晩秋の日に「五郎山」を登る  登山日2013年11月9日




五郎山からのパノラマ 中央の小川山の左が白根三山、右が八ヶ岳



五郎山(ごろうやま)標高2132m長野県南佐久郡


五郎山は2011年2月19日に登ったが、積雪に阻まれて敗退している。宿題となった山をいつまでも抱えているわけにはいかないので、雪が降る前に登っておくことにした。

 11月9日(土) 

町田市自然休養村を過ぎて、未舗装の林道に入る。この前は積雪と凍結でアイゼンを装着して歩いたことが記憶に甦る。林道は荒廃が進み中央部がえぐり取られて、乗用車ではあまり進むことが出来なかった。それでも以前に比べれば林道のかなり奥まで入り込んだことになる。

周囲の広葉樹の葉は落ちてしまっているが、寒さはそれほどでもなく手袋なしでも過ごすことが出来た。カップラーメンを作りながら、支度を整えるがこの時期は飲料水をそれほど持たなくても良いのが助かる。その分、防寒具が必要になるが、午前中に片付けるつもりなので、それほど必要ではないだろう。

獣の気配は感じられないが、遭遇はしたくないので鈴をザックにくくりつけて歩くことにした。林道は荒れるに任せるといった感じで、ジムニーでも難しいと思われる。それでも幻の滝入り口の標識付近になると、道の荒れはなくなり、乗用車でも走行できそうな感じになった。あの間だけ林道を整備すれば問題ないのだが、この自然を守る為ならば整備しない方が良いのだろう。


大岩付近は霜で真っ白

林道は荒れ放題

幻の滝への道を分ける

五郎山登山口

林道を登っていくと、やがてカラマツの植林地に囲まれた五郎山登山口に到着する。ここでお湯を飲んで一息入れようとしたが、出発の時に沸かしたお湯は、まだ熱くて飲むことが出来なかった。ここからはまさに急登の登りが続くことになる。ルートを決めるときに、もう少し考えても良いのにと思うようなルートで、わざわざ岩場を通過したりしている。前回の積雪の時はここでスリップしてストックを折ってしまった。そんな恨みもあってこのルートは好きなれないのだ。

その斜面も終わりに近づいて、針葉樹の林に入ると、周囲は一変する。足元は苔むした岩が目立ち、光は針葉樹に遮られて暗く感じる。ここは雪が深くて難儀したところだ。今日は、上部に続く踏み跡もしっかりとしていて迷うことはない。木の根に掴まり、喘ぎながら登ると、一気に周囲が開け展望が広がる。なんと素晴らしい展望なのだろうか。金峰山と小川山は間近に見え、八ヶ岳の稜線は冠雪で青空に白い線を描いている。その八ヶ岳の山腹は雲が取り巻いて浮かんでいるように見える。

ここからしばらくは展望を楽しみながら岩稜を進む。やがて、道は北斜面に移り、ふたたび針葉樹の林の中を進む。そして、敗退した場所にたどり着いた。あのときは積雪と凍結でとても進む事は出来なかった。それだけにここからのルートは楽しみでもある。

一気に鞍部まで下り、ふたたび小ピークを越えて最後の斜面に取り付く。遠くからはどうやって登るのか考えていたが、南側を回り込んでいけばなんと言うこともなく、進むことが出来る。しかし、積雪のあるときは、かなりの緊張感を味わうことだろう。やはりあのときは引き返して正解だったと感じる。

鞍部からは岩場を登ることもあり、ストックをザックにしまい込み、両手を使えるようにしておいた。ここからの登りはこの山の醍醐味で、振り返ったときの山々の展望がなんとも素晴らしい。眼下のカラマツは紅葉の盛りを過ぎているものの、黄金色の斜面は麓に行くに従って濃くなっている。青空の下の山々はさらに青く連なっているからだ。


傾斜が強い道が続く

マキヨセの頭からの展望

こんな道もある

八ヶ岳の冠雪が美しい

小川山の左に白根三山

五郎山へ最後の壁

南アルプス白根三山

八ヶ岳

五郎山の山頂へは登り上げたところを左に向かう。しかし、右の露岩も展望が良さそうなので、ちょっとだけ寄り道をしてから、山頂に向かった。山頂は意外にも樹林に阻まれて展望が優れない。三角点にタッチしてからさらに奥に進んでみる。するとそこは、大展望が待ち構えていた。歩いてきたばかりのマキヨセの頭の向こうに八ヶ岳が、小川山の横には南アルプスの盟主北岳が白く輝いている。目を右に転じれば北アルプスの常念岳が霞んでいるものの見えている。いつまでも眺めていたい景色だ。このままゆっくりしたいが、近くにある金峰山は、雲がまとわりつきはじめている。

次の山を目指すために、早々に下山することにした。

駐車地点07:10--(.13)--07:23幻の滝入り口--(.16)--07:39登山口--(.59)--08:38マキヨセの頭--(.37)--9:15五郎山09:35--(.55)--10:30林道--(.15)--10:45駐車地点

群馬山岳移動通信/2013


この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)