早春に三才山トンネル周辺の里山を巡る(松本市)
登山日2021年3月23日
烏帽子岩の尖塔、後方は武石峰(美ヶ原) 三才山トンネルは長野県上田市と松本市を結ぶ重要な道だ。しかし、長年のあいだ有料となっていたために利用するのは躊躇していた。しかし、2020年9月からこのトンネルは無料となった。そこでかねてから気になっていたこのトンネルの上にある山を登ることにした。 3月23日(火) ここのところ野暮用と農作業、週末の天気悪化でなかなか出かけられなかった。こうなれば天気の良い日を選んで休みを取るしかない。 上田市から三才山トンネルを抜けて松本市に入ると、ほどなく左側に広い駐車余地がある。かつては「三才山出合ドライブイン」が営業したことがあったが、いまは廃業し建物だけが残されている。ここの一角に車を止めて準備を整える。周りを見ると雪はなさそうなので、持参した軽アイゼンは置いていくことにする。車道を渡り、鳥獣侵入防止柵の扉を開けて中に入る。しばらくは車道に沿ってなだらかな坂道を登る。戸谷峰までは「美ヶ原ロングトレイル」のコースとなっているので道が整備されている感じを受ける。それにしても車道の脇を歩いているので車の騒音が激しく耳障りだ。この付近で目立つのは崩落した岩が多いということだ。この岩は平たい形をしており、積み上げれば路肩の補強になりそうだ。中段に目を移すとダンコウバイが多いことに驚く。花はちょうど咲き始めなのだが、それでも黄色いその花はホタルが舞っているようでもある。 道はやがて傾斜を増して急登になるとともに車の騒音はほとんどなくなってきた。急登に併せるように道はジグザグとなりゆっくりと高度を上げていく。周囲は雑木に覆われて展望は無く、目の前の斜面を見上げて登るだけだ。標高1500m付近で足元に妙なものを見つけた。近づいてみるとそれは福寿草だった。園芸種のものより花が大きいようにも感じるが、朝早いこともあり花が開いていないのが残念だ。ほかにも無いか探してみるとほかにも2か所に見ることが出来た。昔は大群落だったのかもしれない。いずれにせよ絶滅しないことを祈るのみだ。
戸谷峰山頂には二等三角点があり土が露出していた。山頂の北側は木が伐採され北アルプス方面がよく見える。しかし、山頂稜線付近には雲が掛り、肝心の各ピークは確認できなかった。また南側は草原状になり、その先には美ヶ原の南端が見えていた。山頂は暖かい陽が降り注ぎ、このままここに留まっていたいと思う。とりあえず水分補給と菓子パンを食べてから次のピークに向かう。
戸谷峰から次のピークに向かっては恐ろしいほどの斜面を下降する。このルートはロングトレイルのルートではないので整備されていないのか、途中で踏み跡を見失うこともある。鞍部には送電鉄塔があり、その基部は裸地になり広々としていた。
雑木の中の道は展望もなくひたすら歩くのみだ。最初の鉄塔から20分ほど歩くと次の鉄塔にたどり着く。ここも基部は裸地となり開けている。しかし、その後は展望のないルートを辿るだけだ。
六人坊は三等三角点があり、その周りは石が積まれていた。ここも展望はなく朽ち果てそうな山頂標識が木の幹に取り付けられていた。展望もなくとどまる必要もないので、その先に進む。 三才山には取り立てて目立つものはなく中部森林管理局の境界見出票が地面に打ち込まれていた。ここも留まる理由がないので先に進むことにする。 ここも恐ろしいほどの急斜面の下降で気を抜くことは出来ない。目の前に林道が見えた時は安堵することが出来た。
降り立った場所は三才山峠でかつては車での往来があったと思えるが、今ではその面影はなく崩落した場所も見られる。峠の由来を書いた案内板と石柱があった。また「三才山トンネル通過地点」の標識があったが、地形図を見る限りトンネルはこの下を通過していないはずである。ちょっとだけ休んで、林道を南下して烏帽子岩方面に向かう。
林道を進んで標高1625mピークの下までくると北アルプスの展望が一気に開けた。実に気持ちの良いところで今日歩いてきた各ピークが見渡せ、北アルプスの名だたる山々が一望だ。これだけの大展望を独り占めできるのは何という贅沢だろうか。時刻は11時半なのでここで昼食休憩にする。無風で暖かい日差しの中で暖かいものを食べるのは幸せを感じる。北アルプスは大キレットが目印となり、左に北穂、涸沢岳、奥穂、右に南岳、槍ヶ岳と順に並んでいく。振り返ると林道を挟んだ1625mピークは岩峰になっておりこのピークに行けばさらに良い展望が得られそうだが、ここから登るのは無理と判断した。(後から考えれば標高差70mほどなので登ればよかったと後悔した)30分ほど休憩して、おなかを満たしてから林道を歩き出す。
林道は思った以上に積雪があり、踏み込んでしまうような場所もあった。北斜面につけられた林道は吹き溜まりができやすく、雪が解けにくくなっているのかもしれない。ほどなく烏帽子岩への分岐に差し掛かり林道を離れて登山道に入っていく。斜面を登ると烏帽子大権現の赤鳥居が目に入り、鳥居をくぐると小さな社がふたつある。ここは岩峰になっており高度感は半端じゃない。ここを離れて右側の岩場に移動すると、高度感はさらに増すことになる。目の前には烏帽子岩の尖塔が屹立している。まさか登る人はいないだろうと思っていたら、頂部に確保用の登攀具が置いてある。それにしても、これがご神体だとすれば罰アタリと言うしかないだろう。
烏帽子岩からの下降は距離が長く飽き飽きするほどだ。道はしっかりしているのだが、キノコ山ということもあり赤テープが頻繁にあり迷うかもしれない。また標識が「三才山一の瀬」となっているのに全く違う方向を指しているのには迷わされた。植林地を抜けると周囲は明るくなり、鳥獣除けのゲートをくぐると駐車地点はもう少しであった。
記録
07:15三才山トンネル出合駐車場--(1.50)--09:05戸谷峰09:28--(1.18)--10:46六人坊--(.11)--10:57三才山--(.08)--11:05三才山峠11:12-(.11)--11:23休憩12:00--(.32)--12:32烏帽子岩12:46--(1.37)--14:23駐車場 群馬山岳移動通信/2021 |
この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号) |