7月は野暮用が多く、また後半は天気が安定せず、山に行く機会を失ってしまっていた。ましてコロナウイルスの爆発的な流行によって会社も大騒ぎで、休む機会が無くなってしまった。それに足の調子が悪く、痛み止めを毎日服用する生活になってしまっている。したがって登るところは限られてしまっている。
7月31日(日)
7月の最終日、なんとか時間をやりくりした。登山者が少なく、簡単な山ということで上越国境の三国山を選んだ。自宅から1時間半の時間で登山口の三国トンネル新潟県側に到着する。駐車余地には車が一台あったが、すでに出発しているらしい。準備をしているとご夫婦の車が到着し、情報交換をする。支度が整ったところで出発する。湿気が多いためなのか、朝の爽やかな雰囲気はまるで無い。おまけに苗場スキー場で開催されている「フジロックフェスティバル 2022」の音がかすかに聞こえてくる。もっとも三国トンネルを走行する車の音が聞こえるのだから、あまり静かな山域とはいいがたいかもしれない。途中で二人組の登山者とすれ違った。聞けば朝の3時に登り始めたという。しかしそれにしては中途半端な時間だと思った。 三国峠の神社に到着すると樹林帯から抜け出したことから一気に空が広くなった。神社の脇を抜けて登山道に入る。傾斜も強くなり山歩きをしている雰囲気になるのだが、木道の階段が延々と続くのはいただけない。ましてこの木道は朝露に濡れて滑りまくるのである。これが登りだからいいようなものの、下りだったら悲惨な目に合うだろう。そういえばかつて雪のある時期にこの道を使ったことがあるが、もう半べそ状態だったことを思い出した。そう考えただけで帰りのことが憂鬱になってくる。しかしながらここは花が豊富でシモツケソウの群落は見事なものだと思う。かつてはニッコウキスゲも素晴らしかったが、今では見る影もなくなっている。 三国山山頂が近くなると崩落地があり、何度も木道を付け替えたためになんとも無残な光景が広がってしまっている。ここで単独行の男性に追い越された。足の痛みと体力不足のためにペースを落としながら三国山山頂になんとかたどり着いた。山頂は裸地となっており稲包山方面の展望が開けていた。先ほどの単独行の男性と話しながら山座同定を楽しんだ。
三国山を辞して大源太山方面に向けて歩き出す。もったいないほど標高を下げていき、再び登り上げると「ワラジカケマツノ頭」に到着するが、ただの通過点に過ぎない。ここからは微妙にアップダウンを繰り返す道となる。それにしても蒸し暑く体力は汗となって奪われていくようだ。思わず木陰で休んでいると、登山口で出会ったご夫婦が追い付いてきた。「さあ、行きましょう」と言われたが、すぐに歩き出す体力はなかった。それだけまともな山歩きから遠ざかっているのと、アキレス腱切断の恐怖があるので思い切った動きができない。丁重に先を譲ってゆっくりと休んでから歩くことにする。
三角山まで来ると大源太山が指呼の距離になる。平標山はたおやかな草原をもって見えている。先ほどのご夫婦は大源太山から平標小屋に向かい、そこから元橋に下ってから国道を歩いて戻るという。さてこちらはどうするか?大源太山はかつて歩いたことがあるので、わざわざ行く必要はない。あの三国山からの滑りまくる木道を歩くのはいやらしい。標識を見ると「三国峠1時間30分」「平標山1時間40分」「浅貝1時間45分」と書いてある。この三角山から浅貝に下降する道があり、途中には毛無山という未登のピークがあるので興味をそそられる。空を見ると雷雲が沸いてくる様子が見える。そうなれば浅貝に降りて、国道を歩くほうが安全性は高いだろう。 あまり迷っている時間はないので、三角山から浅貝に至る道を歩き出した。道は意外にもしっかりしており、刈り払いも定期的にされているようだ。それほど傾斜も強くなく快適と言ったほうがいいだろう。展望はない代わりに直射日光が当たらない分だけ涼しく感じる。人の気配を感じて振り向くと、トレランの男性が下降してきた。かなり疲れてはいるようだが追い越して、すぐに姿は見えなくなった。さらに傾斜の緩い道を歩いていくと、道は登り気味になり送電鉄塔のある場所にたどり着く。ここには林道が通じており、刈払いが最近実施された様子が見られた。その先に毛無山のピークがあったが、顕著なピークではなく、展望もない場所だった。ここにはプレートがあり登山道の説明文が記されていた 「この山道は青年会新道という。昭和34年浅貝と三国山脈を結ぶ最短ルートとして浅貝青年会が開発したが、歩く人なく笹薮に戻った。平成10年KWV有志により再開発され、浅貝新生会が維持している。 末永く多くの人がこの道を歩き続けることを願う。 平成22年8月 浅貝新生会 慶応義塾大学ワンダーフォーゲル部」 このルートは魅力がないことは確かで、となりの平標山に登山者が集中し、この道は寂れる一方だろう。時刻は正午、この毛無山でカップラーメンを作り昼食休憩にする。足の調子が今一つなので靴を脱ごうとしたときに足が攣ってしまい、あまりの激痛に声を出してしまうほどだ。どうやら大量発汗で水分塩分不足になっているらしい。 昼食休憩で40分近く休むと痛みも和らいできたので出発することにする。毛無山からの道は一転して急傾斜となりロープが設置してあるほどだ。しかしこれもわずかな距離で登山口に到着した。この登山口は旧浅貝スキー場の跡地で、コンクリート舗装の細い管理道路が通じていた。この道を辿って下っていくと国道17号の道に出ることができた。
ここからが炎天下の国道を1時間近く歩くことになった。何度も立ち止まっては木陰で休んでから気力を振り絞って歩いた。三国トンネルの駐車場に着いて着替えをする頃になって、雨粒が落ちてきたと思ったら、あっという間に土砂降りの雨となった。雨に関してはなんとかセーフと言ったところだ。それにしても三国山は過去に何度か登っているが、年齢とともにコースタイムが長くなっている。年齢と足のトラブルを実感する山行となってしまった。 「記録」 06:28三国トンネル(新潟側)--(.37)--07:05三国峠--(1.00)--08:05三国山08:15--((.08)--08:33ワラジカケマツノ頭--(1.37)--10:10三角山10:42--(.59)--11:41毛無山12:25--(.47)--13:12浅貝--(.55)--14:07三国トンネル(新潟県側) 群馬山岳移動通信/2022 |
この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号) |