久しぶりの2000m峰「御座山」
登山日1994年5月22日


御座山(おぐらやま) 標高2112m 長野県南佐久郡
山頂からの展望
 5月22日(日)

 朝6時に自宅を出発する。最近にしては異例の早さだ。何しろここのところ、早くて8時で、10時なんてのはあたりまえだからだ。国道254号で内山峠を越えて佐久市に入る。そして国道141号を南下、小海町で左折して北相木村の白岩を目指す。途中で「御座山→」の標識が数カ所見られた。しかし、白岩からの登山口を行く予定なので、白岩の標識を見つけながら走る。白岩からは標識があり右折してすぐに小橋を渡り、狭い林道を上部に向かって走る。道はアスファルト舗装で林道らしくない。順調に登って行くと道が何となく怪しくなってきた。そしてついに終点になってしまった。しかし、どこにも登山口の標識が見あたらない。車を降りて地図で確認したが、どうにも分かりにくい。とにかくここではなさそうだ。林道終点と言う事で転回場所がない。何度か切り替えして回ったが、リアバンパーのペンキを剥してしまった。100mほど下ると農作業中の人に会ったので、道を尋ねた。今度は教えて貰った通りに道を再び慎重に辿る。すると見落としていたわき道があった。良くみると、「御座山→」の標識が地面に落ちている、これでは見えないわけだ。今度は間違いない、道はアスファルトからコンクリート舗装にかわり、畑の中を登って行き、やがて林道終点となった。すでに3台車が駐車してあり、登山者がいることがわかった。そして「御座山→」の標識もしっかりあり、ひとまず安心である。車を駐車するスペースは、そばに空き地があり、50台くらいは大丈夫そうだ。

 登山道は広くしっかりしている。カラマツの芽ぶきが始まって、その新緑が鮮やかだ。ミツバツツジの花がその中でひときわ目を引いている。そんな道を辿るとわずか10分で尾根に着き、ここからは尾根歩きになる。快適な登りの道だ、なだらかにそして確実に登っていく。やがて植生は左側がカラマツの植林、左側がシラカバ混じりの明るい林に変わり、いずれも新緑が美しい。足元には白い花をつけた、ツバメオモトが数株見られた、またスミレがいたるところに咲いている。しかし、スミレというのは名前がさっぱり分からない。みんな同じに見えるからだ、かろうじて黄色い花をつけるキバナノコマノツメが分かるくらいだ。勿論ここには咲いていない。

 標石で「四〇四」の数字があるところには、立派な指導標があり少し広くなっていた。ここからはシャクナゲの木が増えて、登るに従ってさらに多くなった。やがて尾根がなだらかになるころには、シャクナゲの木で展望は無くなり、枝をかき分けて進むくらいになってしまった。これでは休むところもないので、とりあえずコース途中の、1992mのピークを目指して歩く事にする。この道は長いアンテナなどを持って来たら、引っかかって歩けなくなるのではないだろうか。それほどシャクナゲの枝が道に張り出している。シャクナゲはまだツボミが固く、開花するにはまだ時間がかかりそうだ。それでも数株は開花しているものがあった。

 1992mのピークは立派な「御座山→」の標識があり、目指す御座山が目の前に見えている。少し広くなっっていたので、ここで8分間腰を下ろして休んだ。その後再び歩きだした。するとなんと数m歩いたところで、明るい岩場が現れ展望が開けた。こんな事ならここで休めば良かったと悔やんだ。枯れた針葉樹の大きな木が、景色にとけ込んでいる。

 ここから3分ほど下ると鞍部に着いた。ここは十字路になっており標識も立派なものが設置してある。いよいよ山頂に向かって急坂を登り始める。何となく針葉樹の香りが高山に来た感じを与えてくれる。しかしこの道は倒木が多いので、身体の大きい私にはきつい。倒木の上を乗り越す事が出来ればいいのだが、四つん這いになって、下をくぐるとなると最悪だ。時には背中のザックが引っかかって、動けなくなることも、しばしばだった。やがて前方で賑やかな話し声が聞こえてきた。樹林越しに覗くと、6人程の中高年の婦人の団体である。喘ぎながら登っているので、追い越すにはちょっときついものがある。しかたなく、つかず離れず一定の距離を保って登る事にした。

 道がなだらかになると大きな避難小屋が現れた。かなり立派なもので、内部は土間を挟んで両側が板間になっていて、20人は軽く泊まれる。先行していた団体がここで休んでいたので、先に山頂を目指す事にした。団体はなんでもここまで、3時間半かかったというから誠にご苦労な事である。避難小屋から数mで、すぐに山頂の岩場が現れ展望が広がった。岩場を進んで行くとコンクリートの何かの建物の痕跡があり、さらに進むと石祠があった。中には「浅間神社」「諏訪神社」の神様が奉ってあり、賽銭もかなりの金額がおいてある。三角点を探したが見つからない、いずれにしろここが山頂に間違いないだろう。

 山頂からは展望が素晴らしい、さすが標高2112mである。残雪の八ヶ岳、赤岳の山頂はガスで見えない、西上州の山は、去年両足捻挫をした茂来山が間近にある。両神山の特徴ある山容が目につく。南方にはやはり特徴ある瑞牆山、そして金峰山の五丈岩の突き出た形が印象的だ。

 無線は430Mhzを持って来たが、オール群馬コンテストの真っ最中で、呼出し周波数は頭が痛くなるほどだ。以前、FMモードでコンテストを行うときは呼出し周波数を別に設けると言う話題があったと思うが、実施しても良いのではないか。これでは緊急な通信をしようとしても使えない、山に登っていて非常時のことを考えると切実である。しかたなく1200Mhzで運用する事にする。これまた久しぶりにCQを出すと、数局から声がかかった。習志野、宇都宮と言ったところから59だったので、標高が高いとは良い事である。YAMAのメンバーでは7M1HIG/林さんから呼んでいただいた。知っている人から声がかかると安心する。

 帰りは登ってきた道を再び戻った。しかし何を間違えたか、迷ってしまって約10分ほどロスをした。あまりにも明瞭な道だったので踏み込んだが、道が途切れていたのだ。無理をしないで、すぐに引き返したのが幸いだった。



「記録」

林道終点登山口08:53--(.12)--09:05尾根--(1.05)--10.10標高1992mピーク10:18--(.03)--10:21鞍部--(.27)--10:48御座山山頂12:10--(1.16)--13:26林道終点


                         群馬山岳移動通信 /1994/