展望の素晴らしい里山「独鈷山(とっこさん))」
登山日2017年11月27日



独鈷山山頂から北アルプスを見る


独鈷山(とっこさん)標高1266m 長野県上田市

11月27日(月)
子檀嶺岳の登山口から約30分で独鈷山の登山口である西前山の「中禅寺」駐車場に到着した。ここでは拝観料200円を支払うことになる。しかし、ここにはきれいなトイレがありそれを利用するだけでも価値があるというものだ。200円を料金回収箱に投入して出発する。はたしてどこを通ればよいのかさっぱりわからないから、境内を進んで金剛力士像の門をくぐり、国重要文化財の薬師堂の脇を通過して先の車道に出る。そのまま車道を歩き、「こだま美容室」の分岐を山に向かって歩いていく。そのまま一直線に道を辿ると右に虚空蔵堂があり、その先には獣除けのゲートがある。そこには車が3台ほど止めてあり、若い女性が登る前の準備をしていた。ゲートを開けて中に入り舗装がされた道を登って行く。途中で不動の滝を見てから林道を辿る。林道の舗装はいつしか途切れて荒れた道に変わってきた。それにしても傾斜が急な道なので、息が上がってしまった。後ろに気配を感じて振り返るとゲートのところで支度をしていた女性がすぐそばまで迫っていた。なにか急かされるような感じになったが、もうこれ以上はスピードを出すわけにもいかない。幸いにも山頂まで80分の標識のあるところで立ち止まってやり過ごすことにした。彼女は立ち止まることもなく、軽やかなリズムを刻みながら林道を登って行った。老いぼれの足では追いつくこともできないので、ただ流れる汗を拭きながら見送るだけだった。






中禅寺拝観料200円




中禅寺本堂




国指定重要文化財 薬師堂




一直線の道を登る




虚空蔵堂




獣除けゲート




ここから100分




追い越された




思わず左に進みたくなる




直進すると標識に出会う





林道のような道はいつしか落石が道を埋めて、河原の中のような状態になってきた。右を流れていた沢は水量が少なくなり、その流れが無くなったあたりで先行した女性が突然現れて左の斜面を登って行く。見れば杉の幹に赤ペンキで「←竜王」と書いてある。こんなところがあったのかなと不審に思い、GPSを取り出して、DLしておいたトラックデータを確認する。やはり、あの斜面を登るのは変だ「そちらは独鈷山に行く道で間違いないですか?」と大声で呼びかけた。女性は立ち止まって「矢印があるからこちらに登っています」。「そちらは違うと思いますよ」と言うと戻ってきて、ガイドブックを取り出して確認を始めた。こちらは間違いないと信じて矢印を無視して直進する。すると植林が開けたところがあり、「頂上まであと70分」の標識があった。「こちらで間違いないですよ」と女性に呼びかける。女性は再び追いついてから、相変わらず軽やかに先行して登って行った。

杉の植林を過ぎると、階段やロープが設置された急斜面の道となった。落葉はすっかり進んで落ち葉は斜面を覆い尽くしている。それにしてもこの独鈷山はなんという急峻な山なのだろう。晩秋だというのに、汗で身体は冷え切ってしまっている。今日はモンベルのジオラインを新調したのだが、大量の汗では効果は無きに等しい。

頂上まであと40分の標識を見ても、まだ稜線までは距離が残っている。ここで老夫婦とすれ違ったが、足元がかなりやばそうだった。そして稜線の手前になぜかカケヤが置いてあった。何のために置いてあるのだろう。標識か階段の補修に使うのだろうが、その手作りの方法がうまくできているのでじっくりと観察させてもらった。






道は急傾斜の登り




なぜか掛け矢が置いてある




稜線までもう少し




岩峰




あそこが山頂





沢山湖からの道と合流




山頂まであと3分




山頂










山頂からのパノラマ





稜線に着くと道はなだらかになり、楽勝と思っていったら、今度はロープが設置してある崖状の斜面に取り付くことになった。このルートは団体で押しかけたら大渋滞になるだろうと思った。なんとその斜面には菊の花が置いてあった。遭難か何かあったのだろうと推測するが、こんなところに置かれては気分的に良くないし、ただのゴミとしか思えない。登山口にはイワマツの採取禁止となっていたが、たしかにこの付近の岩にはそれらしき形跡がある。しかし、大きなものは取り尽くされてしまった感がある。





塩田平を俯瞰する




美ヶ原 アンテナ群が見える





いくつかの岩峰を超えていくが、単調な尾根歩きから見れば展望がわずかでも開けていれば、気分的には楽になる。そして沢入湖からの道と合流すると山頂まではあとわずかだ。気合を入れて最後の登りに取り掛かると、単独行の男性とすれ違った。そしてやっとのことで独鈷山山頂に立つことが出来た。山頂には社があり、信仰の山ということがわかる。そしてなぜかイノシシの木像が奉納してあった。山頂からの展望はほぼ360度で周囲の山々が見渡せる。あいにくと今日は遠方の山は雲がかかっているが、北アルプスの著名なピークは同定できる。午前中に登った子檀嶺岳の台形の山容はとても目立つ存在だ。眼下には塩田平の風景が美しい。この地区は降雨が少なく灌漑用の池が無数に点在している様は、宝石をちりばめたような美しさだ。

山頂には私を追い越して行った若い女性と、サングラスの似合う私と同年代の女性が話に夢中だった。二人とも山慣れた感じで話が進んでいるようだった。タイミングを見計らって私も話に加えてもらった。地元だという同年代の女性は先に下山していった。松本から来たという若い女性はとても美しい人だった。聞けば朝日小屋に泊まり込んで生物調査をしていたとのことで、その朝日小屋の話をしながら食事を摂らせてもらった。山頂での点景という事で、美ヶ原をバックに後姿のモデルをお願いした。その女性も先に下山していき、静かになった山頂で風景を目に焼き付けてからゆっくりと下山した。













中禅寺10:56--(.10)--11:06ゲート--(.34)--11:40竜王分岐--(.38)--12:18稜線--(.27)--12:45独鈷山山頂13:20--(.58)--14:18ゲート--(.07)--14:25中禅寺

群馬山岳移動通信/2017



この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)