やっと登った「赤城鍋割山」
登山日1993年8月29日


鍋割山(なべわりさん)標高1332m 群馬県勢多郡
鍋割山山頂
 赤城山は数年前に最高峰の黒桧山に登っただけで、そのほかのピークは私にはまだ未登となっている。黒桧山の時はこれから一晩テントで過ごすというのに、QUYにおもいっきり怖い話しを聞かされて眠れなかった思い出がある。

 8月29日

 今日はこの前の上砥草山の苦い経験から、地図の重要性を認識したので前橋まで地図を購入することも兼ねて赤城の「長七郎山」「鈴ケ岳」に登ろうと考えた。

 相変わらずスクーターに乗って出発。今日は「大胡赤城線」で山頂を目指すことにした。その訳は「長七郎山」にいきなり登るのに都合がいいからだ。道は狭いがスクーターは対向車とのすれ違いが楽なので快適に山頂に向かって行く。

 峠を越えて少し下ったところで「長七郎山」に行く道を確認するために地図代わりのガイドブック「群馬の山歩き130選」を見ようと停車した。しかし肝心のガイドブックがない!。ザックの隅々まで探してみたがやはり見つからない。どうやら自宅に忘れて来てしまったらしい。地図を購入する事も兼ねて来たのに、地図代わりのガイドブックを忘れるとは情けない。時刻は出発が遅かったこともあり11時30分になっていた。これはだめだ!「長七郎山」はあっさり諦めて「鈴ケ岳」に向かうことにした。ところが「大沼」手前で大渋滞である。スクーターの利点を生かして車の脇を抜けて前に行った。

 なんと警官が交通整理をしているではないか。そしてその横をひっきりなしに、ゼッケンを着けた人が走っていく。警官に聞いた。「今日は何ですか?」「今日はあかぎマラソンだ。大沼周辺は一方通行だからここから真っ直ぐには行けない、右に曲がって赤城神社経由で大洞に行って下さい」それからはランナーと同じ早さで走る車と一緒に大洞までゆっくりと走行する羽目になった。

 「大洞」経由でエネルギー資料館に着いた。前日読んだガイドブックではこのあたりに登山口があるはずである。とりあえず資料館入り口にある案内板の前に立った。しかしさっぱり分からない。確かに道はこの辺からでているのだが、それらしき標識は見つからない。スクーターで何回か周囲の道を往復したが見つからない。「赤城山自然探勝路」の標識は在ったが「鈴ケ岳登山口」の道は見つからなかった。

 しかたなく「鈴ケ岳」も断念してしまった。

 さてどうしようか。それならばと今度は「鍋割山」にする事にした。有料道路を下り「箕輪」に着いた。ここにも案内板が在るのだがさっぱり分からない。しかたなく道路地図だけは持ってきたので「箕輪」から横に行く道を辿ると「鍋割山」行けそうだ。そこでこの道を行くことに決めた。

 道は全て舗装されており、快適である。どんどん高度が下がっていく。途中「鍋割山登山口」の標識を発見。林道を入った。しかしその後それらしき標識がないのでこれ以上進むことは断念した。ここで昼食にする事にした。ついでに430Mhzのトランシーバーのスイッチを入れる。周波数をスキャンしてみるとJS1JDSが「八間山」からでていた。これ幸いと早速呼びだした。JDSはちょっと”おかんむり”の様子。「大塚さん待っていますよ。まだ着きませんか」と言われてしまった。実は昨日彼が「本白根山」から出ていたときに明日は「八間山」に登ると言うので「私も出来たら行きますよ。」と答えたため朝から待っていたらしい。誠に申し訳ないと平謝りである

 ところで******と事情を話し、「鍋割山」に登りたいのだが、登山口はどこからなのかと尋ねた。どうやら話しの様子からもう少し車道を下ったところにあることが判明した。

 登山口は「赤城国際CC」からの道と合流して、さらに200mほど下ったところにあった。登山口は車が5台程度は駐車出来るスペースがあった。既に2台が駐車中である。

 今度は登山口も登山道は明瞭である。しかし山頂までどのくらいかかるのか、全く分からない。歩き始めは笹に覆われた道を黙々と歩く。しかし「前橋」方面が開けているので気分はたいへん良い。今日は登山靴は履いていないスニーカーである。それは、この前購入した軽登山靴は2回山行に使っただけで、D環のハトメが2個破損してしまった。登山用品店に持ち込んだら「この商品は欠陥が出ています。メーカーに修理として送りますが、おそらく新品のものと交換になります」とのことだったが、今日の山行には間に合わなかった。(靴は翌日の8/30に新品を受け取った)

 暑いのでジーパンから短パンにはきかえると足が非常に楽になった。20分程歩いたところで「鍋割高原」に到着した。ここは実に見晴らしの良いところで、何となく地球の丸いことを実感出来る感じだ。高原の雰囲気は秋のたたずまいを見せている。マツムシソウ、アザミ、ツリガネニンジン、ワレモコウ、ヤマハギといった紫系統の花が目につく。その中で430Mhzの5エレの八木ANTを立てて交信をしている人に出逢った。ひょっとしたら地図を持っているかなと思ったが、交信が長引いている様子なので会釈をしただけで通り過ぎた。

 道は再び樹林の中に入っていく。今までの展望の良い風景はなくなって、だらだらと道は登っている。汗がひっきりなしに出てくる。本来ならこの汗で体重が減少するのだろうが、脂肪はなかなか減らないので結果的には体重にはあまり影響は無いようだ。

 「鍋割高原」から30分程で稜線に取り付いた。更に少し歩くと突然「鍋割山」のピークが見えた。山頂が見えると途端に気持ちが楽になる。足も速まる。

 歩き始めて72分23秒で山頂に到着した。時間が正確なのは今回はストップウォッチを持っていったからだ。これはコースタイムを記憶するのにラップタイムをメモリーに記憶させれば楽かなと思ったからだ。しかし実際はあまり役に立たなかった。

 山頂は広く周辺を散策してみたが、天幕を張って一晩過ごすならとても良い場所がある。ガイドブックにもあったがここから関東平野の夜景を見るのは気持ちが良さそうだ。無線機のスイッチをいれるとJDSは今度は「弁天山」に移動していた。ここで再び本日2回目の交信となる。どうやらJE1KQAが谷川連峰を縦走しているとの情報をもらったが、ついに声を聞くことは出来なかった。

 交信を終わると先ほど「鍋割高原」で運用していた人が山頂にやってきた。コールサインはJF1WJV/黒沢さんであった。30分ほど山頂で山と無線の話しで盛り上がってしまった。しかしあまり話し込むと申し訳ないので、私は先に山頂を後にした。

 結局この日は登山口を探してうろうろした1日だった。

                           群馬山岳移動通信 /1993/