30年ぶりの「御座山」は体力の衰えを感じる
登山日2023年9月29日


御座山山頂からの展望(峰雄山の先に天狗山と男山、八ヶ岳は雲の中)

御座山(おぐらやま) 標高2112m 長野県南佐久郡

御座山は30年前に登っているが、その時は白岩登山口からだった。特に印象は無くカラマツの芽吹きがきれいだったような気がする。そんな御座山を久しぶりに登ってみることにした。

9月29日(金)
登山口までは軽トラックでの移動となった。上野村からぶどう峠を越えて人口700人余の北相木村にはいる。途中から左折して「長者の森」という村営の施設に向かう。施設は広大でバンガローやキャンプ場が配置されとても立派なものだ。ここの駐車場に車を置いて登るのが一般的なので、それに倣うことにする。すると駐車場に先着していた車から男性が降りてきて話しかけられた。やはり登山口の情報を求めているようだったが、こちらもあまり詳しくなかったので、たいした情報を差し上げることができなかった。この男性は「日本300名山」を目指しているということで、すでに160座を登っているという。この後は両神山か袈裟丸山に行くというから、300名山完登もそれほど遠いとは思えない。

ザックを背負って歩き出すと、御座山の方向を示す立派な標識が現われる。このまま道を辿るとコテージ棟が現われて道はその手前で右に入る。舗装されていないその道に入ると、どうやら軽トラックなら走行できそうである。迷ったが、軽トラックでこの道を入ることにして戻ることにした。


長者の森管理棟

案内標識

登山口

登山計画書ポスト(カギなし)

トリカブト

サラシナショウマ

ヤマハッカ

ヤマハッカ


軽トラックで林道を辿ると、引き返した地点からわずかで終点となってしまった。なにか複雑な気持ちになったが、帰りは楽をできると思えばまあいいだろう。終点は車が数台は置ける場所となっており、下草も刈られていた。登山届を提出するポストも設置されていたが、カギがかかっておらず、個人情報が筒抜けとなっている。こんな登山ポストには絶対に投函したくないと思っている。

歩き始めても幅の広い登山道は相変わらず続いている。ちょっと薮っぽい場所もあるが、そこにはヤマハッカの花とトリカブトの青い花が一面に広がっていた。道はところどころ岩の斜面を切り開いたような場所もあり、人の手が明らかに加えられていた。


幅広い道

西群馬幹線109鉄塔


樹林に囲まれた道をひたすら登っていくと、突然目の前に巨大な鉄塔の基部にたどり着いた。これほど大きな送電鉄塔は何処にでもあるものではない。西群馬幹線109鉄塔で、赤白に塗り分けられている鉄塔は高さ130m高層ビル50階相当もあるという。どうやらここまでの広い道はこの鉄塔を建設するための道だったのだろう。この標高1700m地点に立てられた鉄塔もさることながら、1000KV送電線の敷設は危険を伴う大工事だったという。碍子だけで5tの重量があり、常に風速20mが吹く架線の上での作業は想像を絶するものがある。

鉄塔からの道は登り返しとなり10分ほどで白岩登山口からの道と合流する。30年前の記憶と結びつけようとするが全く思い出すことはできなかった。道は樹林の中をひたすら歩くだけである。この付近からシャクナゲの木が目立つようになり、開花の時期は見事なものだろうと想像できた。やがて見晴台と呼ばれる場所にたどり着く。たしかにここは岩峰の上になるのだろう。八ヶ岳方面の展望が開けていたが、あいにくと雲がかかって山容を見ることはできなかったが、疲れていることもあり、ここで大休止をすることにする。


白岩分岐

見晴台

木の根が多い

キノコは全くの無知


見晴台からも木の根が張り出した急登の道をひたすら登っていくしかない。9月も終わろうというのに蒸し暑く風がなく、着ているものは汗で乾いた部分がないほどになってしまった。登山道わきにはキノコ類が多くみられたが、まったく知識のないものにとっては触ることさえもできない。キノコの知識があれば山歩きはもっと楽しいものになると思う。傾斜はかなりきつく苦しい登りが続き、何度も休憩を入れながら登っていく。前衛峰と呼ばれるピークには三角点と書かれた標柱があるが、地形図には三角点の表記は見られない。その先にある開けた場所に立った時に目の前に見える御座山の山頂はとても遠くに見えた。しかし、コースタイムを見ればあと30分なので頑張るしかない。


前衛峰の地形図に表記無い三角点?

前衛峰から御座山

避難小屋

避難小屋の内部

観測所跡地基礎解体工事

御座山の先にある魅力的なピーク


前衛峰から一旦岩場を下り鞍部に降り立つ。ここからは最後の急登が待っていた。一か月以上山登りをしていない老体にはきつく、心が何度も折れそうになってしまった。それでも急登が過ぎて平坦になった時はホッとした。目の前には避難小屋が見えてきたからだ。ところがなんとけたたましいピックハンマーの音がするではないか。近づくと書き物が貼り付けてあり「気象観測所の土台解体工事」となっている。さらに近づくと2名の作業者が作業の真っ最中だ。運の悪い日に登ってきたものだが仕方ない。騒音の中で山頂の展望尾を楽しむしかない。
作業者とちょっと話をする。なんでも作業を開始して5日目、なにしろこの現場に登って来るのが大変、解体した土台は袋に入れて人力で運ぶという。本当にそんなことやるのかと思ってしまった
山頂には登山者が2名いたがすぐに下山していった。展望はどうかと言うと周囲に雲がかかり期待していた山岳展望は得られなかった。それでも疲れた体を休ませるために40分近く騒音の中で居座ってしまった。

それにしても、この程度の山行でかなり疲労してしまった。痛めた足首も相変わらず完治せず5時間以上の山歩きは本当に難しくなっているという情けないが現状となってしまった。



長者の森登山口07:42--(.59)--08:41鉄塔--(.13)--08:54白岩分岐--(.41)--09:35見晴台09:58--(.27)--10:25前衛峰--(.39)--11:04御座山山頂11:48--(.56)--12:44見晴台13:04--(.36)--13:40鉄塔13:50--(.46)--14:36登山口


群馬山岳移動通信/2023


この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)