火葬場の裏山「浅間山(下仁田町)」  登山日1995年3月21日


浅間山(せんげんやま)標高436m 群馬県甘楽郡

 3月21日(春分の日)

 妙義町にある妻の実家のお墓参りに行ったついでに、どこか登れそうな山を物色した。先日、赤地さんが登った金剛萱が、前から気になっていたので、いつか登ろうと思っていたのだが先を越されてしまった。そこで同じ下仁田の図幅をみると、「浅間山」がある。以前、登ろうとミニバイクで林道に入ったのだが、登山口がわからずに帰った経緯がある。今度は真面目?に火葬場付近から登る事にした。

 妻と長女は、草餅の材料のヨモギの新芽を摘むので畦に出かけた。私と長男は隣の下仁田町に向かった。20分ほどで暗い杉林のなかにある下仁田町の火葬場に着いた。火葬場はちょっと気持ちが悪いので、50mほど離れた路上に駐車する事にした。ここの少し先はトンネルがあり、この内部は照明が無いのでかなり不気味だ。

 地図を見ると、そのトンネルの手前から稜線に登れば簡単に行けそうだ。見ればそれらしき踏み跡があったので、子供とそこから登り始める。周りは杉林で、花粉が飛散しているのか霧がかかった様にも見える。とりわけ今年の花粉は量が多く、道路に花粉が集まり黄色く筋が出来ているほどである。

 ちなみに子供は花粉症なので、眼鏡とマスクをしたまま歩くのでつらそうだ。踏み跡は何本もあったが適当に選んで歩くと、やがて稜線に着いた。稜線はなだらかであったが、薮がうるさくかなりきつい。薮をかき分けながら前進する。すると目の前に浅間山のピークが見えてきた。予想以上に立派なピークで、鬼の角の様に突出したふたつの岩峰が空に向かっていた。

 稜線は一旦下降する。そこには明瞭な道が下から延びてきており、「F40」と書かれた黄色い杭が打ち込まれていた。帰りはこの道を下って見るかと、子供と話をしながら更に上部に向かった。ここからは道はかなり明瞭で、周りには松の木が多い。そして道は岩場に突き当たった。子供ではちょっと登るのに無理がありそうなので、浅間山の鬼の角のふたつのピークの真ん中の鞍部を目指す事にした。

 落ち葉の積もった急斜面を登ると、明るい鞍部に着いた。ここからは地形図を見ると東のピークに三角点があるのでそちらに向かう。

 山頂は西側の一部が見えにくいが、ほかは素晴らしい展望が得られる独立峰だ。特に南側は岩壁になっているので高度感もある。四等三角点の標柱があり、山頂標識は見あたらなかった。子供と持ってきた缶ジュースで乾杯をして山頂からの展望を楽しんだ。

 帰りは来るときに見つけた分岐点から下った。道は歩き易く快適な道だった。杉林を抜けて車道が近くなり、建物が見えて唖然とした。そこは火葬場の煙突の脇だった。小さな火葬場は外からガラス越しに中の様子が解る。何気なく内部を見ると、今日は葬儀があるらしく、喪服を着た人たちが、今まさに骨を拾って居るところだった。伏し目がちに急ぎ足で車にもどり、早々にそこから退散した。

 もちろん帰ってから塩をまいて清めたことは言うまでもない。


「記録」

火葬場13:51--(.10)--14.01稜線--(.06)--14:07分岐--(.09)--14:16鞍部--(.02)--14:18浅間山山頂14:52--(.07)--14:59分岐--(.05)--15:04火葬場


                        群馬山岳移動通信/1995/