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日本には太郎山というのがかなりあるように思う。イメージとすると若々しい男の子のイメージがある。若穂太郎山は長野市の山で、その名前の清々しさに惹かれていた。 11月11日(火) 上信越道の須坂長野東ICで降りて登山口に向かう。通勤通学時間帯となったこともあり、学童の列に阻まれて運転は慎重にならざるを得ない。まして道を間違ったものだからウロウロと無駄な時間を使うことにもなった。登山口には登山者用の駐車場があり10台程度は駐車できそうだ。ただし、トイレの設備はなかった。近くには若穂小学校があり、校内放送がよく聞こえ、ラジオ体操の音楽が聞こえていた。 登山口は天王山登山口の表示があり、獣除けのゲートが設置されている。その中には熊に注意の看板もあった。登山道は広く快適で、紅葉が始まったばかりだ。ほどなく鳥居が現れて社殿らしきものも見えてきた。ここは「功霊殿」という社殿で日露戦争の英霊を祭るものらしい。今日までこの英霊の魂の場所を守るというのは大変なことだと思う。社殿の裏に回るとここからは登山道らしくなり、傾斜も急になってきた。苔むした岩が多くあらわれるようになり、時折振り返ると上信越自動車道が眼下に見えるようになってくる。柏岩と呼ばれる岩はその名の通りカシワの木が岩の上に根付いていた。この付近はカシワが多いらしく特徴ある葉が落葉して登山道に広がっていた。 登山口には上級者向けと書いてあったが、その理由がわかることとなった。それは岩場の連続でロープが設置されていたからだ。年を取ったせいかこのロープに頼らないと登れなくなってしまった自分が情けない。しかしこのロープは劣化が進み苔が生えているようなところもあった。帰路はこのコースは辿りたくないと思った。岩場を越えると道は少しはまともになり、歩きやすくなった。 小さなコルを越えて登るとそこが城ケ峰と呼ばれる場所だった。ここは人工的に作られた平地となっており、かつては春日城という山城があったらしい。小さなコルは城の周りに作られた空堀だったと思われる。ここまでくると爆音機の音がひっきりなしに聞こえてくる、リンゴを鳥害から防ぐためのものなのかもしれないが、1分回に1回以上音が聞こえてくるのだ。銃砲の音にも似るからクマよけにもなっているのだと思う。しかし、これだけの頻度で音が出れば熊は慣れてしまうのではないかと思う。そんな意味で今回は爆竹を用意してきたので、ここで点火してクマ除けを行った。
この登山道は里山ということもあり、下界の騒音がひっきりなしに聞こえてくる。爆音機の音に加えて上信越道の走行音が特に聞こえる。PCのサイレンもそれなりに聞こえることからこの付近は監視区域なのかもしれない。そんな登山道を歩いていくと特徴的な岩が現れる。標識にはダルマ岩とあり、確かにダルマの格好をしているからよきネーミングだ。このダルマ岩は登ることはできそうにない。さらに道を辿るとダルマ岩の上部にでる。ここで白湯を飲んで休憩することにする。みればここからダルマ岩の上の展望地に出ることができる。そこで慎重にその展望地に立つと上信越道の須坂長野東ICがよく見える。行き交う車は急いでいる蟻の行列のようだ。 この付近は落葉が進みちょっと寂しい風景となっている。ちょっとした岩場があり、ここを乗り越えると大きな岩が目の前に現れる。ここには「こしき岩」の標識がある。群馬にも「コシキの頭」あり、焼き物に適した粘土が産出される土地に多く見られる「甑(こしき)」という地名が由来とのこと。この地区にある目立つ岩とのことなので、こう呼ばれているらしいと長野市のパンフレットには書かれてある。この岩の後ろに回ってみるとロープが設置されている。これは登ってくださいというようなものだ。ちょっと頼りないロープだが、これを頼りに岩の上に立ってみた。かなりの高度感があり、高齢者は立っているのがかなり厳しい。昔ならこの程度ならば全く問題なかったのだが、情けないことになってしまったものだ。この岩の上からは大展望が広がっていた。あいにくと今日は雲が多く、上信国境の山々が見えないのが残念だ。それでもスパッと開けた岩峰上でのパノラマは実に気持ちの良いものだ。 こしき岩からわずかに歩くと送電鉄塔に出る。あまり大きなものではなく小さめの鉄塔だった。この先は危険なところも少なく漫然と歩いて行ける。ここで地名の若穂についての説明板があった。「綿内村・川田村・保科村の三村が合併しそれぞれの頭文字をとって若穂(わかほ)村となった由」が書いてある。なんとなく惹かれる名前だったが、うまくつなぎ合わせたものだと思う。 この先は素晴らしい紅葉の林となった。周囲が暖色で染まるようだった。しばらくはこの光景に見とれてしまった。やはり秋の山歩きはこうでなくっちゃいけない。紅葉のトンネルをくぐって先に進む。熊笹の中の道を辿るとほどなく若穂太郎山の山頂に到着した。 山頂は木々が伐採されていて広々としている。山頂からの山岳展望図もあったが遠方は雲がかかっていて見ることはできなかった。山頂にはブルーシートで囲われたトイレがあったが緊急用と考えたほうがいいかもしれない。さて、山頂でゆっくりしようとザックを開けて白湯を飲もうとしたが、ポットの蓋がない。記憶をたどるとダルマ石のところで白湯を飲んでそのまま置き忘れてしまったらしいと気づいた。まさかポットに口をつけて熱湯を飲むわけにもいかず、菓子パンと持参した麦茶で我慢した。
さてポットの蓋が気になるので、山頂から急ぎ下山することにした。 途中で、トレランの二人に会ったのでポットの蓋がなかったか尋ねたが記憶がないらしい。その後も不安を感じながら下山する。なにしろ蓋がないばっかりに買い替えるのも癪だから。ダルマ石の場所につくと標識の上にポットの蓋がしっかりと置いてあった。入れていたお湯は当然冷めてしまっているが一安心だ。ここでやっと白湯を飲むことができた。 城ノ峰からは蓮台寺へ下ることにする。簡単と思っていた道だがなかなかの急傾斜で気が許せない。やっと林道に到着したときは安心してしまった。ここからは林道を辿って下るだけだ。途中に気になる足跡があったが熊ではないと言い聞かして歩いた。蓮台寺は歴史を感じる古いお寺だった。人影もなくひっそりとしていたが爆音機の音は容赦なく響いていた。 車道を辿り地形図にある枕状溶岩を楽しみに立ち寄ってみたが、あまり感動はなかった。収穫期を迎えて真っ赤に実ったリンゴの樹の道を辿って登山口に戻った。
登山口08:02--(1.07)--09:09城ノ峰--(.14)--09:23ダルマ岩09:38-(.21)--09:59こしき岩10:04-(.48)--10:52若穂太郎山11:18-(.38)--11:56ダルマ岩12:17-(.10)--12:27城ノ峰-(.24)--12:51蓮台寺12:55--(.08)--13:03車道--(.09)--13:12枕状溶岩--(.16)--13:28登山口 群馬山岳移動通信/2025 |
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この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号) |
