雲上の快晴を楽しむ編笠山・西岳(八ヶ岳) 登山日2004年10月10日
編笠山は権現岳から見ると、まことに格好良く左右対称のきれいな形をしている。そんな訳で、いつかは登ってみたいと思っていた。 10月10日(日) 前日の夕方には、過去最大級の945ヘクトパスカルの中心気圧を持った、台風22号が上陸した。そんなわけで山に行くのはどうかとも考えたが、台風一過の晴天を期待して目的地に向かった。観音平の駐車場は広くかなりの車が駐車可能だ。すでに10台ほどの車が駐車しており、その中の数台は出発準備を始めていた。その様子を見るとどうやら単独行は私だけのようだ。天候はガスが巻いており、雨粒も時折落ちているので、とても台風一過とはほど遠い雰囲気だ。 ともかくぐずぐずしていても仕方ないので、折りたたみ傘をザックに入れて歩き出した。歩き始めは樹林帯の中の道で、それほどの傾斜も無く歩きやすい。前を行く夫婦連れは、大きなザックを男性が背負い、縦走でもするような雰囲気だ。それにもかかわらず、その差はどんどんと開いて行く。それだけこちらの体力が劣っていると言うことなのかもしれない。 登山道は前夜の台風の影響でまるで沢のように水が流れていた。真夏ほどの蒸し暑さはないが、それでも湿度が多く歩いているだけで汗が噴き出してきた。天候は相変わらずガスが巻いており、どうもすっきりとしない。ゆっくりと歩いたが、先ほどの夫婦連れを追い越してその先を歩くことになった。 やがて雲海と呼ばれる場所に着いた。名前からすると、展望に優れている場所のようだが、樹林に囲まれて展望はどうも良さそうに感じない。それにガスが巻いているだけに展望は全くなかった。ここでは親子連れなのか、高校生ぐらいの女性と、父親のパーティーが休んでいた。とりあえずここで休む理由もないので、立ち止まらずにそのまま通過した。 樹林の道は相変わらずで、道は大きな石があるので歩きにくいために、それを避けるために横道ができていた。こうなると道の荒廃はさらに進むのであろうが、現状での登山人口を考えると恐ろしいものがある。 展望もなく、ひたすら歩くだけの樹林帯の道はきついものがある。それでもなんとか進んでいくと、押手川と呼ばれる場所に出た。ここは沢があり若干の水の流れが見られた。やはりここでも夫婦連れのパーティーが休んでおり、私が標識にカメラを向けると立ち上がって場所を空けてくれた。その上、記念撮影のシャッターを押してくれるという。ありがたく、記念写真を撮ってもらった。ここでも休む必要がないので、ザックも下ろさずそのまま通過した。 押手川からは、編笠山と青年小屋に道が二分する。今回は編笠山に直接登るコースを選んだが、傾斜が急になったような気がする。いつの間にかガスは消えたようで、明るい光が樹林の中に差し込んできた。天候は何となくよい方向に進んでいるようだ。標高2300メートル付近で展望が開ける場所に出た。振り返ると雲海が眼下に広がり、甲斐駒周辺はその上に頭を出していた。展望もよいので、ここで休憩を取ることにした。水を飲みパンをひとかじりした。今回はGPS携帯(ドコモF505iGPS)を購入したので、この地点で試してみることにした。GPSで測位を行い、地図サービス会社に情報を送って、地図上に表示した形で送り返してもらうと、見事に現在位置が示された。(ちょっと表現がおかしいが、概要はこんなものだ)したがって、携帯が通じるところであれば、このGPS携帯は実用になると感じた。 休憩後、山頂に向かって歩き出した。頭上の木々の枝が無くなった分だけ、気持ちが良い。やがて、ハイマツも少なくなり、大きな石が目立つようになると、山頂が近いことを伺わせる。それにちょっと風が強くなったことが、もう一息の感じをさらに受けた。 青年小屋の前はまぶしい光に満ちて、なかなか良い雰囲気だ。天幕場はかなり広かったが、降雨の時の水の流れによってはテントが浸水する可能性もありそうだった。 西岳に向かって青年小屋から、10分ほどぬかるんだ道を歩くと、小さな沢に出会った。ここは乙女の水と名前が付けられた水場だ。水量もかなりあり、天幕泊の時などは利用価値がある。 水場を過ぎ少し登りあげると、今度は樹林の中の道はだらだらと下降に転じた。このまま行くはずはないと思ったが、意外と長く帰りのことを考えると、ちょっと憂鬱になった。下りきったところは草原になっており、目の前に編笠山がそびえて気持ちが良いところだった。ここから道はやっと登りに転じて一安心だ。しかし、たいした登りではなく、何となく拍子抜けをしてしまう。樹林帯が途切れると、権現岳、赤岳、編笠山が一望に見えるのがなんともうれしい。 西岳はなんと言うことはなく到着してしまった。山頂には6人ほどのパーティーが賑やかに休んでいた。それを避けて、編笠岳の見える場所に陣取って休憩とした。ビールを取り出して一口呑むと、疲れが一気に吹き飛ぶようだった。つまみは青空に映える雲海と山だけで十分だ。傍らには名残のマツムシソウが一輪咲いていたが、まことに寂しそうだった。ゆっくりと休憩をしていると、瞬く間に時間が過ぎて、一時間近くも過ごしてしまった。いつの間にか青空も雲が多くなっていた。 再び青年小屋にもどり、編笠山を経由しないで押手川に向かい下山した。 観音平に着いたときには、大粒の雨が降り始めていた。 「記録」 観音平06:33--(.45)--07:18雲海--(.34)--07:52押手川--(1.08)--09:00編笠山09:24--(.18)--09:42青年小屋--(.09)--09:51水場--(.51)--10:42西岳11:38--(.40)--12:18青年小屋12:40--(.45)--13:25押手川--(.21)--13:46雲海--(.16)--14:02富士見平展望台14:14--(.10)--14:24観音平 群馬山岳移動通信/2004/ |