早春の「西上州・烏帽子岳」 登山日1994年4月18日
4月18日(月)三ツ岩岳から烏帽子岳に向かう。
三ツ岩岳登山口からミニバイクで5分ほど林道を更に登った所に登山口はある。シボツ沢に架かる橋の手前には、乗用車が一台駐車してあった。そしてダッシュボードには山のガイドブックが置いてあるところを見ると、登山目的なのであろうか。こんな平日に登山者がいるのだろうか。まずは早めの昼食を簡単に済ましておく事にする。
登山口から暫くは沢の右岸を歩く事になる。相変わらずハシリドコロの花が目につく。これを食べれば中毒を起こして、早く歩けるかななどと、つまらない事を考えながら歩く。しかし、なんとも変化の無い山である。三ツ岩岳の華やかさとは対象的な感じだ。道は沢の中に入ったり、離れたりと、常に沢沿いに歩く事になる。踏み跡及び赤テープがしっかりしているので迷う事もなさそうだ。
高度計で1000m地点で道が分岐した。標識には「郡界尾根を経て、マル、烏帽子岳」「烏帽子岳、マルのコルを経て烏帽子岳」とある。右の斜面を登れば烏帽子岳の直下のコルに行くもので、沢沿いに直登するものは郡界尾根経由でマルを経て烏帽子岳に行くものである。せっかくだからここで最高峰のマル(1200m)にも立って見たいので、沢を直登して郡界尾根経由で登る事にする。
しかし一歩その道に踏み込んでみたが、踏み跡は無くなり、頼りは所々にある赤テープだけとなった。とんでもない道だ、急斜面に落ち葉がかなり堆積しており、歩きにくい事このうえない。たちまち疲れが出て来て、数歩進んでは少し休むと言うパターンなってしまった。郡界尾根の稜線が見えているのに、遅々として足が進まないのはなんとも歯がゆいものだ。
何とか郡界尾根に着くとそこには標柱があり「五八四ホノ二」と書いてあったが、意味は全く分からない。更にその尾根を左に10分ほど歩くと、なんと生々しい「卷き卷き」が道の真ん中に鎮座している。そばにはティシュペーパーが、散乱しているところを見ると明らかに人糞に間違いない。それもかなり見事なものであり、敬服してしまった。ともかくそこから十数歩の所にマルの山頂はあった。周りは潅木に覆われて何も見えないに等しい。しかし疲れもたまったのでここで5分ほど休憩をした。
マルから烏帽子岳に向かう道は、もったいないほど一気に道を下る事になる。一旦コルに降りて登り返すと烏帽子岳山頂に着く事ができた。山頂はあまり広くはないが、展望は360度の視界が開けていた。先ほど登った三ツ岩岳山頂にはわずかに、アカヤシオのピンクの色が見えている。しかしこの山頂は味気ない、木々の芽はまだ固く冬の様だ。山頂には男女3人のパーティーが、既に山頂で休んでいた。登山口に駐車してあった、車の所有者である。キュウリを分けて頂いたので、口の中に頬張ると、その塩味は疲れが取れるようだ。そのほかにも食料をいただけそうだったが、辞退をしてしまった。こんな事ならば、食料は持たずにミニバイクに置いて来れば良かったなどと、よからぬ事を考えてしまった。このパーティーが先に下山したので、無線機のスイッチを入れてCQを出したが応答無し、早々にスイッチを切ってしまった。
下山は山頂からコルに降りて、ここから登って来たときの分岐点に降りた。ところが誠に条件の悪い悪路だった。かなりの急坂で足場も悪い、滑り台の様に滑って降りるような場所もあった。これほどの下山路の悪いところも滅多に無いのでは無いだろうか。
「記録」
登山口11:18--(.35)--11:53分岐--(.24)--12:17稜線--(.10)--12:27マル山頂12:32--(.04)--12:36コル--(.04)--12:41烏帽子岳山頂13:24--(.11)--13:35分岐--(.17)--13:52登山口
群馬山岳移動通信/1994/