手強い万座温泉付近の藪山
登山日1997年6月8日


老ノ倉山(おいのくらやま)標高2020m 長野県上高井郡/万座山(まんざやま)標高1994m 群馬県吾妻郡・長野県上高井郡
笹藪に埋もれた万座山山頂三角点
 6月8日(日)

 去年の10月に「土鍋山」「御飯岳」で、とんでもない藪こぎで苦しんだ。しかし、その付近にはまだ未登の山がいくつか残っている。そこでそれらの山を一気に片づけてしまおうと、甘い考えを持って出かけた。

 志賀草津道路は、早朝はのんびりとした車も少なく快適に走ることが出来る。ところが途中でなんと通行規制に引っかかってしまった。何でもCF撮影で、道に散水をしてなにやら行っていた。しかし、天下の公道を私物化して通行規制をするとは、どあも納得いかない。

 万座温泉を通過して須坂市方面に向かい、小串硫黄鉱山跡に通じる道を分ける。ここに「老ノ倉山」がある。分岐には適度な駐車余地があり、安心して車を駐車する事が出来た。近くにはバードウオッチングにやってきた二人連れが、盛んにビデオカメラを操作したり、双眼鏡を覗いている。なんだか私が登る間、ずっと監視されるようであまり気持ちが良さそうにない。

 ともかくザックを背負って登り始めることにする。ところがいきなりの藪漕ぎ状態である。それでもかつては道が存在していたようで、何となくルートがわかる。藪が途切れると砂礫の場所が現れ、そこにはイワカガミが密生していた。こんな場所にはコマクサがあっても良いなと思ったが、それはかなわなかった。

 背中がすこし汗ばむころ、ひょっこりと山頂に飛び出した。山頂は平らで、うるさい藪もなかった。また山頂標識のたぐいも全く見られなかった。あまり暑いので、上半身裸になってタオルで汗を拭った。ところが細かい虫の大群が山頂を占拠しており、慌てて上着を着込んだ。

 今日は歩行時間も短いので、5エレの八木を持ってきたので早速組み立ててセットした。430Mhzの無線機のスイッチを入れると、なんとTLL/須崎さんの声が飛び込んできた。あまりにタイミングが良いのでびっくりしてしまった。ともかくこちらからも須崎さんを呼び出して、久しぶりのQSOとなった。

 須崎さん達は今日、ハムフェアーの為のビデオ撮影で、両津市の「ドンデン山」移動となっていたのだ。ニフティーのPATIOで情報を掴んではいたが、まさか佐渡島とQSO出来るとは思ってもいなかった。須崎さんと懐かしいQSOを楽しんだあと、今度はUGCともQSOをさせて貰った。なんだかホームページの話題が中心で、長時間にわたって電波が飛び交った。

 QSOを楽しんだあとは、標高2000メートルの峰々を眺めながらパンと牛乳で朝食。ちょっと粗末だが、展望が素晴らしい雲上のレストランである。

 「老ノ倉山」を下りて、今度は「黒湯山」を目指すことにする。

 「黒湯山」はピークは確認できており、地形図から見ると距離もわずかですぐに登れそうである。そこで車道をゆっくりと登れそうな所を探しながら歩いてみた。ところがなんたることか、まったく登り口らしきものは見あたらない。諦めて東側の尾根からともかく入って見ることにした。ところが身長をはるかに超す丈の笹はどうにもならない。尾根だというのに踏み跡さえ、ケモノ道さえも見あたらない。こんな藪ははじめてで、とにかく前に一歩踏み出すと、その分だけ押し戻されるのである。それでも必死になって10分ほど闘ってみたが、どうにもならないのであえなく断念してしまった。

 その後も適当な所を見つけて笹の中に入ったが、同じようなことの繰り返しで、「黒湯山」はこの時期に登る山ではないと感じた。

 さて次は「万座山」に登ることにする。スキー場に通じる管理道路を歩いて上部に向かうことにする。それ以外の道は、先ほどと同じような笹藪で、とてもではないが考えられない。管理道路はやがて、スキーコースと交わったのでこのスキーコースに沿って歩くことにした。コース内はタバコの吸い殻と、缶ビールの空き缶が目立って多い。

 やがて一番西のリフト山頂駅に到着、さらに次の東のリフト山頂駅に向かうことにする。ここで目を疑ってしまった。なんとリフトが動いているのだ。ひょっとして夏山リフトが動いているのかとも、嫌な予感を感じた。

 そしてそのリフトに近づくと、作業員がリフトのメンテナンスの真っ最中だった。リフトに近づくと、作業員がこちらに近づいてきて、「いま点検中ですから、出来るだけ離れて歩いてください」と言う。別にここを登っていることを咎められたわけではないので、内心はホッとした。そこを過ぎて、さらに次のリフト山頂駅を目指す。

 次のリフト駅に着くとその先に、小高い笹藪のピークが二つに分かれていた。まずは右側のピークに登ってみる。とんでもない笹藪地獄で、とても人間が入り込むような所ではなかった。それでもなんとかピークにたどり着いて見たが、山頂を示すようなものはなにもなかった。仕方なくそこを離れて、左のピークに向かうことにする。こちらも同じような笹藪地獄で、短い距離なのだがとんでもない時間を要したような気がした。

 そしてその山頂部分に到達すると、そこの一部分だけが刈り取られて三等三角点が見えていた。山頂標識はなかったがここが万座山に間違いあるまい。おそらくこの三角点が人の目に触れたのは何度もないはずだ。

 山頂では無線の状況は極端に悪く、わずか2局とのQSOに留まった。

「記録」

 **老ノ倉山**
 林道06:40--(.12)--06:52老ノ倉山07:51--(.07)--07:58林道

**万座山**
 林道08:54--(.50)--09:44万座山10:48--(.34)--11:22林道

                     群馬山岳移動通信 /1997/



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