恒例となった(?)忘年山行が那須で行われることになった。それに併せて行きがけに山に登ってから向かうことにする。ちょっと離れているが、前から気になっていた高原山を登ることにした。高原山は釈迦ヶ岳を主峰にした山域を指し、かつての火口壁に沿って山が並んでいる。この爆裂火口の大きさを考えると、かつての高原山の大きさが巨大なものであったことが想像できる。 12月8日(土) 東北道日光ICで降りて、日塩もみじラインで現地に向かう。それにしても数度にわたって徴収される有料道路料金は1150円で、高速道路よりも高いのでなんか腑に落ちない。日塩もみじラインは高度を上げるに従って雪が多くなったが問題になるほどではなかった。 「鶏頂山登拝口」と書かれた標識のある道に入ると、すぐに大きな明神鳥居の下を潜り、そのまま車で荒れた道を進むと大きな駐車場に到着。ここはかつては鶏頂山スキー場として営業していたのだが、廃業してから10年以上経過している。レストハウスの窓ガラスはなくなり、屋根は中央部が凹んでいる。レンタルスキーはおびただしい数が放置されていてむなしい。また点在するコテージはほとんどが朽ち果てていた。 支度を整えて歩き出す。先行者は二人なのか雪の中の足跡は見事に重なってルートを作っている。笹で覆い尽くされた道は、スキー場が廃止されてからの年月を示すように密集している部分がある。おそらく夏の時期には下草も多くなりルートはハッキリしなくなるのではないかと思う。一旦平坦な場所に出て左に折れるとすぐに枯木沼の石柱があり、その先には鳥居が建っていた。この先が枯木沼湿原で所々が欠損した部分もある雪の乗った木道が湿原の中に延びている。三方を山に囲まれたこの場所に冬の太陽の弱い光が今届き始めたところだった。頭上は青空が見えており、昨日の寒冷前線の通過予報はどうなったのかと思うほどだ。 木道を抜けて道は再び笹の中の切り開きの中に入っていく。程なく広い道に出るが、なんと今まで歩いてきた道は虎ロープが張られて立ち入り禁止となっている。理由は木道の老朽化とのことだが、登り口には何もなかったので不思議な感じだ。ともかく上部に向かって幅の広い道を歩いていく。やがて、廃スキー場の最上部に到着した。ここにはスキーコースの案内板と、朽ち果てた小屋が放置されていた。スキー場そのものが自然破壊の最たるものなのだが、こうやって廃業後もゴミを放置する事になるのだ。
道は檜林の中のダラダラした登りとなり、周囲が暗い分だけ不気味さが漂っている。道は凍結しているものだから、帰りはアイゼンが必要かなと思う。途中で大沼への分岐があったが、大沼は帰りに立ち寄ることにして先に進んだ。うす暗い不気味な道はなおも続いた。 うす暗い檜林を抜けると弁天池に到着し、一気に周囲が明るくった。しかし、その場所は鳥居、石碑群、石祠が多く並んでいる場所で、これまたあまり気持ちの良いところではない。山が信仰の対象としてあるいは修行の場所として、古くから人々に親しまれていたことは間違いないので仕方ないのだが。ここで気になる標識がある「これより神域です 大・小は鶏頂山 背を向けて○○」所々不明な部分はあるが、要するに我慢すれば良いと言うことなのだろう。よし気合いを入れてがんばろうと思うが自信がない。もしもの時は鶏頂山に筒先を向けないようにしよう。しかし、この神社に向かってしまうがどうしようか? 目の前に見えている鶏頂山に向けて出発する。ここからやっと山歩きらしくなってきた。積雪もあり気持ちよく高度を上げていく。登山道脇には相変わらず石碑や岩に文字を刻んだものなどが数多くあり、ここは私有地なのかもしれないと思えた。途中に「霊泉御助水」とある標識があったが、雪に覆われているためか流れは確認できなかった。 高度が上がるにつれて凍結箇所が多くなり、下降はアイゼン無しではきつい。弁天池から20分ほどで稜線に到着、ここは御岳山への分岐となっている。まずは右に向かって鶏頂山を目指す。かなりの急傾斜でストックを使って身体を持ち上げる。積雪は多くないが凍結しているために慎重にならざるを得ない。振り返れば釈迦ヶ岳が同じような高さで間近に見えている。 鶏頂山山頂には立派な社があり、周辺は広場になっていた。社の周囲の木々は霧氷が枝に付着し、青空に菌糸を延ばしたように見える。展望は東の釈迦ヶ岳方面が開けており、反対側の西方面は雑木で展望は得られなかった。風はないが何となく寒くあまり長居は出来ない状態だった。それに北東方面に雲が広がっているのが気になった。
鶏頂山山頂からはアイゼンをを装着して下降することにした。アイゼンは快適でなんの不安もなく凍結した道を歩くことが出来た。雪もダンゴになることはなく、それだけ気温が低いと言うことなのだろう。途中で元気は3人のパーティーとすれちがった。弁天沼からの分岐地点でアイゼンバンドを再調整して出発する。下ろしたザックを背負おうとしたときに右肩を肩ベルトに通して、次に左肩を通そうと思ったら左の肩ベルトがない。勢い余ってザックはあらぬ方向に飛んでしまった。あれ!!よく見たら左の肩ベルトに右肩を通していたのだ。いよいよ還暦過ぎの老齢化が進んだようだ。 さて、気を取り直して御岳山に進む。ガレ場があり撮影しようと思ったらカメラがない!!さては先ほどザックを振り回したときに落ちたようだ。4分ほど歩いた所なのだが、戻ることにした。周辺の雪の中や笹の根元を探すがどうしてもわからない。ザックを下ろして確認すると、カメラはザックにカラビナでしっかりと繋がれて、ザックの後ろにぶら下がっていた。よかったのだが、脳の老化は本物かなと再び落ち込むことになった。 御岳山に向かう途中で弁天池への近道を分けてから登りに入る。すぐに鶏頂山鉄鉱水の看板がある。ガンに効くとされて大勢の人が押し寄せたが、遭難騒ぎやゴミ問題が深刻になり、ついには立ち入り禁止となったらしい。いまでも5リットル・4550円で販売しているから、看板だけでは禁止するわけにはいかないだろう。 さしたるアップダウンもなく御岳山の山頂にたどり着く。石祠と標識がなければ見過ごしてしまうような所だ。さらに道を辿って行くと再び道が分岐する。標識があり下降する道は踏み跡があり「ハンタマゴンドラ→」とある。ハンタマ???そうかハンターマウンテンスキー場の略か。ちょっと考えてしまった。釈迦ヶ岳は25分が訂正されて45分になっている。その差は2倍なのでこりゃどうなっているんだろう。 ここからの道はこの歩きの中でもっとも急だった。アイゼンがなければ登るのはかなり困難だったろう。立木に掴まりながら寒いのに背中に汗をかきながら登っていく。振り返ると御岳山と鶏頂山が遠ざかっているのがわかる。空は何となく雲が多くなり今にも雪が降り出しそうになってきた。 傾斜が緩やかになったところで大間々台からの道を分ける。しばらく歩くと釈迦ヶ岳の広い山頂に到着した。なんと言っても山頂には大きな一等三角点があるのが素晴らしい。展望はあいにくと雲が多くなり遠望は利かないが、東北自動車道沿いの矢板、大田原の市街地が見えた。またこの山頂には大きな釈迦如来像があり西方面に向かって座していた。山頂にはその後3人がやってきたが一人はすぐに下山し、二人は山頂でストーブを出して寒いのにくつろいでいくのだろうか。
こちらはこれからの予定もあることなので、早々に下山することにした。下山する時に鶏頂山ですれちがった三人と再びすれ違った。 弁天池に再び立ったときは、雪が激しくなり歩いていても身体に積雪を見るようになった。大沼は往復しただけで急いで下山した。
登山口08:39--(.19)--08:58枯木沼--(.20)--09:18廃スキー場Top--(.18)--09:36弁天沼09:42--(.22)--10:04御岳山分岐--(.14)--10:18鶏頂山10:40--(.34)--11:14御岳山--(.32)--11:46釈迦ヶ岳12:05--(.34)--12:39弁天池近道--(.10)--12:49弁天池--(.09)--12:58大沼分岐--(.03)--13:01大沼--(.03)--13:04大沼分岐--(.33)--13:37登山口
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