている。真っ直ぐ行く道は不明である。ガイドブックによると東岳は危険そうなので左の西岳に向かう事にする。この道は粘土質で滑りやすい。道の途中には葉の色が黄色くなり掛けたトリカブトの花が咲いている。暫く進むとあんなにあった標識が全く無くなり、踏み跡がいたるところに延びている。どれを辿ればいいのか解らなくなったので、とりあえず真っ直ぐ上に延びている踏み跡を辿る事にする。だんだん岩場がきつくなってきたがしっかりしたホールドが多いので割と楽に登る事が出来る。久しぶりの岩の感触はなかなか良いものだ。しかし捻挫した両足がなんともぎこちないのが不安である。霧に浮かぶ大きな岩が見えると山頂の稜線に飛び出す事が出来た。ここから岩稜を辿るとすぐに二子山西岳山頂(1166m)に立つ事が出来た。
山頂に着くと同時に前方で大きな音がした。びっくりして音のする方向を見たが霧で何も見えない。おそらく叶山の発破のものだろう。登山口から1時間16分掛かっている。ガイドブックよりも24分早いからまあまあである。霧で何も見えない山頂で食事をする事にする。その間430Mhzのハンディー機のスイッチを入れてワッチしてみるがあまり聞こえてこない。それでもCQを出している局を見つけて2局交信したところで夫婦連れの登山者がやってきたので無線機のスイッチはOFFにした。その二人に頼んでKUMOの山頂標識の前で記念撮影をした。
天候の崩れが心配なので早めに出発する事にする。登山道はゴジラの背の痩せた岩稜を進んで行く。この道で両足捻挫の不便さをあらためて感じた。30cm程の段差のところでも飛び降りると痛みが走る。それに岩の上に立つと、なんとも不安定に足首がふらつく。まだ完治には時間が掛かりそうだ。岩稜の脇にある木々は紅葉が始まっており晴れていれば快適な道となるのだろうが残念だ。
岩稜から標識に従って大きく左に曲がると鎖が取り付いた岩場にでる。5m程度なので難なく通過する。ここからは植林された杉林の中を歩く。たいへん歩きやすい道である。しかし叶山の石灰岩採石作業の為の立入禁止の看板とロープはなんとも無粋である。10分程歩くと左にローソク岩の分岐と分かれ、さらに50m程先で志賀坂峠の道と分かれて坂本に向かう。
送電線の鉄塔に着く。何やら鉄塔の上の方で放電しているのだろうか、低い音がしている。鉄塔の下の部分だけ何か不釣り合いなほど草が無く裸地となっていた。ここからは二子山の岩壁の眺めが良い筈なのだが今は何も見えない。杉林の道を気持ち良く下って行くと突然「ガサガサ」と大きな音がした。思わず立ち止まりあたりを見まわしたが音の原因は分からない。ただ炭焼き釜の跡だろうかこんもりしたところに穴が開いている。たしかにこのあたりも熊がいてもおかしくない。暫くそのままでいたが何も変化がない。
口笛を吹いて一気に掛け下る事にした。なぜか曲名は「となりのトトロ」のエンディングで流れる「散歩」である。何か雰囲気と歩くリズムがぴったりである。
(著作権の関係で歌詞を引用する事出来ず)
トトロの様な体型をしたおじさんが口笛を吹いて小走りに山道を下って行く姿は滑稽であったかも知れない。ともかく無事にミニバイクまで到着した。
「記録」
登山口10:40--(.29)--11:09ローソク岩分岐--(.08)--11:27股峠--(.29)--11:56二子山山頂13:00--(.24)--13:24鎖場--(.17)--13:41鉄塔--(.24)--14:05登山口
群馬山岳移動通信/1993/
追記
ミニバイクが新車になってしまった。と言っても積算距離計が9999kmがオーバーして0000kmになっただけですが。