林道をスノートレッキング「水行寺山」  登山日2004年1月31日


水行寺山(すいぎょうじやま)標高1327m 群馬県利根郡

平川地区から見る水行寺山


1月31日(土)

 利根村の吹割の滝から国道を右に折れる。ここは皇海山に通じる栗原川林道の起点ともなっている。平川地区まで来ると雪が深くなってきた。慎重に登山口を探しながら車を運転する。すると林道の入り口が見つかり、それは林道鬼岩線起点と書いてあった。地形図の表記とはちょっと違うが、まあ間違いないだろう。この林道は除雪もしていないので車で行くことは不可能だ。それでもスノーモービルの轍があるところを見ると、この時期でも人が入り込んでいることは間違いなさそうだ。

 林道を50mほど進んだところで鉄格子のような塀が現れたが扉は開け放たれていた。説明板には有害鳥獣の侵入を防ぐものだと書いてあったが、開けっ放しとなっていてはその効果もないだろう。おそらくリンゴの果樹園があったから、これを守るためのものなのだろう。雪の林道は、時折足が踏み込むほどの積雪となっていたので、スノーシューを履くことにした。こうなれば快適なスノートレッキングの世界だ。

しばらく歩くと、今度はゲートが設置されている旨の標識が現れた。さらに歩くと確かに一般的な林道ゲートがあったが、それはやはり開けっ放しになっていた。こうなるとこの林道は何の規制もなく、人間はもちろん獣までが通り放題ということになる。そう考えていると目の前を2頭のカモシカが横切った。カモシカは相変わらす立ち止まって、こちらをジッと見ている。カモシカは近眼だからそんな行動をすると聞いたことがあるが、果たしてそれが本当だとは疑わしい。

林道はなだらかに登っていく。今日はあいにくと小雪混じりの寒い日となっている。時折吹き付ける雪まじりの突風は、向かってくるのを見ただけで思わず身震いをしてしまう。当然であるが、この林道は水行寺山に向かって延びてはいるが、植林のために作られているために、どうも高度を稼ぐには効率が悪い。それは植林地をくまなく縫うように取り付けられているためだ。
水行寺山山頂
やがて林道が山頂に向かって分岐する場所に到着した。GPSで確認すると標高1200m付近で山頂まであとわずかだ。迷わずにその林道の枝道に入った。その林道はカラマツの中の道で、雪が深くスノーシューを履いていても膝のあたりまで潜った。そしてカラマツの林を抜けると伐採地となった。さらに積雪が深くなり、雪も風に乗って激しく吹き付けるようになった。頭に被った毛糸の帽子は雪で真っ白になっていた。深雪の中をもがきながら登っていく姿は、我ながら滑稽でさえある。そのうえ伐採地はトゲのあるバラ科の植物が密生しておりどうも歩きにくい。

再びカラマツの林にはいると、風も和らぎ積雪も少なくなり、歩きやすくなった。そうなるとピッチも上がりすぐに山頂に着いてしまった。水行寺山の山頂は展望が無くカラマツの林となっていた。Gさんの山頂標識が一つだけ打ち付けられていた。三角点は当然ながら雪に埋もれて確認することは出来なかった。それにしても寒い山頂で、足踏みをしながらパンをひとつ囓るのがやっとだった。

 さて下山にとりかかるが、登ってきた道を帰るのも癪なので、山頂から北斜面を直接降りることにした。灌木の密生した深雪の斜面を、雪まみれになって転がるように下降した。そして林道を目前に愕然とした。それは林道の擁壁に雪が付いて急斜面となっているのだ。どこか降りるところがないか、右往左往したがそれらしき場所は見つからない。ふとピッケルをザックに付けてあることを思い出した。ザックを下ろしピッケルを探すが無い!!山頂ではあったことを確認しているのだが。おそらく先ほどの斜面で灌木に引っかけて紛失したのだろう。探しに戻る気力もなく、呆然としてしまった。

 仕方ない一気に飛び降りてしまえ、装備を下に投げ降ろして身軽になった。意を決して雪の深そうな所に飛び込んだ。思い切り雪の中にめり込んで、何とか無事に降りることが出来た。こんな日はついていない、おとなしく帰ろう。トボトボとまだ自分の足跡が残る林道を登山口まで辿った。



 林道入り口09:15--(.59)--10:14林道分岐--(.38)--10:52水行寺山山頂11:11--(.26)--11:37林道--(.17)--11:54休憩12:23--(.17)--12:40林道入り口



群馬山岳移動通信/2004/