静かすぎる山頂「千駄木山(碓氷郡)」
登山日1995年5月6日


千駄木山(せんだぎやま)標高997m 群馬県碓氷郡・群馬県甘楽郡
山頂から高岩を望む
 5月6日(土)

 連休も後半になって天気が良くなった。今日は午前中だけ暇が出来たので、近くの山を物色する。南軽井沢の地形図を広げると、妙義荒船林道のそばに「千駄木山」があった。位置的には裏妙義の谷急山のつながりにあり、これなら半日で登って帰れそうだ。それにこの前、「大山」付近に見つけて置いたタラの芽が、気になっている事もある。さっそくミニバイクで移動だ。

 上信越道の碓氷軽井沢ICを通過して、和美峠に向かう途中で左折して下仁田方面に向かう。車道を下りしばらく行くと、左に妙義荒船林道の入り口がある。ここから道はダートで、所々に水溜まりがあり避けながら走る。乗用車でも十分に通行可能であり、南方面は展望が開けていて山岳林道として気持ちの良い道だ。ダートをしばらく走ると今度は立派なアスファルト舗装の道になりこれは快適な移動となった。スピード超過に注意しながら慎重に走行する。再び道はダートになり、やがて「千駄木山」と思われるピークが見えてきた。やはり天気が良いと山を見つけるのは楽だ、まわりを見れば目標物がいっぱいあるからだ。

 「千駄木山」の北西の尾根が林道に交わっているところがあり、ここは道が広くなっていて、車も数台は駐車出来そうな場所があった。実際に焼け焦げた車が一台放置されていた。また看板もいくつかあり、「’85国際森林年」「山火事注意 群馬県森林公社」と書いてある。ミニバイクの距離計を見ると、ダートの道に入ってから5.3キロの地点だった。

 まわりを見たが、踏み跡らしきものは皆無で、もちろん地図上にも道の記載はない。ともかく目の前の尾根を登る事にする。地図上では標高差120メートルを登るだけだが、かなり等高線の間隔が狭いので、それだけ急傾斜の斜面が予想される。

 そのとおり、いきなり急傾斜で、おまけに薮なのでかなりきつい。少し登っただけで、ふくらはぎが痛くなり、ときどき斜面に背を向けてふくらはぎの筋肉(ゼイ肉ではない)を休まなくてはならなかった。今は新緑で、ある程度見通しが良いが、緑が濃くなったら最悪でジャングルのようになってしまうに違いない。やがてシラカバが数本出てくると、傾斜が緩くなり歩き易くなった。南側はヒノキの植林がなされていて、鬱蒼としてちょっと不気味だ。

 そして、明るい山頂に到着した。三等三角点の石柱を確認してから、まわりを見ると、お馴染みG氏のブリキ板の山頂標識が東の木の幹に打ち付けてあった。標高は997.3メートル、けっして高いとは言えないが展望は悪くない。北には特徴のある高岩がそびえていて、その下には上信越道がありかなりの車が走っていた。それにひきかえここは対象的だ。林道では誰にも会わなかったし、もちろんこの山でも誰にも会わない。とにかく静かすぎるので何となく落ちつかない。どこかに登山道が来ているかと思って探したが、東方面に明瞭な道があり、それらしかったが確認は出来なかった。

 430MhzでCQを出すと、かなり応答率は良い。HIGとつながり、とりあえずQSLは確保出来た。その後混信もひどくなりQRTとなった。この山頂が静かすぎるので怖くなり、QSOを続ける気力がなくなった。怖がり屋の私でもこんな経験は初めてだった。

 帰りは往路を忠実に辿って帰った。

 タラの芽は時間がなかった事もあったが、それでもコンビニで貰った袋に半分くらい収穫できた。



「記録」

林道09:45--(.14)--09:59千駄木山山頂10:46--(.08)--10:54林道


                    群馬山岳移動通信 /1995/