三国峠手前の寂峰「味城山」「唐沢山」  登山日1998年11月27日


味城山(みじょうやま) 標高757m 群馬県利根郡/唐沢山(からさわやま) 標高1243m 群馬県利根郡

味城山から谷川岳方面に虹を見る
11月28日(土)

***味城山***

 関越自動車道月夜野インターを降りて、国道17号線を三国峠方面に向かう途中で気になる山がある。それは味城山で、赤谷川大橋手前から見ると登高欲をそそる山容をしている。

 地形図を見ながら、さてどこから取り付いたらよいものかと考えてみる。見れば山頂近くまで林道らしきものが表現されており、それではとその道に入ってみることにする。

 赤谷川大橋を渡り旧国道と交わり、消防署を左に見てそのまま進む。注意しながら今度は右側を見ながら行くと、「東谷山広福寺霊園」の標識があり舗装路が見えた。おそらくこれだろうと、その道に入って進んでみる。するとすぐに道は分岐して、「林道 須摩野線 起点」と標識のある狭い道が右側に延びている。若干不安になりながらも、その道に入り、数件の民家を過ぎると道は若干広くなり余裕が出来た。

 途中に分岐があるが、かまわず道なりに進む。すると幅の広い未舗装の道が、この林道を横切って上に登っている場所があった。おそらくこれが味城山の近くに行く道だろうと見当をつけて、林道の待避所に車を停車して歩き出した。

 未舗装のこの道は山腹を巻く様に取り付けられている。あまり利用されたことが無いらしく、すでに腰のあたりまで笹が生い茂ってしまった所もあった。しかしそれも南に面した部分で、大きく左に曲がって徐々に高度を上げると植林地に入り、笹も少なくなった。

 快適に高度を上げていくと、峠にたどり着いた。この峠は地形図には表現されていないので、果たしてここからどちらに向かったらよいものかと悩んでしまった。目印となるものも全く見られない。まあ、迷っても何とかなる山なので、とりあえず右(東)の方向に行くことにした。

 尾根に沿ってかすかな踏み跡もあるが、とりあえずルートの選定には問題はなかった。そして、ちょっとしたピークの一角にたどり着いた。ここには石祠が二つあり、地元の信仰を受けていたことも伺われる。地形図を見ると、この石祠の場所からさらに東に移った所に三角点があるはずなので、そちらに歩いて向かった。

 すると、予想通りに三等三角点と、Gさんの山頂標識があった。この三角点の場所は先ほどの石祠があった場所よりも若干低い場所になっている。どちらが山頂かは意見の分かれるところであろう。山頂からは、関越道下牧PA、新幹線上毛高原駅を挟んで上州三峰山、さらに目を北に移すと大峰山が間近に見えた。そしてその麓からは七色の虹が空に向かって伸びていた。

 この山頂は、周囲に明らかな人の手の加わった段差があるところを見ると、名前の通り城の有ったことが予想される場所だった。


***唐沢山***
唐沢山登山途中に赤谷湖と赤城山を遠望
 味城山から下りて、国道17号を三国峠方面に向かう。水量が少なくなった赤谷湖を過ぎてさらに進むと、法師温泉への道を分ける。このすぐ先の左側に、「C−8 R60」と書かれた標識があり、適当な広い駐車余地がある。ここに車を停車して、山を見ると国道から登る階段の先に赤い鳥居が見える。この鳥居が唐沢山の取り付き点となる。

 支度をしていると、ものすごい風と横殴りの雨に見舞われた。空は晴れているので、典型的な冬型の気圧配置となり、上越国境南側のこの場所に、吹き越しの雪が雨となって来ているのだ。これでは仕方ないので、傘を持っての出発となった。

 国道を横切り、立派な階段を登り、鳥居の横を抜けて急斜面の参道を登る。こんな急斜面の道を、まして階段らしきものもない道を辿って、お参りをするなんてすごい神社だと思って期待をした。しかし、着いてみると平成元年に新しく建立された、小さな社があるだけだったので、ちょっと拍子抜けしてしまった。

 社の裏はいきなり薮で、どこから取り付いたら良いものかと、考えてしまうほどだ。それでもなんとか歩きやすそうな場所を選んで歩くことにする。そして杉の植林地を抜けると、送電鉄塔にたどり着いた。

 そしてここからの薮もひどく、腕に引っかき傷を覚悟でその薮の中に入った。そしてなんとそれを進んでいくと、今度はバラの薮に突き当たってしまった。踏み込んで見るが、その棘の痛さに引き返し、バラの少ない部分をさがしてウロウロしてしまった。

 そのバラの薮を抜けると、そこには林道が下から延びてきていた。しかし、車が入り込むようなものではなく、廃道と化しているいるものだった。林道はそのまま山腹を回り込んでいるので、すぐに分かれて忠実に尾根をそのまま登ることにする。

 この尾根の東側は伐採地、西側は灌木帯となっている、伐採地は伐採された木が横たわり、下草がうるさく歩きにくい。灌木帯は枝が邪魔で、よけいに歩きにくい。結局、少しはましな伐採地を歩くことにする。振り返ると眼下に赤谷湖、そしてその先には赤城山が遠望出来る。それに引き替え頭上は小雨が舞い、鉛色の空、それに時折ものすごい風の音が聞こえてくる。気温は5度なのでかなり寒く感じる。

 標高1000メートルほどでこの伐採地が終わり、灌木の中に入ることになる。さぞかし歩きにくいのかと思ったが、むしろ伐採地よりも歩きやすく安心した。そしてこの尾根はなぜか上部に行くほど歩きやすくなり、快適になった。

 標高1100メートル付近からは傾斜も緩やかになり、さらに歩きやすくなった。しかし、空からは雪が強い風と共に吹き付けるようになった。思わず傘を広げて見たが、灌木の枝に阻まれるので、結局は閉じて杖の代わりにして歩いた。

 いくつかのコブを越えて行くと、いつの間にか赤テープが現れて道もはっきりとしてきた。今日登ってきたルート以外に、もっと歩きやすい道があるのだろうか?(結局これは確認できないままとなった)そして灌木の尾根道を登ると、三角点と「達筆標識」が目の前に現れた。展望は木々に遮られ、また吹雪に見舞われたために全く得られなかった。

 結局、寒さに耐えきれず、山頂での食事は諦めて無線運用のみで切り上げて、下山する事になった。

 下山して、標高1000メートル付近で赤谷湖を眺めながら、暖かいものを作って腹を満たして麓に下りた。



「記録」

「味城山」

 林道(伊賀野地区)8:38--(.39)--09:17味城山山頂09:40--(.24)--10:04林道

「唐沢山」

 唐沢山取り付き(吹路地区)10:52--(.08)--11:00祠--(1.21)--12:21唐沢山山頂12:41--(.23)--13:04伐採境界線13:38--(.19)--13:57吹路地区



     群馬山岳移動通信 /1998/