「王岳」は頭上に注意
登山日2026年2月19日


王岳の山頂から遠く芦ノ湖と金時山が見える鍵掛(かぎかけ)標高1589m 山梨県南都留郡・笛吹市/吉沢山(よしざわやま)標高1590m 山梨県南都留郡・笛吹市/王岳(おうだけ)標高1623m 山梨県南都留郡。甲府市

西湖(富士五湖)の北に連なる山は意外と険しくて登り応えがある。その中で王岳は未登となっている。それにしても王岳とは素晴らしい山名である。本来ならば鬼ヶ岳に登って稜線を辿るのが良いのだが、高齢者にはちょっとハードルが高すぎる。そこで鍵掛峠に登ってから王岳を目指すことにする。

2月19日(木)
圏央道八王子JCT手前で事故渋滞につかまったが、なんとか予定通りに西湖の「いやしの里根場登山者駐車場」に到着した。登山者用駐車場は広い草地となっており、ところどころにシカの糞があるので注意が必要だ。登山者以外の利用者用は舗装されて区画線が引いてあるが、平日ならば満車となることはほぼないだろう。

駐車場からは迷路のような道を進んでいく。これは「いやしの里根場」の敷地内ということもあるのだろう。時刻は午前8時過ぎなので差し込む朝陽が目を開けるのも痛いほどまぶしい。標識に従って脇道に入ると神社があり、道を挟んだ反対側には茅葺の住居が何棟も建っている。この建物を見るには入場券が必要との看板が出ていた。登山者の人は入れないとわざわざ書いてあるところを見ると、少なからずトラブルがあるのだろう。それにしても茅葺の住居と富士山は良く似合う風景だ。

道は沢に沿って登っていく。積雪があり凍結している場所もあるが、それほどの困難さはない。雪の上に残されたビブラム底の足跡を見ると二人分が確認できる。それも下山している足跡だ。このルートは下山に利用することが多いのかもしれない。
高度が上がるにしたがって当然ながら沢からは離れていく。それに従って積雪が多くなり、おまけにトラバース気味になってくる。滑落すれば沢に一直線に滑り落ちていくだろう。チェーンスパイクを装着しようかとも考えたが、面倒なのでキックステップで登っていくことにした。

やがて、沢沿いの道も終わり、尾根に登り上げた。そこには明瞭な道と明るい日差しが待っていた。沢沿いの日陰の道とは違って日差しがあるだけで暖かく感じる。また、馬酔木の緑色の葉の緑がより一層鮮やかに見えた。ここで休憩して白湯を飲んで落ち着くことにする。今日は風もなく青空が広がっているので絶好の登山日和となった。尾根道は快適で歩きやすくどんどんと高度を上げていくのがうれしい。ただし、雑木が多く展望が効かないのが残念だ。雑木の間から富士山が見えているのだが、その全体像が見られないのが歯がゆい。


    いやしの里根場登山者駐車場

茅葺屋根・火の見櫓・富士山

ここが登山口

積雪あり

尾根に出ると馬酔木の木

やっと富士山が見えた

いやしの里根場駐車場が見える

この倒木にぶつかり意識が薄れる

鍵掛峠


鍵掛峠の手前で漫然と歩いていたら、倒木が眼の高さにあるのに気づかずに、思い切り頭を打ち付けてしまった。強い衝撃だったので、思わず意識が遠のきその場に座り込んでしまった。そのまま座り込んでしまい、何とか意識が戻るのを待った。これほどの衝撃は久しぶりだった。さらにその先はいやらしい崩落地となっており、設置してあるロープに掴まって渡りきるとそこが鍵掛峠だった。

鍵掛峠で休憩してから王岳に向かって出発する。ところどころ積雪があり、緊張するが灌木に掴まって慎重に歩く。ここまでくると富士山の全体像が見えるようになってきた。例年と比べると雪が少ないのだろうか、山襞の筋がみえる。ふもとには西湖と河口湖、さらにその向こうには芦ノ湖、金時山も見えていた。ともかく雲ひとつない富士山を見ることができるのは、わざわざ群馬から来た者にとってはとてもうれしい。

鍵掛というピークは登山道の通過点であり、顕著なピークとは思えない。長居をするような場所ではないので早々に立ち去ることにした。鍵掛からの道は富士山に見守られながら進む歩きとなる。小ピークを何度か越えて歩くのだが、時折積雪がある場所があるのでちょっと緊張する。途中で若い女性の3人パーティーとすれ違った。見ればアイゼンをつけていないので「この先はアイゼンなしでも大丈夫?」と聞いてみた。すると「アイゼンを忘れたのでそのまま登ってきました」とのこと。いずれにしてもそれほど危険な場所はなさそうだ。こちらが73歳と伝えると驚いたようで「転ばないように注意して歩いてください」と高齢者とみられたようで心配してもらった。


鍵掛に向かう

鍵掛のピーク

トゲの木

王岳にもう少し

吉沢岳付近から

吉沢岳付近から

いやらしい岩場

王岳山頂までもう少し


吉沢山は顕著なピークで目の前の王岳がすぐそこに見えている。ところがこのピークにはトゲのある木がありそれも目の前にあるので顔に引っかかる。これを避けてもさらにトゲの木があるということで通過に時間がかかってしまった。さらにその先には岩場があり、ここにはロープが渡してあった。このロープがなければ、ここを通過するのは難しいと思われる。まして悪天候や降雪があった場合はさらに難易度は上がるだろう。岩場を過ぎればいよいよ王岳の最後の登りとなる。雪がついているがさほどの困難はなかった。

王岳の山頂はやはり富士山の展望が良く、西湖の湖面が光を反射して眩しいくらいだ。山頂には登山者はなく貸し切り状態となった。それにしてもこの山頂は泥濘がひどく歩き回ると靴が泥だらけになる。しかたなくあまり動くことはやめて山頂の一角に腰を下ろして大休憩とした。静かな山頂で富士山を見ながら休憩するのは至福の時間となった。山頂から西に少し行ったところに南アルプスが見える展望場所があった。南アルプスは詳しくないのだが、あれが北岳かなと勝手に解釈して白い峰々をしばらく眺めていた。



王岳山頂

富士山の山襞が美しい

賽銭がいっぱい

南アルプス

南アルプス

笹藪の仲を下降

雪で下降はちょっとやばい

スパイク装着

雪道

林道に出た


王岳からの下山は枯れているように見える笹の斜面を一気に下っていく。ここでも頭の高さに倒木があり、またしても頭をしたたか打ち付けてしまった。今回の山行は頭を倒木に打ち付けたり、トゲのある枝で引っかかれたりと散々な目に遭ってしまったような気がする。枯れた笹原が終わると今度は雪の残る斜面となった。靴底のすり減った登山靴ではちょっと危ないのでチェーンスパイクを装着することにした。これで安心して歩くスピードは格段にアップしたような気がする。

林道まで出るとあとは鼻歌交じりに駐車場まで戻った。なぜか歩いているときに出てくるのが、あがた森魚さんの「赤色エレジー」。高齢者の歩くスピードに合っているようで繰り返し口ずさんでしまっていた。


08:13いやしの里根場登山者駐車場--(.23)--08:36鍵掛登山口--(.45)--09:21尾根--(.54)--10:15鍵掛峠10:35--(.20)--10:55鍵掛11:01--(.44)--11:45吉沢山--(.22)--12:07王岳12:47--(.48)--13:35王岳登山口--(.26)--14:01駐車場

群馬山岳移動通信/2026


この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)