スノーハイク榛名「鐘撞山」「音羽山」
登山日1998年2月11日

鐘撞山(かねつきやま)標高839m 群馬県群馬郡/音羽山(おとわやま)標高1045m 群馬県群馬郡



音羽山山頂
 今年(1998年)の初山行は、なかなか実行に至らず、ついに一ヶ月が過ぎてしまった。1月は記録的な大雪に見舞われたこともあり、道路の積雪を考えると、なんとなく億劫になったこともある。

 2月11日(祝)
 榛名山系は実に山の数が多く、とても一気には登り切れない。それだけにこの近くに住むものにとって、長く楽しめる山域でもある。車で箕郷町のあたりまでくると、何となく自宅よりも雪が少ないと感じた。おそらくこの付近は、南向きの丘陵地となっているだけに暖かいのだと思った。それでも天目山の東を抜けて榛名湖通じる道を走行、高度を上げていくと、積雪が多くなってきて雪山らしくなってきた。

 右の大日陰地区から交わる道を過ぎて、少し先に大きく左に曲がるカーブがある。そこから北に向かって林道が延びている。地形図を見ると、この林道を辿っていけば目指す「鐘撞山」と「音羽山」に行けそうだ。適当なところに車を駐車して、車の中の散在している道具をザックの中に詰め込んだ。一ヶ月以上も山から遠ざかると、この道具探しは意外と時間がかかる。

 林道に足を踏み入れるとかなりの積雪で、くるぶしほどまで埋まる程度だ。しかし、適度な堅さがありそれほど歩きにくい感じはしない。林道の脇は杉の植林の鬱蒼たる木立で埋められている。これが、真っ暗な夜中だったら、とても入り込むことができない世界だ。

 地形図を見ながら、右の斜面にあがるタイミングを探した。しかしなかなかそのタイミングをつかむことができない。10分ほど歩いたところで、左を流れる沢に向かって作業道を分けた。どうやらこの辺が潮時と考えて右の斜面に取り付く。不思議なことに林道を歩いていた時よりも、林の中に入った方が積雪が少なく歩きやすい。こんなことなら、はじめから尾根に取り付けばよかったと後悔した。

 急登の斜面を登ると、暖かい日差しがいっぱいの明瞭な尾根に飛び出した。ここまでくると雪はほとんどなくなり、時折笹藪が進路を塞ぐようになる。明瞭な尾根のはずなのだが、道らしきものが見あたらない。それほどこの山は人が入ることが少ないのかもしれない。

 尾根を辿りひとしきり上ると、斜面が終わり平らな頂上の一角に着いた。ここは積雪が一変して膝あたりまである。これはたまらないのでワカンを装着することにした。これでいくらかは歩きやすくなった。平らな頂上の東端に石祠があり、山頂標識が立木に打ち付けられていた。展望は立木に阻まれてほとんど望めないが、それでも間近に見える天狗山がやけに大きく見えた。山頂で記念撮影、無線運用を簡単に済ませて、さてこれから音羽山を目指すことにする。

 目指す音羽山は目の前に大きくそびえている。地形図と実際の地形を見比べながら慎重にルートを選び、鐘撞山の北斜面を下った。やはり北斜面は積雪が多く、ワカンは手放せない。積雪は鞍部に降りるとさらに深くなり、ウサギの足跡も深く落ち込んでいた。

 鞍部からちょっとした斜面を登り、東にほぼ水平に歩くと下から上ってきた広い作業道を横切ることになった。どうやらこの作業道はここまでで、この先へは延びていない。ここからはなだらかな登りの尾根歩きとなった。振り返ると鐘撞山は小さく目立たないピークとなっていた。尾根の右側は植林地で、幼木の為展望はかなり開けて、陸上自衛隊相馬ヶ原演習場付近が見える。左側は雑木の斜面で、その先は林道が見えている。帰りはあの林道を辿って戻ろうと心に決めた。

 ワカンは快適で、試しに外して歩いてみたがその差はかなりのものだった。特に体重のある私などはその差は歴然だった。少しやせた尾根を歩き、今度は左側が植林地に変わった。ここにきてなぜか積雪はなくなり、土の上を歩く羽目になってしまった。これでは反対にワカンは使いものにならないので、外すことにした。

 植林地を過ぎると、今度はちょっとした露岩がある尾根に取り付いた。ここは雪は全くなく、時折現れる笹藪に悩まされる方がつらいほどだ。この尾根も道らしきものは見あたらず、ケモノ道さえも見あたらないほどだ。傾斜が緩やかになると、鐘撞山と同じように平坦になり、再び膝まで潜る積雪となった。ここを東に行くと三角点を示す、ダンダラ棒が古びた旗を風になびかせていた。

 展望は南に開けており、鐘撞山は眼下に遙か先には御荷鉾山塊がかすんでいた。振り返ると相馬山が大きくそびえており、圧倒される。この音羽山の先には三ツ峰山があるが今日はそこまでたどり着く元気はない。久しぶりの山でお湯を沸かして、ゆっくり展望を楽しみながら暖かいうどんを食べた。

 帰りは植林地を西に下りて林道に出た。林道には「地域活性化対策緊急プロジェクト事業」と大げさな名前の付けられた看板が立っていた。林道はさぞかし歩きやすいだろうと思ったら、とんでもない間違いで、深い雪に阻まれてワカンを装着して、たっぷり汗をかいて車にたどり着いた。




「記録」
 林道入口09:35--(.13)--9:48林道を離れる--(.50)--10:38鐘撞山山頂11:00--(.13)--11:13作業道を横切る--(.60)--12:13音羽山山頂12:57--(.10)--13:07斜面を下る--(.09)--林道13:16--(.45)--14:01林道入口


                群馬山岳移動通信 /1998/