雁ヶ腹摺山は何度か計画したが、仕事の関係で休日しか行けないのと、混雑が嫌いなので、なかなか機会がなかった。しかし、仕事も区切りがついてきたので、やっと平日に出かけることができた。しかし、運悪く計画日の前々日に庭木の剪定中に転倒して痛めている左足首を更に捻ってしまった。その日はアイシングと痛み止めの服用でしのいだ。しかし、不思議なもので登山靴を履いて足首を締め付けるとなんとかなるものである。しかしながら、もう一つ計画していた「笹子雁ヶ腹摺山」は今回は諦めることにした。 11月27日(月) 自宅を4時20分に出発して関越道→圏央道→中央道を乗り継いで大月ICで降りて大峠に向かう。道は生活道路の中をしばらく進み、その後は林道走行となる。道は舗装が剥がれて凹状の穴が開いているところがあり、注意しながら進んでいく。大峠の駐車場には簡易トイレがあり一応は使える状態になっていた。また立ち入ることはできないがプレハブの作業小屋があり駐車余地は少なくなっている。大峠直下には新しい道が建設中であり、この工事のための小屋と思われる。先行者は一台の車のみで、静かな山行が期待できそうだ。この大峠からは富士山の勇姿が素晴らしくここに来るだけでも価値がありそうだ。 準備をして歩き始めると登山者カウンターが有り押すと9995の数字となった。思わずもう少し押して9999にしてやろうかといたずら心が芽生えるのを抑えた。登山口にはクマ注意の看板があるが、このあたりはクマ棚もなくそれほど問題はなさそうなので用意した熊鈴はザックにしまい込んだ。歩きはじめて5分程で水場に到着するが、給水の必要もなくそのまま通過した。登山道はよく歩かれているようで、整備もなされていた。 道には時折ムシカリの実なのだろうか?赤い種が落ちている。この時期は鳥が栄養を蓄える大切な時期なのだろう。周囲の木々は落葉が進み、頭上の開放感は夏では味わうことのできないものだ。時折、自衛隊北富士演習場の砲音が聞こえてくるが、それも遠くで聞こえるので苦にはならない。むしろ自分の呼吸音のほうがうるさいくらいだ。 道はトラバース気味の道から尾根道の変わると、傾斜が強くなり場所によっては鎖が設置されている。普段は使うことはないだろうが、凍結している場合などは有効だろう。山頂に近づくとなにやら女性の声が聞こえてくる。誰かと話しているような感じだ。近づいて姿を確認すると、女性は一人でありどうやら登ってくる私に声をかけてくれているようだ。しかし、息も絶え絶えで登っている身では返事ができない。女性の傍までたどり着いて振り返るとそこは大展望が広がっている岩場だった。女性は向こうに見える南アルプスに感動して、私に教えてくれていたのだ。しばし、この女性と山談義に花を咲かせ、楽しい時間を過ごすことができた。
展望地をすぎると、人が石を積み上げたような石があり、石垣と呼んでも違和感がないものだった。道はカヤトの原に出てから、こんもりとした針葉樹の森に向かっていく。雁ヶ腹摺山山頂は標識が何本も設置されていた。そして500円札の拡大コピーがラミネート加工されて置いてあり、撮影者と撮影日時が記されたものが置いてあった。肝心の富士山を見ると、たしかに500円札の富士山そのものだった。まして山頂部分が雪に覆われているからなおさらだ。撮影当時と違って木々の成長が進んでいるためか、正確には違っているかもしれない。結局山頂には30分ほど滞在したが、他には誰もおらず山頂を独占して過ごすことができた。
心配した足首の痛みはそれほど悪化しそうもないので、次は姥子山に向かうことにする。道は尾根上をひたすら下降するのみだが、1651mの標高点付近は尾根が分岐しておりルートをミスしてしまった。数m進んだだけで気がついて戻ったので事なきを得た。漫然として歩いているとこんなことになるから注意しなくてはいけない。道は展望がなく単調になるから仕方ないのかもいしれない。雁ヶ腹摺山から約30分程下ると舗装された林道に飛び出した。かなり立派な林道なので車両が入ることができれば姥子山は簡単に登れるのだ。しかし、事前に見た入り口はゲートが有りしっかりと施錠されてあったから当面は無理なのだろう。 林道を横切りわずかに4分登ると姥子山西峰に到着する。ここは展望がなく全く面白くないので、次に東峰に向かうことにする。すると、わずか8分で東峰山頂だ。西峰よりもわずかに低いのだが、展望は抜群で30分以上滞在することになってしまった。ともかく大展望は飽きることがなく、風が無いことも心地よくこの山頂を去り難い思いが強かった。 それでも立ち上がり再び雁ヶ腹摺山に登り返す事となった。 雁ヶ腹摺山山頂近くになったときに上部から私と同年代の女性と10歳くらいの男の子が下ってきた。 「登ってくる途中で女性に会いませんでしたか?」 「いいえ、会いませんでしたよ」 「山頂で20分間待ったのですが、落ち合うことができずこちらに探しに着たんですけど」 つまり、一緒に登っていた人と逸れてしまったということなのだ。こうなるとこちらも落ち着かなくなってくる。会わなかったから、とりあえず山頂に戻りましょうということで雁ヶ腹摺山の山頂に再び立つことになった。山頂には10人ほどの登山者が休んでおり、その人達の話では、探している女性はつい先程山頂についてからすぐに下っていったということだ。それを聞いて私と同年代の女性と男の子はそれを追いかけるようにして下山していった。 こちらは山頂をひとまわりしてからゆっくりと大峠にむかって下山することにした。
大峠についたが、このまま帰るのはもったいないので、大峠を挟んだ「赤岩ノ丸」に登っておくことにする。とりあえずカップラーメンで昼食とすることにしてお湯を沸かしていると、雁ヶ腹摺山を登っているときに出会った女性が黒岳からちょうど大峠に到着した。情報として「赤岩ノ丸」を聞いてみたが、展望はなく面白くないとのことだった。そうは言われてもとりあえずは登っておけば、再びここに来る必要はなくなる。 そんなことで大峠を挟んだ反対側に向かって歩き出す。ここにも登山者カウンターがあったが、目指す赤岩ノ丸は無かったので押すのをやめた。道は急傾斜でおまけに落ち葉が積もって歩きにくい。しかたなく落ち葉のない場所を選んで登ることにする。展望は本当に無いのだが、一箇所だけ展望を得られる場所があったが富士山は逆光で霞んで見えていた。赤岩ノ丸山頂は展望はなく、尾根の分岐点となっている場所だった。ここから黒岳まで続いている道が延びていたが、とてもそれを辿る気力はなく本日はここまでで帰路につくことにした。
07:33大峠--(.51)--08:24展望地08:34--(.03)--08:37雁ヶ腹摺山08:57--(.39)--09:36林道13:39--(.04)--09:43姥子山(西峰)--(.08)--09:51東峰10:23--(.13)--10:36林道--(1.04)--11:40雁ヶ腹摺山11:46--(.38)--12:24大峠12:56--(.38)--13:34赤岩ノ丸13:48--(18)--14:06大峠 群馬山岳移動通信/2023 |
この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号) |