無理せず「霧ヶ峰」をのんびり散策する
登山日2022年6月28日


車山山頂から八ヶ岳連峰・富士山・鳳凰三山・南アルプス

殿城山(でんじょうさん)標高1800m 長野県小県郡長和町/樺ノ丘(かんばのおか)標高1832m 長野県諏訪市・茅野市・小県郡長和町/霧ヶ峰・車山(きりがみね・くるまやま)標高1925m 長野県諏訪市・茅野市/蝶々深山(ちょうちょうみやま)標高1836m 長野県諏訪市 /男女倉山(おなめくらやま)標高1776m 長野県諏訪市・小県郡長和町/山彦の北の耳(やまびこのきたのみみ)標高1829m 長野県諏訪市・小県郡長和町/山彦の南の耳(やまびこのみなみのみみ)標高1838m 長野県諏訪市・小県郡長和町/大笹峰(おおざさみね)標高1807m 長野県小県郡長和町
左足踵のトラブルは相変わらず解消されていないが、幾分は緩和されてきた感じがする。足首を固定するような登山靴ならば平地をそれなりに歩ける。こうなれば少しは歩いてみたい気持ちが増してくる。ハードな山は無理だが、ハイキング程度ならどうにかなるだろう。そこで目を付けたのが霧ヶ峰だった。霧ヶ峰はバスハイクで歩いたような気がしていたが、はっきりとした記憶がない。とにかく人出が多いということが記憶にある。混雑する場所は避けたいので、主だったルートを見ていると姫木平別荘地から登れるようである。ここは休業中のスキー場があり大駐車場があるということが魅力でもある。

6月28日(火)
天気予報とにらめっこをして比較的穏やかと思われるこの日に休みを取得した。姫木平の別荘地を過ぎると,エコーバレースキー場の大駐車場に到着する。エコーバレースキー場は休業中とのことだが、一度休業してからの再開はメンテナンスを考えると、かなり困難であると推測される。駐車場の隅は伐採したカラマツの貯木場になっており、朝6時なのに盛んに積み込みが行われていた。支度を整えて広い駐車場を横切り林道に入る。小さな沢を渡るとハイキングコース入り口の標識を見つけることができる。山に向かって道が続いており道の両脇は鳥獣侵入防止ネットが設置されている。また定期的に刈払いがされているらしく、枯れた笹が道に敷き詰めたようになっている。どうやらこのハイキングコースはあまり歩かれていないようだ。道はさほど急ではないので、足を痛めている身にはありがたい。それでも確実に標高は上がっており、やがてカラマツの植林地に入っていく。植林地内は笹が密生しておりとても雰囲気の良い場所となっている。タイミングよくカッコウの声が大きく聞こえているものだから、しばらく立ち止まって見とれてしまった。道の傾斜が強まったところを頑張って進むと稜線に到着する。左には車山の気象レーダーが間近に見られ、右に進めば殿城山となり、灌木の中の道を登り上げればわずかな時間で殿城山の山頂にたどり着く。

殿城山の山頂からは八ヶ岳の稜線のつながりがはっきりと見える。特に大きなお椀を伏せたような蓼科山は存在感がある。また南八ヶ岳の硫黄岳、赤岳、阿弥陀岳はゴツゴツしており険しさが際立っている。またその先には富士山が秀麗な姿を見せていた。眼下には大駐車場の停めた自分の車がポツンと置かれているのが見えた。


案内図

大駐車場 奥に貯木場がある

ウツギ

オダマキ

気象レーダーを確認

見事なカラマツ林

稜線にたどり着く

殿城山山頂

殿城山から浅間山方面

殿城山から八ヶ岳連峰

樺ノ丘を目指す


殿城山の山頂を辞して車山に向かう。それにしても霧ヶ峰の広大な笹原がどのような経緯で出現したのかわからぬが、この景色は人知を超えている。いったん下って緩やかに登り上げたところが樺ノ丘と呼ばれるところだが、全く目立つ場所ではない。車山の気象レーダーはますます大きく見えてくる。早朝の爽やかな空気は実に心地よく、足の痛みを忘れるほど快調に歩くことができる。ここで突然声をかけられたので顔を上げると私と同年配の男性が立っており、さらに話しかけてきた。なんでも原村に居を構え山歩き三昧の日々だという。なんと40分近く立ち話で時間を費やしてしまった。

男性と別れてから車山に向かって歩き始める。車道のわきの階段をひたすら登るだけだが、これがかなりきつい。そうこうしていると車山高原のサマーリフトが稼働を始めたようでカラカラと滑車の音が聞こえ始めた。40分の立ち話時間のロスが効いてきたようで、すでに山頂には人が多くみられるようになってきた。階段を登り詰めるとリフトの駅があり、その先に道が続いている。車山神社の社で参拝、有名な諏訪大社と同じように御柱が四隅に立てられていた。山頂には展望台が多数設置されて観光地であることを実感させられた。そのうちに賑やかな声が聞こえてきたと思ったら、リフトで中学生の団体が切れ間なく押し寄せてきて山頂はあっという間に都会の喧騒が引っ越してきたような状態となった。これはたまらないので早々に山頂を逃げ出すことにした。


車山を目指す

車山から白樺湖と蓼科山

車山神社

富士山

気象レーダー

外界は40度近い猛暑


車山から下山してなだらかに道を辿り下降していく。笹原の中の蝶々深山へ続く道もよく整備されて歩きやすい。このあたりは牧場として使われていた時期もあるのだろうか。不思議なのはこの笹の丈は、なぜ短く育っているのだろうか?上信越の身の丈を超す笹薮とは明らかに違っている。時期が早いこともあるのだが、ニッコウキスゲは全く見られない。それどころか目ぼしい花も全くと言っていいほど見られない。植生が変わってしまったということなのかもしれない。蝶々深山山頂は石が中心の裸地となっており、展望は優れている。人気のある場所らしく次々と人が登ってくる。ここもあまり居心地がよくないので早々に退散することにする。

蝶々深山から笹原の中の道をアップダウンも少なく歩いていくと物見岩に到着する。物見石はこの付近では目立つような大きな石で、この石の上に上れば景色がよかろうと思うが、とても登る気にはならない。この辺も裸地となっているところを見ると、かなりの人が来ているものと思われる。そんなことを考えているとにぎやかな声が聞こえてきた。見れば中学生の団体がこちらに向かってくるのが見える。ここも追い立てられるように荷物をまとめて立ち上がった。

八島ヶ原湿原に向かってどんどん高度を下げていく。ここも道の脇にはロープが張られて外に出ることを禁止している。植生保護ということらしいが、それほど貴重な植物があるようには見えない。できることなら、こんなに高度を下げずに笹原の中を歩いてトラバースすれば効率よくピークを踏めるのだが、致し方ない。小さな沢を過ぎると道は水平となり、廃屋に到着する。廃屋はどのような目的で使われていたのかは不明だが、この近くにキャンプ場があったことからその関連かもしれない。ここからちょっとわかりにくいが、右に道がありここを辿るとかつてのキャンプ場に入る。その名残はないが、ここでキャンプができていた幸せな時代があったということだ。相変わらず快適な道を登っていくと前方から来た女性とすれ違った。車山山頂で見かけた人だったので、ちょっとだけ話をして別れた。かなりの山好きとみられた。

男女倉山山頂にはゼブラ山と書かれた標識が立てられていた。ゼブラ山という名前も定着すれば仕方ないが、何となく違和感がある。時刻は正午になるところなので、ゆっくりとカップラーメンを食べることにする。ここの展望は美ヶ原の先に見える北アルプスの名峰が素晴らしい。そして振り返れば、山彦尾根の稜線が笹原の絨毯に覆われて見事だ。ゆっくりと過ごすこの時間は、足が痛くとも歩いてきた甲斐があったと思う時間だった。


蝶々深山を目指す

コバイケイソウ

ハクサンフウロ

蝶々深山山頂

物見岩

廃屋

男女倉山

男女倉山から山彦尾根、奥に蓼科山の山頂部


男女倉山からいったん下ってから再び登り返す。この付近、盛りは過ぎているのだが、ヤマツツジが多く群生していた。姫木平への分岐から右に折れて山彦の北の耳に向かう。長い名前はこの尾根が山彦尾根と呼んだことからきているらしい。(スキー場はエコーバレーと)呼ばれている)霧ヶ峰のピークはどれも展望がいい。これは笹原が続いていることから遮るものがないことによる。北の耳も素晴らしい展望となっている。ここまで来たのだから南の耳もピストンしておくことにする。南の耳も素晴らしい展望で、近くまでスキー場のリフトが来ているのが興ざめでもある。ここまで来ると蓼科山がやはり存在感を増してくる。

ふたたび北の耳に戻り、大笹峰への道を辿ると歩く人が少ないためか、刈払いの笹が道に残っていた。そして赤い屋根の休憩所に到着する。中に入ると締め切っているためか、むっとした熱気がまとわりついてきた。それに木製の地蔵があり居心地がよくないので早々に退散して外に出た。外にはすぐそばまでブランシュたかやまのスキーリフトが来ていた。ここに大笹峰の山頂標識はなく、三等三角点があるだけだった。時間も早いのでここで景色を惜しむように大休憩をした。結局のところ無理をしない山行ということで、各ピークで休みすぎている感じはある。たまにはガツガツ登る山行を離れるのもいいだろう。


霧ヶ峰らしい

北の耳と南の耳

北の耳

南の耳

北アルプス 穂高連峰と槍ヶ岳

大笹峰方面(赤い避難小屋が見える)

大笹峰の休憩所

休憩所の中にお地蔵様

休憩所内部

イブキジャコウソウ

林道を辿って下山する


大笹峰からの道は地図上では破線だが、よく整備されており全く問題ない。むしろスキー場のゲレンデに出てからのほうが間違いやすいかもしれない。左足踵の痛みは悪化することもなく、現状維持で歩けたようだ。しかし現状維持と言っても、足を引きずりながら歩くので、回復にはまだまだといったところだ。


06:43大駐車場--(.08)--06:51登山口--(.58)--07:49稜線--(.03)--07:52殿城山08:11--(.06)--08:17車山乗越08:52--(.19)--09:11霧ヶ峰(車山)09:28--(.43)--10:11蝶々深山10:22--(.18)--10:40物見岩10:46--(.26)--11:12小屋跡--(.28)--11:40男女倉山12:23--(.22)--12:45北の耳--(.12)--12:57南の耳13:14--(.18)--13:32大笹峰13:56--(.25)--14:21林道--(.32)--14:53大駐車場


群馬山岳移動通信/2022


この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)