新型コロナウイルスの影響は出口が一向に見えない。いまだにワクチンの接種も順番が回ってこない状況だ。そんなわけで、今月も県内の山に登ることにする。 あまり意識しないようにしているのだが、群馬100名山を見ると未登の山がふたつある。「鉱石山」と「観音山(高崎)」で観音山は自宅から車で10分ほどのところにある。かつて登ったことはあるのだが、山として意識して登ったわけではないので未登ということになる。鉱石山は積雪期に挑戦したが、膝までの雪で断念している。しかし、無雪期ではわずか2時間のコースタイム、わざわざ出かけるほどの山ではないということで、そのままになっていた。しかし、ネットで記録を見ると、川場牧場に回ることで4時間のコースタイムになるというものがあった。これならば楽しめそうな気がするし、この周辺には川場田園プラザの裏に「後山」があり、未登になっていることからそちらにも足を延ばす計画を立てた。 また、最近は腰痛が悪化しており、骨盤ベルトを装着しての生活も余儀なくされている。さらに足首の持病もそのままで、フリクションを生かした岩場の登攀、急斜面の登行に支障が出ている。こんなこともあり長時間の歩行は無理になっている。 6月5日(土) 川場スキー場に通じる道を離れて、川場牧場に通じる林道に入る。林道は舗装されているものの狭くて対向車が来たら苦労しそうだ。ましてこれからは道の両側に夏草が繁茂すればさらに困難になるだろう。途中で右に明瞭な未舗装の林道が分岐した。林道手前は鎖で閉じられていたが、鎖は架けてあるだけで、容易に外すことが出来るものだった。しかし中に入ったところで周回コースなので意味がないことから、このゲートの手前に駐車することにした。
今日の装備は簡素化して食料も最小とした。ここのところ腰が痛くて立ち上がるのも億劫なほどだ。したがって骨盤ベルトは必要と考えて装着しておいた。駐車場所を離れて林道を歩いていくが車の轍は無く路面はさほど荒れていない。これは林道ののり面が崩れて岩が散乱しているので車が入りにくいのかもしれない。歩いて20分ほどで林道から離れた場所の法面にトイレが見える。ここは子供たちのハイキングコースになっているということでの配慮らしい。このトイレを過ぎると林道は分岐する。なにも標識は無いものだから、直進して歩き始めた。この道からは浅間山や上州三峰山の台形が良く確認できる。しかし5分ほど歩いたのだが、どうも様子がおかしい。地図を確認するとあらぬ方向に向かっていることが分かった。あの分岐は直進せず左に登り上げるのが正解だったのだ。再び戻ることになり往復で15分のロスをしてしまった。 分岐に戻り、今度は左に向かって登って行く。道は相変わらず幅広く林道に近い状態だ。しかし展望は無く緑の森の中をひたすら歩くのみだ。この山はクマの目撃例があるようなので鈴を腰に下げて、なおかつラジオをつけっぱなしにしてある。このラジオはMP3を再生できるので受信状態にかかわらず、音を出すことが出来るお気に入りのものだ。音楽はクイーンの曲を入れてあるのでかなり喧しいが人が入り込むような山ではないので問題は無いだろう。それにヒルが出るとの情報があるので「ディート」を30%含んだ虫よけスプレーを足元に吹き付けた。もちろん帽子にも吹きかけている。このスプレーの効果なのか山歩き中はブユも全く寄ってこなかった。さらに今日はゴム長靴を履いているので、ヒルに対してはかなり効果的なはずだ。
ロープが取り付けてある斜面を登ると、標高1181m峰はちょっとした突起だ。しかし樹林にさえぎられて展望は全くない。ここに留まっても仕方ないので先に進んでいく。アップダウンの少ない稜線を進んでいくとほどなく鉱石山の山頂に到達する。この山頂も展望は全くなく。朽ち果てそうな標識があるだけだった。近くにはトイレがあるがとても不気味でドアを開ける気にならない。しかし、ここで溜まった汚物はどのように処理しているのか?疑問に思えてくる。 鉱石山からさらに先に進んでいく。途中にひび割れたおせんべい、あるいは象の皮膚のような岩がある。この山は溶岩の盛り上がりでできた山なのかと思わせるものだった。ハルゼミの大合唱が続く道を登り上げると山ツツジが咲く木賊山に到着だ。二等三角点があるが、周囲は全く展望が無い。木賊山のほかに朝倉山の名前もあるらしい。ここで菓子パンを食べて休憩とした。
木賊山からはケモノミチに近いかすかな踏み跡を辿って先に進む。踏み跡はそれなりに明瞭で夜間でなければ迷うことはなさそうだ。鉱石山から木賊山そして川場牧場の付近はモミジやツツジが多いことから紅葉はさぞかし素晴らしいものだろうと想像できる。やがて尾根は不明瞭となり広い斜面に出ると傾斜はなだらかになり、ひょっこりと目の前に大展望が広がった。ここが川場牧場で広々とした草原の向こうに上州武尊山が見えている。しかし、放牧されている家畜の姿は確認できない。それに牧場の柵はほとんどが壊れていて用をなしていないようだ。動物の気配を感じて振り返ると鹿が一頭走っていく姿を確認した。この柵に沿ってさらに下降を続けるが、このルートが今回一番きつかった。藪の中を歩いていたら方向感覚がおかしくなり、全く反対の方向に進んでしまっていた。最近は地形図を見ながら藪の中を歩くということが無くなっており、この辺の経験(勘)は衰えるものだと思う。 沢を渡り斜面を登ると林道に出ることが出来た。改めて地形図をみると牧場の中を進んで林道に出たほうが良かったかとも思う。ともかく道に迷いながら十分に楽しい山歩きが出来た。
群馬山岳移動通信/2021 「記録」 駐車地点06:09--(.26)--06:35分岐(15分ロス)06:50--(.40)--07:301181m峰--(.18)--07:48鉱石山07:51--(.16)--08:07木賊山(朝倉山)08:16--(.37)--08:53川場牧場--(.44)--09:37林道--(.25)--10:02駐車地点 |
この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号) |