春一番で大荒れの伊豆大島「三原山」   登山日2008年2月23日


三原山(みはらやま) 標高764m 東京都大島町


翌朝、大島温泉ホテルから三原山を見る

2005年2月に船で伊豆大島に渡ろうとしたことがあった。
しかし、低気圧が接近して、海が大荒れ、結局伊豆大島には渡ることが出来なかった。
そこで、こんどは空から渡ろうと、昨年11月に格安チケットを予約して、計画を立てていた。


2月23日(土)

今年はどうなんだろう?
羽田空港8時20分発大島行きは、ほぼ定刻通りの出発だ。ただし、大島空港が強風のため着陸できなければ引き返すとの条件付での出発となった。なにやら不穏な空気に包まれている。
羽田空港からは、大島に近づくと海面は白波が立ち、機体は小刻みに揺れだし、嫌な予感がする。
着陸態勢に入り、高度を下げていくが、今まで乗った飛行機の着陸とは明らかに違う、機内アナウンスは「強風のため多少揺れますが、飛行には全く問題ありませんのでご安心下さい」と放送する。←あきらかに○○っぽい。しかし、航空会社は○○○なので心配はないだろう。
大島空港の地面が次第に近づいてくる。
その時突然、大きな浮遊感の次に大きな加速度Gを感じた。
おお!!
強風にあおられて、着陸出来ずに再び上空に急上昇したのだ。
機長のアナウンスは「もう一度着陸を試みますが、無理な場合は引き返します」というが、「無理な場合は帰れません」とも聞こえる。
緊張しながら前の座席にしがみついて、再着陸に備える。
強風であおられるが、なんか強行着陸みたいな感じで地面に着いた。
逆噴射の轟音が恐怖心を増幅させる。
なんとか、着陸は成功したようだ。一部の乗客から拍手がおこった。

飛行機から空港に降りると、もの凄い風が待っていた。
このなかで着陸するとは、機長の腕はたいした物だと感心してしまった。

強風はもの凄く、午後の便は運休したらしい。
元町港の岩壁には大きな波が絶え間なく打ち付けられて、強風も吹き荒れていた。



三原山の登山口である御神火茶屋は閑散としていた。
この凄い風ではどうしようもないのだろう。
ともかく、妻と二人で行けるところまで行こうと歩き出した。
まずは、三原山の姿に驚いた。
なんと雪景色なのである。
伊豆大島はイメージとして、椿咲き黒潮流れる暖かい島と思っていたから、予想は見事に外れてしまった。

寒い、とにかく寒い。
毛糸の帽子と、手袋がなければ行動できないだろう。
登山道は、舗装されて車道を兼ねている。
天候が良ければ快適なハイキングが出来るに違いない。途中にはかまぼこ形の避難シェルターが設置されて、三原山が活火山であることを認識させられる。



舗装路も、傾斜が強くなると雪が道を塞ぐようになった。
二人とも、スニーカーなので雪道はかなりきつい。慎重に道の脇を選んで歩くようにした。
風向きによっては、歩くことも困難になり、立ち止まることもしばしばだ。

登り道も終わり、道が水平になると、「三原神社」の鳥居が凍えて立っていた。
社はちょっど下がったところにあり、訪れる人もないらしく、雪の上に足跡も見られなかった。



「三原神社」から登山道に戻るとそこには水準点が天水枡のような、コンクリートの箱の中に設置されていた。
さらに進むと、展望台があり、一階にはトイレが設置されていた。
展望台と言っても、この強風では上に登る元気もなく、展望台の陰で風をしのぐのがやっとだ。



とりあえず舗装路を山頂に向かって、歩いてみることにした。
とんでもない強風で、細かい火山礫が顔に向かって飛んでくる。
立っていることも、目を開けているのも困難。
普段、手を繋いだこともない妻と、しっかり手を握りあって先に進んだ。
手を離すと、強風にあおられて、火口まで吹き飛ばされてしまいそうだ。
火口壁は大きな口を開けて、強風を飲み込んでから吐き出しているようだ。



三原山は活火山だ、火山性の水蒸気を吹き出している部分がある。
その部分を過ぎると、舗装部分が終了して、柵が設置され行き止まりになっていた。
ここが火口展望台なので、記念撮影。
カメラはフェンスにくくりつけ、妻と二人で飛ばされないように、フェンスに掴まって、決死の記念撮影。


ふたたび、展望台に戻り、火口周回コースに足を向ける。
こちらは、舗装がされていないので、スニーカーではちょっときつい。
風はますます強くなり、身の危険を感じるようになってきた。
毛糸の帽子は飛ばされそうになり、歩くことはもちろん、立っていることも困難。
これは、無理、無理、無理!!!

妻と這々の体で逃げ帰ってきた。

山頂まであとわずか、天候さえ良ければ何とかなったのに、残念だった。

台場では風速26m/sだったとか。
そうすると、当地では風速30m/s、時速100km/hの車から身を乗り出して風を受けているようなものだったのだ。

翌日の風も凄く、帰りの飛行機はベルト着用サインが出っぱなし。
客室乗務員は、機内サービスもなく椅子に座ったままだった。


群馬山岳移動通信/2008

この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。
(承認番号 平16総使、第652号)
トラックデータ


御神火茶屋10:42----11:19三原神社----11:24展望台----11:29車道終点---11:36-展望台11:43----11:50お鉢めぐりちょっと----12:39御神火茶屋