謎につつまれた「押立山(軽井沢)」
登山日1995年3月5日


押立山(おしたてやま)標高1108m 長野県北佐久郡
山頂から見る浅間山


 3月5日(日)

 「日暮山」から見た押立山は、山頂部が人工的な平地になっており、そこまでは立派な自動車道が延びていた。以前この山に登ろうとしたのだが、この道の入り口は丈夫な鎖があり入る事が出来なかった。地図を見ると山名が記されており、山ランのメンバーとしてはなんとも気になるところである。この山の不思議なところを、まとめてみると以下のようになる。

1)地図を見ると軽井沢の一等地でありながら「押立山」だけ建物がない。
2)何も建物がないのに、立派な道が山頂まで延びている。
3)山頂に通じるこの車道は、通行禁止となっているが、その理由が明確でない。
4)「日暮山」から見た、あの山頂の人工的な平地は何なのだろう。

 ともかく、地形図に山名がありながら、山を私物化して登山禁止にするとは納得出来ない。そんな事もあり、ともかく「日暮山」の帰りに登って見る事にした。

 車を駐車した、妙義荒船林道入り口から直接尾根にとりつく。本当は上部まで通じている車道を、最初から行きたいところだが、なにしろ禁を犯しているので、適当なところから登りあげて途中から車道に入ろうと言う魂胆だ。いきなり雪と落ち葉が深く、足をとられて、歩きにくい。潅木につかまりながら、なんとか車道の途中の場所に着いた。車道は幅が広く、アスファルト舗装がされている。雪の積もったその道には、車のタイヤの跡も人の足跡も全く付いていない。つまりこの山は、いま自分しかいないわけで気分的に楽になった。

 しかし山頂にはいったい何があるのだろう、秘密の施設があるのだろうか。ひょっとすると映画「未知との遭遇」にあったような、UFOの着陸施設があるのかもしれない、期待に胸は高鳴った。まるで子供の頃遊んだ「探偵ごっこ」楽しんでいるような気分にもなる。自然と足どりは早くなり、雪の上に残った自分の足跡は、かなり歩幅が広くなっていた。

 そして車道が途切れたところが、山頂だった。

 まさに爽快な気分の場所だった。日暮山から見た通り、山頂部は広い平地となっており、潅木が刈り払われて360度の展望が広がっていた。山頂部の平地は雪が積もっており、まるでそこが山頂の湖であるかのような錯覚を覚えた。平地の隅には何やら風向風速計と何かのアンテナが設置してあり、そばにはスチール製の物置が建っていた。何か不思議なところだ。

 平地の中に入ってみると雪に段差がついているのが分かった。その段差は円を描いている、さらにその円は二重に描かれており、明らかに人工的なものだった。円の外側と内側の雪を除いてみると、外側は芝生、内側はアスファルトだ。こんな形のものをどこかで見た記憶がある。そう、これはヘリポートだ。一気に全ての疑問が解けた。しかしさすがは軽井沢、我々とは違う階級の人々が使う施設だったとは、気づかなかった。

 山頂からは430Mhzで運用したが、相手がなかなか見つからない。やっとの思いで自宅の近所のOMとQSO出来たので、早々に山頂から引き上げた。


「記録」
林道入り口13:23--(.29)--13:52押立山山頂15:00--(.12)--15:12林道入り口


                       群馬山岳移動通信 /1995/