大型連休の時に体調を崩し、病み上がりと言うこともあるので簡単に登れる山を探した。その結果、見つけたのが諏訪湖の近くにある「守屋山」だった。ここならば展望も良いし、ハイキング気分で登れるに違いない。 5月26日(金) 自宅を4時半に出発し、杖突峠に到着したのは6時半だった。杖突峠の駐車場は2段に分かれており、それぞれ20台ほどが駐車できそうだ。到着した時は5台が駐車しており、余裕だった。支度をして駐車場の奥にある階段を登って登山口に入る。すっかり緑が濃くなった登山道は心地よく、この時期の山歩きを満喫できそうだ。歩き始めは寒いようだったが、すぐに背中が汗ばんできたので、ヤッケを脱ぐことにした。登山道は地形図に表されてはいないが、立派な道でよく整備されている。この登山道と並行するように車道が走っているのが気になる。そして登山道は、その車道と交差するように合流する。そして車道にはゲートが設けられて車が入れないようになっている。そして何やらわからぬが、謎の絵が草に埋もれて放置されていた。その車道を下降気味に歩いていくと、材木をゲートのように組んだ場所に到着する。これをくぐって、山道を下っていくと沢音が聞こえてくる。沢には木道が設置されて簡単に対岸に渡ることができる。 対岸に到着すると、真新しい建物が突然現れる。この建物は何だろうと近づいてみると、なんとこの山奥に似つかわしくないようなトイレだった。ここは守屋山水呑場と呼ばれる場所で登山道の中間地点だ。ネットで調べると、このトイレの建設はクラウドファンディングで寄付を募ったものだという。設置までは汲み取り式で悪臭がひどかったというが、今では考えられないような環境となっている。関係者の方々の努力と、これからの維持管理が課題となるに違いない。ここには木彫りのクマが設置されているが、本物のクマには出会いたくないものだ。
水呑場の広場から急登の道を辿ることになる。ここにも林道が延びてきているところを見ると、一般には開放されていない道がかなりあると思われる。立石への道を分けると景色が開けて気持ちの良い場所に出る。標識には「守屋山」と書いてあるが、ここは「守屋山東峰」と呼ばれるところだ。展望はあいにくと曇っているので、遠望は利かないのだがそれでも諏訪湖の水面が確認できた。 東峰のピークを通過するとすぐに守屋神社奥宮となる。奥宮はよほど重要なものなのだろうか?「諏訪大社上社本宮の御神体山」と言うこともあり、頑丈な鉄の枠で囲われていた。道はアップダウンも少なくさほどの苦労もなく、展望もない「守屋山中嶽」を通過。さらにその先に小さな白い建物が見えてきた。この建物がラビットハウスと呼ばれるもので、ちょっとした休憩ができるようになっている。ラビットハウスとは意味深な名前だが、もとは測量小屋だったものらしく、狭くてウサギ小屋と呼んでいた。観測小屋を引き継いで管理していた人たちの中に「卯年」生まれの人がいたことから、ラビットハウスとしたらしい。この小屋は国の所轄となることから、払い下げも難しく管理する人たちのボランティア活動で維持されているらしい。ラビットハウスの横には「さざれ石」があり、その傍らにはクリンソウが花を咲かせていた。
ラビットハウスからは、すぐに守屋山山頂だ。山頂には立派な山頂標識、方位盤、一等三角点があり、広々としていた。展望は相変わらず曇っていて周囲の山は確認できないほどだ。それでも山頂にいた単独行の男性は「これでも良くなってきたほうですよ」と言った。確かに諏訪湖の水面がはっきりし来たような気がした。そのうちに二人の登山者がやってきて何やらごみ拾いを始めた。聞けばボランティアで山の管理をしているとのこと。どこから来たのかを聞かれたので、「群馬県〇〇市からです」と答えると、「まあ、遠いところからわざわざご苦労様です」と返された。結局、山頂に1時間も滞在してしまった。山頂を辞してラビットハウスの前を通ると、再び声をかけられた。「遠いところからわざわざ来てくれたのだから、これをあげる」と言って、ポケットから守屋山と焼き印が押された木札を渡してくれた。丁重に礼を述べて、ありがたくいただくことにした。
中嶽から東峰を通過して、立石コースの分岐に到着。ここからは一気に下降することになる。ジグザグの道を快適に下っていく、途中で二組の登山者とすれ違ったが、静かなものでゆっくりと歩くことができた。途中で「守屋山前嶽」に立ち寄ったが、展望は無く四等三角点の金属標があるだけだった。 さらに下ると、道が分岐する。実はこの道はよく整備されているのだが、地形図には表記がされていないのだ。さて困った!どちらに行けばよいのだろう?どちらの道も踏み跡はしっかりしている。とりあえず、右の「浅間大滝」と書いてある方向に進んでみることにする。すぐに浅間大滝があり、「木花咲耶姫」を祭った祠が設置されていた。大滝とは名ばかりで水量はわずかだった。
さらに下降すると上方から延びてきた道と合流する。どうやら先ほど迷った分岐の道を左に辿ると、この道に続くと思われた。ここからは名前を付けた石が次々に出てくると言う道となった。中にはかなり想像力を働かせないとわからないようなものもあった。 下降していくと林道に車が止まっているのが見えた。こちらの登山口から登るならばここまで車で入れると言うことだが、急登を考えるとちょっと考えてしまう。このまま車道を辿らず、ちょっと戻って登山道を辿って下山することにする。しかし、すぐに車道となり、廃墟に近い別荘地の中を縫って、国道152号に出てから杖突峠までの道を歩いた。 帰りは杖突峠から少し下ったところにある「蕎麦処 風聲庵」で杖突そばを食べた。そばの味がわからないものとしては、かなり高いものだと感じた。 いただいた木札はラビットハウスの維持管理に尽力され、今年の2月に90歳で逝去された金子孝さんが作って配っていたものと判明した。貴重なものをいただいたので大切に保管することにした。 【おまけ】 謎の看板を山中で見かけた。 あまり気持ちの良いものではない。
07:13杖突峠--(.39)--07:52水呑場山荘07:58--(.40)--08:38東峰08:51--(.08)--08:59中嶽--(.04)--09:03ラビットハウス09:08--(.01)--09:09守屋山10:07--(.10)--10:17東峰--(.12)--10:29分岐--(.06)--10:35前嶽--(.37)--11:12立石--(.19)--11:31立石登山口--(.17)--11:48杖突峠 群馬山岳移動通信/2023 |
この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号) |