年末は富士山を観たくなる。新型コロナウイルスの感染を考慮した計画を立てることにした。とりあえず現地までは直行、直帰として立ち寄り場所はできればゼロとする。富士山となれば、大月市が制定した秀麗富嶽十二景が展望場所としては間違いが無かろう。
12月12日(土) 午前4時に自宅を出発、関越道―圏央道―中央道を経由、大月ICで降りて新笹子トンネルを抜けて「やまと天目山温泉」の駐車場にたどり着く。前日、この施設に電話すると、駐車は問題ないとのありがたい言葉を頂いたので後ろめたさはない。ゆっくりと支度をして菓子パンの朝食を摂ってから出発だ。 温泉施設を出発してすぐに林道「焼山沢真木線」に入る。舗装された林道は快適に高度を上げていく。それにしても林道沿いの集落はことごとく廃屋となっており不気味でもある。八代龍王神社の前を通過し、さらに歩いていくと、施錠されたゲートが道をふさいでいる。12/10に冬季通行止めとなったばかりで、この時期にわざわざ林道を歩く、もの好きはなかなかいないのだろう。ゲートを通過すると、トラックと軽自動車が相次いで通過して行った。ゲートを開けられるということは関係者なのだろう。
ゲートから45分ほどで林道はこのまま続くのだが、徒歩登山口に到着する。あまり歩かれていないと思わる道を焼山沢に沿って登って行く。道は徒渉を繰り返しながら登って行くが、徒渉のたびに道形がなくなるのが厳しい。また、増水時には苦労するだろうが、その時は林道が開通しているだろうから、ここを通る人は少なくなるだろう。沢の上部になると道はなだらかになり歩きやすくなる。
案内板には峠まで40分とあったが1時間近くかかって、やっと峠にたどり着いた。峠には避難小屋があり、小屋の周辺はおびただしいほどのごみが散乱していた。小屋の中は蛍光灯があり、使用時のみ点灯となっていたが、この時点では点灯したままだった。小屋の前は広い駐車場になっており、最盛期には賑わうことだろう。また、立派なトイレがあったが、冬季閉鎖中とのことで施錠がされていた。
駐車場からわずかに歩くと小金沢連嶺との分岐となり、ここが本当の湯の沢峠となる場所だ。ここには方面別にカウンターが置かれていて大蔵高丸とハマイバ丸を押しておいた。鹿の侵入を防ぐ柵を開けて中に入ると、そこはお花畑となっているが、今は枯草の草原だ。登山道に沿ってロープが張られ鹿ではなく人間が侵入するのを防いでいる。突然、キーッと声がするのでその方向を見ると、鹿が2頭こちらを見ている。どこかに鹿の侵入を許す場所があるのだろうが、これだけの広さを管理するのは難しいのだろう。
草原を抜けてちょっとした樹林帯を登ると目の前に雄大な展望が広がった。ここが大倉高丸山頂だ。何といっても富士山の見ごたえがある。山頂部分は残念ながら笠雲がかかっているのが残念だ。しかし、これほどの笠雲も滅多に見ることは出来ないだろうから、これでも良いだろう。山頂は裸地となっており大きな石が点在している。それにしても静かだ風もなくこれだけの展望を一人で楽しむのは贅沢そのものだ。
大蔵高丸を過ぎて快適な道を歩いて行く。ハマイバ丸の登りに差し掛かったときに単独行の男性とすれ違った。今日は誰にも会わないと思っていただけに、意外ではあった。ハマイバ丸は「破魔射場丸」と書くらしい。なにか感じの方がありがたいような気がする。山頂は雑木が多く展望はあまりよくない。ただし、富士山方向は切り開かれており、山頂にかかった笠雲が整った形になってきたようだ。
ハマイバ丸からだらだらと歩いて下降する。小ピークを越えてわずかばかり歩くと「天下石」がある。大きな石ではないのに、なんでこんな立派な名前をつけられたのかよくわからない。ここを過ぎると、前方から2名の登山者とすれ違った。今日はこれで3人に合ったことになる。なんとも贅沢な山行だ。そのまま進んでいくと「米背負峠に到着。読み方は(コメショイトウゲ)(米ショイダル)(コメッショイ)などがあるらしいが、なんとなく楽しい読み方だ。すると、後方から賑やかな女性の声がしてカップルがものすごい勢いで歩いてきた。誠に賑やかで、ず〜〜〜〜〜っと喋りっぱなし。まあ、これなら100m離れても居場所はわかるだろう。私がおろおろしていると、すぐに出発していった。その早さは尋常ではなく、68歳のじじいは追いつく気力は全くおきなかった。時刻は12時前なので大谷ヶ丸まで登って昼食にしよう。 それなりに登り応えのある斜面を登り、大谷ヶ丸に到着。ここは展望がなく富士山も見えなかった。しかし、12時になろうとしているので、ここでカップラーメンを食べることにする。風もなく快適な日だまりで暖かいものを食べるのはとても充実感を覚える。
米背負峠まで戻り、沢沿いの道を下降する。
林道まで下降するとあとは長い林道歩きが待っている。しかし、林道歩きはそれほどつらいとは思わない。むしろ安心感のある道を何も考えずに歩くというのは、むしろ好きなのかもしれない。 林道の最終地点にある大蔵隧道は真っ暗で不気味だったが、これもまた楽しい思い出となった 帰りは直帰を考えていたが「笹一酒造」に立ち寄って酒を仕入れての帰還となった。 群馬山岳移動通信/2020 記録 やまと天目山温泉06:59--(.33)--07:32ゲート--(.44)--08:16登山口--(.57)--09:13湯の沢峠--(.47)--10:00大蔵高山10:15--(.20)--10:35ハマイバ丸10:41--(.40)--11:21天下石山--(.14)--11:35米背負峠--(.17)--11:52大谷ヶ丸12:27--(.12)--12:39米背負峠--(.33)--13:12林道13:33--(.46)--14:19車道--(.04)--14:23やまと天目山温泉
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