大月市の山を歩く「百蔵山」「扇山」「岩殿山」
登山日2019年1月20日



大同山(だいどうさん) 標高907m 山梨県大月市/百蔵山(ももくらやま)標高1003m 山梨県大月市/コタラ山(こたらやま)標高849m 山梨県大月市/カンバノ頭(かんばのかしら)標高818m山梨県大月市/大久保山(おおくぼやま)標高1109m 山梨県大月市/扇山(おうぎやま)標高1138m 山梨県大月市/岩殿山(いわどのやま)標高634m 山梨県大月市
ここのところ月に一度の山行は富士山を見ることを目的に出かけている。しかし、ここの所12月と1月はともにその姿を見ていない。そんななか今度も性懲りもなく富士山を見に行く計画を立てた。こうなったら意地でも見てやるぞ。今回は「大月市秀麗富嶽十二景」の「百蔵山」「扇山」ついでに名勝「甲斐の猿橋」も立ち寄り、時間があれば「岩殿山」にも足を延ばすというものだ。

2月17日(日)
自宅を出て約2時間半で大月市市営グランドの駐車場に到着する。駐車場は傾斜があるので駐車ブレーキを念入りに確認する。支度をしていると富士山の山頂部分が朝焼けして見えている。この分で行けば今日は何とか富士山を見ることが出来そうだ。

駐車場から道を挟んだところに「百蔵山→」の標識があり狭い車道を山に向かって登って行く。道の両側は住宅地となっており、ここからなら毎日富士山が見えるだろう。しかし、この車道は傾斜が強く、ストックを支えにしてあえぎながらこの坂道を登る。早くも汗ばんできたのでウインドブレーカーを脱いでザックに入れた。やがて立派な山門のある建屋の横を過ぎると登山口に到着だ。トイレがあるが現在は使用禁止となっている。鬱蒼とした杉木立の中をジグザグに登って行く。この時期は雪があってもよさそうだが、登山道は埃が舞うほど乾燥している。そのためか緑の葉のイノモトソウは土埃で汚れているようにも見える。

登山口から40分ほどで開けた場所に出る。ここから待望の富士山が見えた。ちょっと霞んでいるが富士山を見ることが出来たので、とりあえずは目的達成である。この場所はアカマツが程よく配置されて気持ちの良いところだ。展望をいつまでも楽しんでいるわけにもいかないので先に進むことにする。

頂上稜線に登りあげたところが大同山と呼ばれるピークで、ここから道は直角に曲がり東の方向に向かう。この辺りからアカマツの根元に白いカバーが取り付けてあるのが気になる。マツクイムシ対策なのだろうが、カバーが外れて周囲に散乱してゴミとなっている。なだらかな道を辿ると広い裸地となっている百蔵山に到着した。三等三角点があり周囲はサクラの木が伐採されて富士山が見えるようになっている。今年は雪が少ないとはいえ山頂部分は白くなっており、いかにも富士山らしい姿だ。誰もいない山頂で記念撮影してから先に進むことにする。


市営グランドから朝焼けの富士

市営グランド駐車場

坂道を登る

登山口

イノモトソウ

百蔵山

恐ろしいほどの急斜面の道を下降し、鞍部に付くと道はなだらかな歩きやすい道となった。進行方向の左側にちょっとしたピークがあるのが気になったが、道はここを巻いて先に進んで行く。しかし、そのピークが気になるのでGPSを取り出して調べてみる。この849mピークはコタラ山ということがわかった。山頂を踏んでおかなかったことを後悔した。これから先、ここに来ることもないので戻って山頂を踏んでおくことにする。

一旦戻り、適当なところから斜面に取り付く。伐採されたヒノキが横倒しになり放置されているので進むのに苦労する。それでも標高差20m程度なのでたいしたことはない。たどり着いた山頂はヒノキの植林地で展望は全くなかった。とりあえずコタラ山ピークを踏んだので、山頂を辞して正規の登山道に降りた。ここで単独行の登山者と遭遇した。妙なところから出てきたことを不審に思われるといやなので「この上のコタラ山に行ってきました」と話しかけた。すると「私は以前登りましたが何もなかったですね」と答える。それと同時に彼のスマホが「ルートを外れました」と警告の音声を発した。どうやらスマホのルートデータがコタラ山を通過するようになっていたらしく、外れたためらしい。電子機器の発達で一般登山道ではルート探しもいらなくなったが、こんな警告も出るという事なのだろう。

道は再び下りとなり、鞍部から少し上ったところに再び気になる場所がある。やはりGPSで確認するとカンバノ頭と言うところらしい。登山道から10mほど外れて、ここもピークを踏んでおいた。カンバノ頭からはひたすら苦しい登りに堪えながら標高を稼いでいく。木々の間から時折見える富士山は雲がかかって全体が見えなくなっている。風が強くなったところを見ると、天気の回復は望めそうにない。単調な登りに辟易しながら登って行くと、やっと頂上稜線の端に出た。ここには大久保山の表示があったが、山頂らしくない。立ち止まらずにそのまま山頂に向かって歩き出した。鞍部には標識があり賑やかな団体が地図を広げて話している。その脇を抜けてひと登りすると扇山山頂だった。

山頂は広々としてすでに10人ほどが休んでいた。富士山は雲がかかりちょっと残念だが仕方ないとあきらめる。コタラ山で出会った単独行の男性がいたのでシャッターをお願いして記念撮影。男性はそのまま下山して行った。男性が座っていた倒木のベンチが空いたので腰かけて大休止だ。その後も団体が押し寄せてきて20人ほどが山頂に到着し賑やかな山頂となった。それではカップラーメンを作ろうとザックの中を見たが、水を持って来なかったようだ。水を忘れるなんてことは今まで考えられないことだ。あるのは麦茶だけ!!まあカレーヌードルだから麦茶でもいいだろう。

結局は山頂に1時間近くも滞在してしまった。時刻は正午前なので今日は予定通りに行程をこなせそうだ。杉林の中をジグザグに降りていく、奥社の小さな祠の下に水場があったので飲んでみたがあまりおいしくなかった。さらに道をどんどん下ると「山椒の里」の看板とトラロープの貼った場所を通り、梨の木平の登山口に到着した。ここにはトイレがあり、ありがたいことに水道の水が出た。顔を洗ってうがいをしてさっぱりとした。


コタラ山

カンバノ頭

大久保山

扇山までもう少し

扇山山頂

麦茶でカップラーメン

水場

梨の木平


中央自動車道の側道

ここからはひたすら車道歩きが待っていた。ゴルフ場の外周を回り、「桂川ウエルネスパーク」という広大な施設の中を通り迷いながら中央自動車道の側道に、そして国道20号を西進する。さすがに国道は通行量が多く、なんとなく恥ずかしい気持ちになる。目的の猿橋は国道からわずかに入ったところにある。有名観光地と思ったが、観光客は夫婦連れの一組だけで閑散としている。猿橋は興味の無い物にとってはあまり見るものは無い。早々に引き上げて駐車場所に戻ることにした。近道をしたつもりが、とんでもない迷路に入り込んでしまった。「出世大神宮」というありがたい名前の神社を抜けてからは、山道を登ってやっとのことで車にたどり着いた。


林道からウエルネスパークへ

ウエルネスパークから百蔵山を観る

国道20号

猿橋

出世大神宮

さて次は「岩殿山」だ。

とりあえず目的地は大月市市民会館、車で10分ほどのところにある。狭い道を後続車に煽られながらやっとのことで目的地に到着。ガラガラの駐車場に駐車して出発準備をする。気になるのはこの駐車場は使用しないときは施錠されるらしい。まあ、通常に考えて17時までは大丈夫だろう。
目の前の岩殿山は上部に大きな岩が乗っかった奇怪な形をしている。はたして登れるのだろうかと不安になるほどだ。桂川にかかる橋を渡り車道を少し辿ると登山口となる。どうやら災害で通行止めだったらしく復旧工事のための資材が置かれていた。舗装された道を辿ると道は階段に替わった。いままでの疲れがあるのか一向にスピードが上がらない。一段一段を確認するように歩く。拓けた場所があり、ここには立派な和風の建物がある。「ふれあいの館」と呼ばれている建物で、著名な写真家の「白旗史朗」氏の写真が常設展示されているらしい。閉館は16時という事なのであっさりと諦めてスルーすることにした。ここからは本格的な階段登りとなり身体への負担はかなりなものになった。階段はしっかりとしており手摺りもあるから危険性はさほど感じない。それよりも上部の岩が気になって仕方ない。ここの岩は礫岩で粘土の中に細かい石を混ぜて練ったようなもので非常にもろい。それが証拠に足元には細かい石が散らばっていた。たとえ小さな石でも加速度がつけばただでは済まないだろう。その意味でもこの山はヘルメット必携かもしれない。

「稚児落とし」への分岐を過ぎて、わずかばかり登ると標識のある山頂に到着した。ここにはベンチがあり周囲には柵が設置してある。それに東屋もあることから観光地そのものだ。本来ならここから富士山の姿が見えるのだろうが、その方向には雲がかかっていた。標識を見ると山頂はこの先とある。どうやら電波塔があるとなりのピークが山頂という事なのだろう。それではと隣のピークに行ってみる。隣のピークは本丸があったという事なので、ここを山頂としているらしい。しかし無粋な電波塔と雑木に阻まれて展望は無く落ち着けない場所だった。ふたたび前のピークに戻り休憩することにした。

標高は634mで東京スカイツリーと同じだが、標高差で考えると桂川から300m程度なので高さによる展望を比較するのは無理かもしれない。誰もいないピークのベンチを独占して展望を楽しむ。眼下に広がる大月市街地の真ん中を中央線の電車がひっきりなしに行きかう。中央自動車道は途切れることなく車が行き交っている。その中心を流れる桂川は夕陽を受けて光っている。ここでゆっくりしたい気持ちがあるが、帰宅の時刻を考えるとそろそろ引き上げなくてはならない。10分ほど休憩してから誰もいない登山道を大月市街地に向かってヨタヨタと下った。


市民会館から岩殿山

岩殿山登山口

ふれあいの館

階段

礫岩

大月市街地

中央線の電車

見晴台の東屋

岩殿山はこの先

07:05市営グランド駐車場--(.14)--07:19登山口--(.38)--07:57展望台08:00--(.13)--08:13大同山--(.16)--08:29百蔵山08:39--(.23)--09:02コタラ山--(.45)--09:47カンバノ頭--(.43)--10:30大久保山--(.04)--10:34分岐--(.07)--10:41扇山11:27--(.04)--11:31分岐--(.26)--11:57水場--(.17)--12:14梨の木平登山口--(.34)--12:48桂川ウエルネスパーク--(.45)--13:33猿橋13:39--(.27)--14:06市営グランド駐車場


14:42市民会館駐車場--(.06)--14:48登山口--(.13)--15:01ふれあいの館--(.19)--15:20稚児落し分岐--(.07)--15:27岩殿山見晴--(.06)--15:33岩殿山15:35--(.05)--15:40岩殿山見晴15:50--(.24)--16:14登山口--(.05)--16:19市民会館駐車場


群馬山岳移動通信/2019


この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)