息子を肩車して登る 【本白根山】
登山日1993年6月27日


本白根山(もとしらねさん)標高2171m 群馬県吾妻郡
山頂三角点
 本白根山(2171m)は白根山(2138m)の南約3kmの所にある。

 旧草津白根有料道路を草津から登っていくと、右に湯釜の見物で賑わう有料の駐車場がある。本白根山はこれの反対側左のロープウェイ山頂駅の道に入っていく。

 6月27日(日)

 今日は小学校4年生の息子と一緒に山登りである。家を9時過ぎに出て「白根火山ロープウェイ山頂駅」に着いたのは11時20分であった。天候は上々雨の心配はなさそうだ。先ず車のドアを開けて感じたのは「寒いな」と言う事だった。息子には早速ジャンパーを着込ませた。

 いよいよ登り始める。子供は強い。毎日学校まで片道2kmの山道を往復しているから、親よりもはるかに鍛え方が違う。案の定駆け足で登っていく。

「待て、山はゆっくり歩くもんだ。花を見たり景色を見たり、ほらここにイワカガミが咲いているぞ。」

 などと必死に置いて行かれまいと関心のあるような事を言ってみるが、子供には花なんてどうでも良い事。

「お父さん早く」

 しかたなく子供の後をついての山登りとなった。

 登山道脇には、「イワカガミ」「ミツバオウレン」が群生している。その赤と白の花のコントラストは見事である。道はやがて砂礫に変わっていく。そしてここから山頂までは、「コマクサ」のオンパレードである。コマクサはパセリの様な葉に赤い花がポツンと出ており風が吹くと小刻みに揺れる。なんとも愛らしい花である。群馬県内で唯一自生が確認されている本白根山のこの花は、一時は絶滅の危機に陥ったそうである。しかし、地元のボランティアによって快復されたのだと言う事である。誠に頭の下がる事だと思う。

「おい、花が馬の顔に似ているだろう。馬の事は「駒」って言うんだ。だからコマクサなんだ」

 などと子供に博学のあるところを披露したが、

「ふーん、そうかな」

 私も気になって良くみてみたら、馬の顔ではちょっと無理があるかな、と思ってしまった。

 ともかくコマクサを見ながら登ると、道が分岐する。左が展望台経由鏡池である。まずは我々は左に折れて山頂を目指した。暫く登ると登山客が10人程休んでいる場所がある。てっきりそこが頂上だと思い着いて見たが何も山頂らしき標識が無い。休んでいる人に聞いてみたがどうも要領を得ない。周りを見るとピークらしきものがある山がある。子供とそこを目指した。しかしあまり歩かれていないらしい。登山道がハイマツで丁度子供の背丈まで覆いかぶさっている。子供が行こうとするとハイマツの枝で押し戻されてしまう。しかたなく、子供を肩車をして山頂を目指す事にした。1.8mの親の肩は見晴らしは良いし楽なので、子供は得意満面だ。しかしこちらは汗をかいての登頂となった。

 登山口から40分で山頂に着いた。しかし展望が無い。三角点の石柱があるから山頂かなと思うだけである。展望が無いのは周りが薮に覆われているためである。しかたなく山頂から少し下った所で昼食にした。寒いので持ってきたジャンパーとセーターを着込む。無線機のスイッチをいれると斑尾山の局がCQを出していたので暫くQSOを楽しんでからQRTした。

 帰りは鏡池経由で下山した。途中には残雪も残っており、所要時間40分の楽しい下山となった。


                          群馬山岳移動通信 /1993/