芦鞍山の名前を知ったのは、後藤信雄さんの「吾妻の里山」だった。ネットで検索すると数件の記録が見当たる。しかし、この付近は八ッ場ダム工事のために、様相が一変してしまった。現在でも上信自動車道の工事が続いており、さらに風景は変わっていくだろう。 2月5日(日) 群馬県道375号を東進して「道の駅あがつま峡」の道を左に分け、さらに進むと芦鞍山登山口の標識が見える。標識に従って進むと諏訪神社があり、その横に大きな広場が現れる。車はここに置くことにする。 気温は5℃ほどで無風なので、この時期としてはさほど寒くない。支度をしてから神社にお参りしてから標識に沿って歩き出すと、すぐに立派な?電気柵が行く手を阻む。電気が通じているのかは不明だが、慎重に外してから中に入る。道は軽トラックが楽々走行できる幅だ。しかし、倒木が数本倒れているので、実際には歩くしか方法は無い。落ち葉が深く積もった道をひとしきり歩くと「西鳥屋」と言う場所に着く。ここは広場状になっており、何かの建物があったのではないかと推測できる。また「桜広場」の名前もあることから、季節には花の名所となるのだろう。
道は相変わらず明瞭で高度を上げていく。すると「←コウモリ穴」の標識がある地点に到着。興味があるが、まずは山頂を目指し、帰りに時間があれば立ち寄ってみることにして、そのまま先に進んだ。植林地の中に入ると周囲は暗くなり、不安感が増してくる。なにしろこの道が山頂に続いているのかも不明だからだ。朽ち果てそうな社を通過し進んで行くと、ニホンシカ2頭が斜面を駆け上がっていくのが見えた。さらにその先を見ると、単管パイプで作られた橋が見えた。この橋は錆が進んでおり、手摺の部分が一部破損されているものだから、命を預けるのにちょっと不安があるものだ。慎重に橋を渡り先に進んで行く。 道はほとんど水平に山腹を回り込んで進んで行く。ピンクテープがあるものだから、どこかには通じているだろうと、楽観視しながら進んだ。やがて林道が途切れて「ここで一休み」の標識が斜面を指していた。確かにここで休んでおいたほうが良さそうなので、白湯を飲んで休憩した。落ち葉の斜面を登ると、道は右に折れて進んで行く。ここにはKAJITAの軽アイゼンが片方だけ標識にぶら下がっていた。そういえば雨飾山に登った時に私が紛失したものと同じだと思った。道はあらに左に折れて尾根に向かって進んで行く。この尾根道は急傾斜で気を抜くと滑落しそうな斜面だった。ピンクテープを頼りに上部に向かっていく。 やがて顕著な三角形のコブが二つ見えてきた。手前のコブを越えて次のコブに登り上げるとそこが芦鞍山の山頂だった。山頂は狭く、この場所にふさわしくないほどの大きさの社が大部分を占領していた。三等三角点が置かれていたが、展望はそれほどでもなかった。眼下にJR吾妻線の鉄橋が見られ、その先には吾嬬山、さらにその奥には白砂山をはじめとする白い峰々が連なって見えていた。
さて下山は往路をそのまま戻ることにした。もう考えることもなくルートは解っているのだから気楽だ。「←コウモリ穴」の場所に到着した。時間が早いので立ち寄ってみることにした。標識に従って尾根上の場所を登っていく。正面の壁に突き当たる前に左にルートを取り、顕著な痩尾根を登っていく。急傾斜で木の根、木の幹に掴まって登るが、いつになってもコウモリ穴らしきものは見当たらない。GPSを見ると、このまま進めば芦鞍山に登り上げることは明らかだ。しかし、コウモリ穴がそのうち出てくるのだと思って我慢して登っていく。あまりの急斜面なので再びここを戻る気にはならない。もう上部に行くしかないところまで追い詰められた。
やがて見覚えのある風景が目に入ってきた。そう、芦鞍山山頂だ!!なんと再び山頂についてしまったのだ。到着したところは山頂の手前のコブのところで、標識らしきものは見当たらなかった。ヘナヘナと座り込んで休憩することにした。いままでの50年の山歩きで、こんなことは初めての経験だった。 再び山頂から戻る途中に二組の登山者とすれ違った。情報としてコウモリ穴を目指したら山頂についてしまったことを伝えた。 もう一山と思っていたが、気力がなくなり今日の山行はこれにて終了となった 諏訪神社07:48--(.32)--08:20西鳥屋08:23--(.07)--08:30コウモリ穴標識--(.09)--08:39仮設橋--(.19)--08:58林道から斜面に09:08--(.26)--09:34芦鞍山09:56--(.33)--【10:29コウモリ穴標識--(.45)--11:14芦鞍山11:24--(.29)--11:47コウモリ穴標識】--(.19)--12:06諏訪神社 群馬山岳移動通信/2023 |
この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号) |