例年ならば春山は残雪を求めて県境を歩いていたのだが、今年はなかなかそんな雰囲気にはなっていない。もしも事故を起こせば社会的な負担を強いることになり、その影響は計り知れない。そこで、県内の簡単な山歩きであきらめることにした。まして痛めた左足首がいまだに完治していないこともあるから諦めもつくというものだ。 最近、旅人さんとハイトスさんが相次いで登っている、稲含山周辺の山に登ってみることにする。 4月29日(祝) 大山祇神社のある場所は甘楽郡秋畑地区、藤岡市名無村からの道が合流して神流町への道へとつながっている。秋畑地区からの道は昨年(2019年)の台風19号による土砂崩れで全面通行止めだ。どうせ通行止めとなっているからと、そちらの道に駐車することにした。ここから尾根沿いに登ればいいわけだ。この付近、標高800m程度、やっと芽吹きが始まった程度で、ヤマザクラが咲きだし、春が始まりだしている。ルートはかすかに踏み跡程度のものは確認できるが、ケモノが歩いた跡のような感じだ。この取りつき部分からの尾根は段がついており、人工的なものであるような気がする。斜面を登り上げると尾根の南側はヒノキの植林地となり北側は雑木林だ。テレビのアンテナがある場所を過ぎて、さらに入馬山のピークに登り上げると、またもやテレビアンテナが設置されている。古くなり使えなくなったものはゴミとして残置されている。山頂は広く展望はないが三角点は北側の一角で枯れ枝に埋もれていた。 入馬山からも明瞭な尾根をたどって進むことになる。この付近は林業がまだまだ盛んだったころの名残だろうか、廃林道を2本ほど通過してひたすら斜面を登り上げる。展望はほとんど無いがそれでも赤久縄山のピークはよく目立つ。あれほど立派ならば一等三角点が設置されているのも納得がいくというものだ。久しぶりの山歩きと、痛めた左足首の痛みに耐えながら少しずつ急斜面を登る。
登り上げたところはヒノキの植林地で、当然のことながら展望はない。四等三角点のあるこのピークは源五郎山という素晴らしい名前がついている。個人名をつけるからには源五郎さんは著名人だったに違いない。 源五郎山から派生する尾根は3方向に分かれている。ここで尾根を間違えると、とんでもないことになる。慎重に進んだつもりだが、違う方向に進んだようですぐに引き返して事なきを得た。
一旦鞍部に降りてから登り返す。この登りはかなりの急斜面で痛めている左足首のアキレス腱がこれでもかというほどに伸びきって症状をさらに悪化させている。この急斜面は上部に進むにしたがって崖のようになってきた。灌木に掴まり、その灌木も枯れ木が多くなり しまいには根っこを掴んで身体を支えなくてはならなくなった。こんなところで滑落したら、それこそ新聞ネタでさらされた挙句、袋叩きになるだろう。それに付近はクマが棲息しているらしく頭上にクマ棚があるのが気にかかる。 やっとのことで急斜面を登りきったところが1204mの無名峰だ。やはり展望は悪いが、ピークとしては立派なものだ。このピークを過ぎて鞍部に到達しわずかに登ると巨大な送電鉄塔にたどり着く。よくもまあこんな場所に建てたものだと感心してしまう。何しろ狭い尾根を崩して整地しへばりつくように設置してあるのだ。これだけの資材と人員をここまで運ぶことは大変なことだと思う。ここからの道はリボンが多数つけられて、道もはっきりとしている。その道をたどった1280mのピークは今回のルートの中で唯一の展望に優れた場所だった。露岩の上に立つと稲含山の山頂付近には雪を纏った浅間山が印象的だ。このピークを降りると送電巡視路118号への標柱があり、道はその方向に続いている。どうやら一時的に道がよくなったのは送電線巡視路だったらしい。尾根はこの道を進まずに上部に向かっている 上部に近づくと露岩が目立つようになる。そして到着した山頂は岩に囲まれた場所で、すかいさんが取り付けた大猿山の標識があった。久しぶりに見る標識に懐かしさを感じる。地形図上はこの下に池があるようだが、そこには水らしきものは見当たらなかった。 大猿山から先は少し迷ったが、なんとか斜面を下って事なきを得た。小さなこぶをいくつか過ぎたのだが、子猿山のピークは見過ごしたような気がする。 この先の道は笹原となっており気持ちの良い登りとなった、やがて索道のワイヤーが見えると四等三角点のある羽毛山だ。ここは稲含山からの道と合流するポイントでもある。それだけに稲含山が間近に見えているが、灌木で周囲の展望はない。 羽毛山からはなだらかな道をたどり、緩やか斜面を登り最後に岩場を登り上げると物見山の広い山頂にたどり着く。ここからは原三角点のある白髪岩のピークが大きい。すかいさんの山頂標識がなければ、取り立てて記すべきものがないピークだ。静かな山頂で物音ひとつしない、風の音さえもなくなっており、心臓の鼓動が聞こえてくるようだ。白髪岩はすでに登っているので今回はこの物見山までとした。
下山時の気がかりは林道に下降するための下降点だ。旅人さんは1240m峰の西側から下降している。ハイトスさんは119号鉄塔から巡視路を沢沿いに下降している。往路で見た限りでは鉄塔からの巡視路はなかった。ともかく現地に行かなければわからない。 119号鉄塔に到着しルートを探すがそれらしき踏み跡は見つからない。諦めかけていた時に、ピンクテープが目に入った。そのあたりを起点にしてみると、ほかにも二つほどあるのが確認できた。これですこしは気持ちが楽になった。このピンクテープを頼りに進んでみることにした。ところがピンクテープはすぐになくなり、踏み跡も怪しくなってきた。ここまでくれば仕方ない。沢沿いに下るのは気持ちよくないが、下方に見えているのはヒノキの植林地なので作業道がきっとあるはずだ。沢の左岸に渡り、どんどん下降していく。ただし、沢からあまり離れないようなルートを選択した。傾斜が緩やかになると植林地の中に道型が現れ、それをたどると林道に到着することができた。この林道でゆっくりと昼食を摂ることにした。 荒れた林道をゆっくりと辿って大山祇神社の駐車地点まで戻った。 06:00大山祇神社-(.30)--06:30入馬山-(.50)--07:20源五郎山07:40-(.39)--08:191240m峰--(.13)--08:32送電119号鉄塔--(.26)--08:58大猿山09:09--(.13)--09:22小猿山--(.26)--09:48羽毛山--(.21)--10:09物見山10:24--(.12)--10:36羽毛山--(.19)--10:55小猿山--(.12)--11:07大猿山--(.11)--11:38送電119号鉄塔--(.20)--11:58林道12:31--(.23)--12:54会場橋--(.18)--13:12大山祇神社 群馬山岳移動通信/2020 |
この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。 (承認番号 平16総使、第652号) |